第31章
VRツアーに参加したとある精神科医があちらの世界でドアーフってどういうこと?! VRツアーに参加したとある精神科医があちらの世界でドアーフってどういうこと?! 第31章
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Scene.43
キャンが辺りをうろつきながら酔いつぶれるフォー仙人に問いかける。
「ああっ!フォー仙人、今度こそ終わりですキャピ~ゥ」
「くそぉ、どうすりゃいいんじゃのう・・・このままではフランクの思う壺ではないかな。」
その時であった。「おい、そこのお前たち。」
奥の部屋から再びフランクが現れる。何やらイジワルそうな表情で別人のよう。
キャンがおびえながら仙人に囁く・・・
「キャパッ、もう来ちゃったのね。早く逃げましょうよ。」
それを聞いたフランクが制止するように告げる。
「待て、逃げるな。お前たちは一体ここに何をしにきたのだ?」
「はい、実はですね、我々と致しましても、此処から脱出するために皆様にご協力をお願いしに来たところでございます。しかしながら、貴方様は船長ではないようだし・・・」
「私は、王家とともに世界をよきものにするための魔術師でもある。今は国王よりこの船を預かっている身だ。では、この船に辿りついたお前たちの願いとはなんだ?」
「そうねぇ~・・・実はですね、この船に閉じ込められてしまいまして困っているのです。しかも仙人がネロ伯爵になっちゃって、何だか騙されてるような。」
「何だと!やはりあの男の仕業か。しかし何故そんな事に・・・」
「申し訳ありません、お名前を聞いておりませんでしたが、もし宜しければお名前をお聞かせ願えませんでしょうか?」
「おお、これは失礼。私の名前はミケロッティではなく、フォーの言うようにフランクと申す。以後お見知りおきを。」
「ああ、貴方がフランクさんですか・・・でも以前お会いしたときとは別人ですよね・・・ま、どうぞよろしく。」
「さて、どうしたものかなぁ。私としては先ほど此処から逃げ出した3人を始末するつもりであって、この船に幽閉された者達を解放するつもりは無いのだがね。それに、この船には強力な結界を張ってあるから早々逃げ出す事は不可能だよ。」
「そうよね、この船ってば凄いわ。あの時、私達が乗ってきたドラゴンも簡単には飛び立てないくらいの強固な造りになっているのね。」
「ちょっと待つのじゃ。そのドラゴンというのはまさかあの時のドラゴンか?」
「ええ、あのドラゴンちゃん達は、今は私達のドラゴンでもあるのよ。そしてあれが私の相棒で魔法使いのウメお婆さまなの、ご存じない?
そしてこっちのチビがフォー仙人・・・まったく酔っ払いで困っちゃうのよトホホッピュ。」
「誰がチビだこらっ!」
フランクが尚も問い詰める。
「で、此処から逃げ出したイケメン紳士たちは誰なんだ?もしかして、君の友達か?」
「ふむぅ、彼らはイケメンでは・・・。」
「黙れ!イケメンじゃないなら只のクズだな。」
「うぬぅ・・・」
「で、君らはこの船から脱出したいのか?」
「はい、出来れば。」
「しかし、この船は簡単じゃないぜ。」
「それは承知の上です。何か方法があるはずです。例えば、あの扉を開けなければ良いとか・・・」
「扉は開かないよ。」
「え?どうしてよ?」
「扉は開くようになっている。但し、君らがあの扉を開けると魔法が発動して君らの命を奪うんだ。だから決して開かない。」
「え?嘘でしょ?だって、あそこは私が確かに閉めたわ。」
「じゃあ、もう一度試してみるかい?今度は命がけだけど。」
その二人のやりとりを聞いていたウメが口を挟む。
「ちょ、ちょっと待ってくれぃ、アタシはもう死にとう無いわい。」
「あら、お婆さま、お目覚めになりましたのね。良かった。」
「何が『良かった』じゃい。よくも騙してくれたな。お前は以外に酷い奴ね。」
「フフン、何の事かしら?」
「お前・・・もしや、本当は宗谷とこっそりモモ肉食べたんだろう?」
「あ、バレちゃった?テヘッペロリンチョ。」
「何が『テヘペロリンチョ!』じゃ。このクソ娘めぇ。」
「でも、美味しかったでしょう?」
「美味しかったけど、何か?」
「あ、やっぱり食べたんじゃん。」
「うるさいわよキャプピゥイッ。」
呆れ顔のフォーがまたもグラス酒を一口煽る。
「まあ、いいじゃないかお二人とも。とにかくフランクさん、何とかならないかね?」フランクは少し考え込む。
「そうだな、私に協力すれば、君らの言うことを一つだけ聞いてやってもいいぞよ。」
「何なりと。」
「よし、それならば君らをこの船から脱出させてやろう。ただし、条件がある。」
「どんな条件でも聞きますよ。」
「では、そこのウメとやらよ、今日から私の愛人になるのだ。」
「へ?」
「聞こえなかったのか?そこのババアの事を愛しているのだ。今すぐここで抱かせろとは言っておらぬが。」
