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第27章

VRツアーに参加したとある精神科医があちらの世界でドアーフってどういうこと?! 第27章 



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


Scene.37



なんとも勝手なMissionに途方に暮れるフォー仙人。

しかし、ワシにしか見えない世界って一体・・・

そもそも誰からのミッションなんだ?アイツラ何処に行きよったんだ?

ようやく落ち着きを取り戻し元のネロ伯爵憑依中のフォーは、辺り一面に転がっている遺骸をどかしながら船内の先へと足を運んでゆくのだった。



~*~*~*~*~*~*~*~



「お、お婆さま、一体どうしてドラゴンが落っこちちゃったの?」



船の甲板に落下した痛みをこらえながら半泣きの宗谷がウメに問いかける。

ずぶ濡れのキャンも風雨と涙のせいで化粧が酷く流れ崩れている~~~



「お前達もヘタクソだねぇ!アタシみたいにもうちょっと格好良く飛び移れなかったのかしら・・・いいから船の中に入るよ。」



嵐の波間を大きく揺れる帆船の中へと3人は入ってゆく。

そこには真っ暗闇の世界だけが広がっていた。



「ほら宗谷、アンタ懐中電灯持ってきているかい?」



「いいえ、お婆さま。ですがこれがあれば・・・」



携えていたVR通信マシーンのスイッチを入れると暗視カメラの効果でモニター越しに辺りが映し出される。人気のない船内は大波のせいでそこらじゅうの椅子やらテーブルが散らかっている。



「何かぁ~食べるものがないかなぁ~~~」



マシーンで辺りを照らし出しながら鼻歌のようにのんきに呟く宗谷にウメがまたもひっぱたく!



「もう、あんたって子は。アタシだって腹減ってんだよ。ねぇ、キャンもそうでしょ。でもね、あの3人の勇者たちを見つけるまでは我慢しなさいっ。」



ひっぱたかれたショックとアイラインが涙で黒く頬を伝う幽霊のようなキャンがモニター越しに浮かび上がった事により宗谷が雄叫びを上げて飛び上がる。

ウメは何事もなかったかのようにキャンの手を取ると、手探りで奥の扉のほうへと突き進んでゆく―――



さすが大型帆船だけあって、遠くまで続く通路を3人は進んでゆくと、宗谷はモニターに「Pantry/Kittin」の表記を見つける。すると歩みを止めて先を行く二人に気づかれないように、一人こっそりとキッチンルームに忍び込んだのだった~~~



不思議な事に先ほどまで誰かが食事をしていたようにテーブルに数人分の食事が用意されてあった。食べかけのパン、スープには湯気が湧き上がっている。なんともいい匂いだ。空腹に耐えかねてたまらず宗谷は皿にスープをよそると、喉に流し込んだ。



「ん、うんめぇ~っ!」



それから大皿にデーンと鎮座する一羽の七面鳥の丸焼きのモモ肉をつかんで引きちぎるや、もう誰にもとめられぬ様子でかぶりついた。無我夢中で傍らの年代ものと思しき赤ワインをデキャンターに注ぐや、そのままグビグビ喉を鳴らしながら流し込む。嗚呼、宗谷にとって久々の至福の時間が訪れたのであった。

思考が麻痺したのだろう、何も不思議に思う事もない様子で―――



「あれ?宗谷さんは?」



キャンが宗谷が居ない事に気づくとウメに告げる。



「どうせどこかで道草でも食ってるんでしょ。居ても居なくても一緒だからほっときなさい。」



「それにしても不思議じゃありません?だってこの船に到着したときに大勢の助けを求める悲鳴が聞こえたじゃありませんか。なのに・・・」



「それもそうねぇ・・・きっと嵐のせいで海鳴りか何かと聞き違えたんでしょ。ほら、人っ子一人居そうにないし。」



「そうですね、あたしずぶ濡れになっちゃったから寒くなってきちゃった・・・」



「そうねぇ・・・あ、あそこにシャワー室があるから暖まるといいわ。」




~*~*~*~*~*~*~*~



背後に気配を感じたフォーが今来た通路を戻り始める。

それも理由ではあったが、半分は恐怖の余り逃げ出したい心境でもあった。

やはり所々に大勢の遺骸が横たわっているのを横目にしながら突き進む。

手元には先ほど見つけたランプを持って、前方を照らしてゆく。

するとシャワー室から水の流れる音が聞こえ始める。

扉を開くとウメが更衣室の長いすに佇んでいた。



「あれぇ、ウメさん。何故此処に?」



「あらら、これはこれはネロ伯爵のお出ましだねぇ!何ともご無事で。それがね、モンスター達がどうしたことか急に元の石像に戻ってしまって・・・そして海に落っこちちゃったのよ。幸いにも私達は無事この船に飛び移る事が出来たのですが。」



