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第33章

VRツアーに参加したとある精神科医があちらの世界でドアーフってどういうこと?! 第33章 



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


Scene.45



「ねぇケントーっ、そろそろ陸地が見えてきてもおかしくないわね。」



夕べの嵐の中で唯一無事だったドラゴン・ヒロトにまたがるCAリンリンがケントに聞く。



「しかしおかしいなぁ。何にも見えてこないよな。確かにこっちの方角で合っている筈なんだけど・・・」



方位磁針を見ながらヒロトの手綱を引くケントにリンリンは呟く。



「も、もしかして昨日の嵐でそれ壊れたんじゃない?」



「え、そんなこと・・・あ。」



「あ。って、何よ?」



「何かぁ~、針が固まってらぁっ、へへへ・・・・」



「んもぅ~っ!なんなの、そんなんじゃ何処飛んでんだか解りゃしないじゃないのよぅ~っ!むむむ・・・・ん?あれっ、あそこに何か見えてきた。あれ何ぃ?」



すると海の彼方に霞んだ陸のようなものが見え始めていくのに気づいた。

ドラゴンちゃん・ヒロトの頑張りでより一層羽をバタバタさせていよいよ近づいてくる陸地を凝視する二人。どうやらそれはポッカリと海に浮かんでいるように見える島であった。


徐々に島に近づいてくると、緑豊かな島の輪郭がハッキリと浮かび上がってくるではないか。遠くからでは確認できなかったが、結構大きな島が迫ってきたのだった。



「はぁ~っ!助かったぁ~、ケント、お疲れ様。」



CAリンリンはそう言うが早いか、夕べから気を張っていたのが一気にほどけたように、ケントの背中にもたれかかると寝入ってしまうのであった。



ドラゴンちゃん・ヒロトは滑空し、眼下に見える芝生の広場目掛けて降下してゆくのだった。そしていよいよ着陸態勢に入る。

それでも元CAリンリンは眠ったままだったので、今回は着陸のアナウンスはお預けとなった。

地面が目前まで迫ってくるとより一層細かく早く羽根をバタバタしながら着地し始めるが、そこはお約束のヘタクソさは健在であった。



「バタバタタっ、ドスン~ッ、ダダダ・・・ドテッ!」



結局着地の衝撃で二人は広場の隅っこまで吹っ飛ばされただけではなく、ヒロトは顔面からスッ転んだではないかっ!なんともお下品に・・・



その物凄い音に驚いて、遠くから様子を見ていたその島の原住民達が恐る恐る近寄ってきたではないか。二人は痛みをこらえながらもヨロヨロと立ち上がる。



「あ、あのぅ~・・・ワタシ、リンリン。こっちはケントですぅ~ヨロピクゥ~」



CAリンリンはそう言い残すと、ヨロヨロと芝生にへたばってしまった。

フッ飛んだ衝撃で頭を打ったのだろうか・・・

ケントもフラフラしながらそれを見つめている。



「あんたら此処に何しに来た?」


「はい、そのぅ・・・沖のほうで大型帆船が漂流していて・・・仲間が取り残されているので助けて欲しいのですが。」



それを聞くと何を思ったのか原住民達は恐怖におののいたように走り去っていくではないか――― そして、ついにケントもその場に突っ伏してしまったのだった。




~*~*~*~*~*~*~*~



「もう暑いよぅ~、このままでは死んでしまうよぅ・・・」


元自宅警備員のハイジが小言を言いながら甲板で破れた幌を縫い合わしている。

ソルジャーとナリミーはそれど頃ではない様子でロープのほつれをほどいてからマストの修復を急いだ。

なにせ、Missionの期限である昼までに完了しなかったらご褒美を受け取れなくなってしまうから無理もない。

いつもどおりあまり役に立たない宗谷は扉が開いた事をウメたちに伝えに向かうため、再び船内に入っていったのだが、暫く立っても中々戻らないままであった。




~~~~~~~~~~~~~~~~


宗谷は薄暗い船内の通路を迷いながらも、ようやく船長室へ辿りつくと勢いよく扉を開け放つ。



「おう、宗谷や、無事だったんだねぇ!良かったよかった。ところで他のドアーフ達は?」


「はい、それがですねぇ、今朝新たなMissionが与えられまして。現在マストを修復中であります、お婆さま。」


「あらま、ということは外に出られたのかい?」


「ハイッ、然様で御座います。お婆さまっ!」


「まあまあそれはそれは。良かったねぇ・・・宗谷も昨日とは打って変わって中々元気な返事で宜しい。では、アタシからも一つMissionを授ける事にしようかねぇ・・プププ。」


ウメはそう言うと、何と言う事でしょう・・・先ほどの危険なメッセージボトルを指差すではないか。そしてその栓を宗谷に開けるように指示をする。

倒れたミケロッティ伯爵はそのままに、仙人フォーとキャンは危険を察して慌てて戸外へと駆け出していくではないか!


「これでしょうか、お婆さま。」


「そうじゃよ、それそれ。良いからその栓を一気に開けて中の手紙を取り出すだけでいいんだよ!さぁおやり、プピッ!」


何ともイジワルな元ババァで今キャピキャピなウメは宗谷に命令するや、すぐさま戸外へとダッシュする。

すると、一生懸命に宗谷がコルクの栓を引っ張ったものの中々開かないでいる様子を遠巻きに一同が見守る。


「ヨイショッと!ポンッ!あっ!!」


いきなり開いたボトルの栓に思わずすっ飛ばしてしまった宗谷だった。

そしてそのメッセージボトルから手紙が飛び出し、なんということでしょう、よりにもよってミケロッティ伯爵の口の中に入ってしまったのだった。


これには一同も仰天した。どうやら宗谷はボトルが手から離れたことで、例のモンスターにならずに済んだようだった。しかし・・・ミケロッティの傍らに転がるボトルからモクモクと白い煙が漂い始めると、ミケロッティの鼻の穴へと吸い込まれていくではないか。

これを見るやようやく危険を察した宗谷が戸外へと逃げ出す。すかさずウメが扉を閉めると、一行はモンスターになるであろうミケロッティのみ残して船外へと続く通路を駆け出していったのだった―――












~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~


////////// To Be Continued ☆☆☆☆☆







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