「ええ~っ!?」
「何だとぉ~!そんな事はさせねぇぞ。」
「そうよそうよ、この変態野郎!」
「ほほう、まだ逆らうか。」
すると、いきなりフォーが飛び出してきてフランクに襲いかかる。
「うりゃあっ!」
しかし、フランクにアッサリと投げ飛ばされてしまう。
「グハッ・・・お、お主、強すぎるぞ。」
「どうした、もう終わりか?」
フランクが倒れたフォーに向かってゆっくりと歩み寄る。
「ひえーっ、く、来るでないぞぉ。」
「さぁ、大人しくするがよい。」
「た、助けてくれぃ。」
その時、キャンが叫んだ。
「きゃああああああ!!!!!」
「どうしたんじゃ?キャンちゃん?」
するとフランクが不敵な笑みを浮かべながら答える。
「フッフッフ、どうやら気がついたようだね。」
「そ、その声は・・・まさか・・・」
「そうだよ、私だよ。」
「き、貴様は・・・またもミケロッティ伯爵か?」
「そうさ、私はまたまたミケロッティだを。久しぶりだねえ、フォーくん。」
「あ、あんた・・・あの時・・・どうしてぅえぃっ!・・・」
「あの時の続きをしに来たんだよ。」
「あ、あのとき・・・」「そうさ、あの時の続きをしようじゃないか。」
「ううっ、もう勘弁してくれい。」
「何を言っているんだい?まだまだこれからじゃないか。」
「いやじゃ、いやじゃ、許しておくれぃ。」
フランクがフォーの体を触ろうとする。
しかし、突然、フォーの体が光を放ち始める。
「な、何だこれは?」
「フフン、悪いがワシはお前の思い通りにはならぬのじゃよ。」
そして、眩しい光が辺り一面を覆う。
やがて光は収束していき・・・そこには美しい女性が現れた。
その姿はまさに絶世の美女。
長い黒髪で色白の肌、切れ長の目で黒い瞳、豊満な胸とくびれたウエスト、すらっと伸びた手足と長くて細い足。
まるでギリシャ神話に出てくるような女神がそこにいた。
「ふぅ、やっと元の姿に戻ったわい。」
その言葉を聞いてさきほどまでフランクで、今又もや戻ったミケロッティが怒りをあらわにする。
「な、なんだと!お前は幼馴染ではなくって・・・女だったのか?」
「うむ、そうじゃが、何か?」
「クッ、なんという事だ。これではあの約束は無効ではないか。」
キャンが聞き返す。愛人にされそうになったウメもポカンとしながら、何故かよだれをたらしている。
「あの約束?」
「お前らには関係ない話じゃ。」
「そんなことより、何故お前たちが此処にいるのじゃ?」
「それはな、お前さんの可愛いモモ肉を食べるためじゃ。」
「モモ肉?それは・・・まさか・・・」
「そうじゃ、お前のモモ肉を食べにきたのじゃ。」
「な、何だとぉ~!」
「モモ肉、モモ肉♪」
「うぬぅ、やはりか。おまえらもとうとう幽霊に憑依されちまったようだな。」
フォーがよった勢いも手伝ってへんてこに叫ぶ。
「モモ肉、モモ肉、モモニクマンジュウゥゥゥゥゥウウッ!!!!」
「こ、この腐れジジィめぇ。」
何故か美女に変わったフォー仙人は必死になってミケロッティにからみ付く。
「ぐはぁっ、離せ、離れろ。このクソじじぃめぇ。ま、美女だから赦さんでもないが。」
「誰がクソじじぃじゃいっ!クソ野郎めぇ。」
「うるさいっ!黙らんかいっ!モモ肉の分際で生意気な。」
「モモ肉言うな!、そっちがモモ肉じゃいっ!クピッ!」
ウメの頭の上には『?』マークが何個も浮かんでいる。
「モモ肉って何のことだい?ウメ婆さま。」
「ん?何の事とはどういう意味じゃい?」
「だって、今フォー姉さまが・・・」
「ああ、あれはね、フォーの奴が勝手に言ってるだけだから気にしないでいいよ。」
「そうなんですか。」
「ああ、そうさ。それより、さっきからモモ肉モモ肉言ってるが、アレは何のことだい?」
「ああ、それはですね、フォーの姉さまがお好きな食べ物ですわ。」
「へえ、フォー仙人がねぇ。」
「ええ、この世で一番美味しいものらしい・・・モンスターの好物だがね!」
「ええええええええええっ!!」
「どうやら私達も狙われているようね。」
キャンの言葉に皆がうなずく。
「ところで、そろそろ本題に入ろうじゃないか。」
フォーは真剣な眼差しでミケロッティを見つめながら話す。
「うむ、そうじゃな。そろそろ本題に入るとするかのう。」
「それじゃあ、聞かせてもらおうか。君からのクエストやらを。」
「わかったわい。まずはワシらのアジトを教えるからそこに行って欲しいのじゃ。」
「よし、早速行こうか。」
「待て、今すぐ行くと他の者に迷惑がかかるかもしれぬ。明日、朝になってから出発せい。」
「それもそうだな。分かった。」
「それと、ワシも同行するぞ。」
「えええええっ!?」―――
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////////// To Be Continued ☆☆☆☆☆