「へぇ~。それで、我が愛馬パトラッシュもですか?」



「ええ。しかしケントとCAリンリンの乗るモンスター・ヒロトだけが無事だったので、私が助けを呼びに行かせたのでして・・・あら、ナリミーとソルジャーはどちらに?」



「それがですねぇ・・・実は先ほど私のVRモニターに映し出されたのですが、ごぞんじですよね?」



「は?私達には何も。」



「それは不思議だ、一体誰の仕業なのか・・・実はですねぇ、どうやら二人はこの船に住んでいる海賊たちの餌食となって捕らえられてしまったようです。」



「か、海賊?一体どちらに?」



「ほら、貴方の座っているそれは・・・嗚呼、心臓に悪いからご存知にならないほうが宜しいかも知れませんが・・・海賊の以外の上に乗っかっておられまして・・・」



「へ?遺骸ですか?どこが?」


「それが。」


「何故に。」


「だから、その、貴方のお尻の下の。」


「何を仰って?伯爵ったらまたぁ!これは長椅子よ。」


「ですから・・・そのぅ、四つんばいになった海賊の遺骸でありまして・・・」


「伯爵、貴方きっと気が触れてしまったのですわね。或いはパカにでもなってしまったのですか?」


「パ、パカでありますか?それは何事で?」


「ですから、本当に申し訳にくいのですが、貴方パカあるか?」


「パ、パカでありますか?それは何故に?」


「パカはパカでありまする。」


「ワシがパカであるのか?という事は・・・アルパカか?」


「はい、そのようで。」


「ではいつから?」


「私の記憶では、一目あったその日から。」


「愛の花咲く事もある。」


「何をおっしゃるウサギさん。」


「いいえ貴方はアルパカさん。」


「そして彼女はパンツを探しているのでしょう・・・」



するとシャワーを浴び終わったキャンがウメにパンツをせがんでいたのだった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


Scene.38



「いやぁ、ぞっとしますわね。伯爵が憑依しているから見えているのですね。しかしクエストに応えられなかったら2人は一体どうなっちゃうんでしょうか?」



幽霊の上に座ったままのウメは顔色一つ変えるでもなくそのままの姿勢でフォーに問いかける。無事パンツをゲットしたキャンは未だ来ない宗谷を探しに向かった。



「それは私にも判りません。しかしタイムリミットはあと3日との事でして。」



「あら、ならば余裕ですわね。幾ら大きな帆船であっても3日もあれば隅々まで確認できますでしょ?」



「しかし、無事クエストをクリアできるとも解りませんし、なにしろ彼らは危険な状況下にあるということですので、一刻を争うのではないかと・・・」



「ウッギャア~ッ!ピピプゥ・・・・」



その悲鳴を聞いたフォーとウメはキャンの元へと走る。

先ほどの通路を戻るとキッチンの扉が開け放たれているのを見つける。

到着するや、テーブルの上に宗谷が横たわっている。七面鳥の皿の上に乗っかって。

キャンは何か恐ろしいものを見たように呆然として床にへたり込んでいる。

すると今度はどうした事か、先ほどまで颯爽とした登場の伯爵憑依中のフォー仙人がカタカタと震えだすではないか。これにはウメも動揺し始める―――



「ウ、ウフェ~ッ!お前って奴は・・・何食ってるのか解ってんのか・・・・」



息も絶え絶えな様子でやっとのことで宗谷に向かって声を張り上げるフォー仙人。

思わずその形相に圧倒されるウメ。



「あら、そんなに大きな声でどうしちゃったの?何って、モモ肉でしょ?」



「お、お前・・・それは足だぞっ!」



「だから、そりゃそうでしょうよ。足に決まっているじゃない、鳥の。」



「いいや、それは違う。」



「な、なにがよ、大袈裟に。貴方まさかアルパカとか言うわけじゃないでしょうね。」



「いいや、ヒト・・・」



「アンタ本当にアルパカね!キャンは一体どうなっちゃってるの?」



「ウメさん・・・実は私にも見えるの。海賊の遺骸の足にかぶりついている宗谷君が・・・」



すると急にウメの眼前にVR像がディスプレイされる。





~*~*~*~*~*~*~*~


~Mission~



ウメさん、これは君にしか見えないMissionだ。

そしてくれぐれもこの内容は他の誰にも話してはならない。

お孫さんの宗谷君を助けたいのならばね。


君は今からフォー仙人とキャンとは別行動とする。

これからは単独での行動が鉄則だ。

君には専用のクエストが用意されている。

詳細については追って連絡する。


さぁ、ウメよ!心行くまで楽しんでゆくがいい。




~*~*~*~*~*~*~*~










~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~


////////// To Be Continued ☆☆☆☆☆







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