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第2章

VRツアーに参加したとある精神科医があちらの世界でドアーフってどういうこと?! 第2章  作: 大丈生夫 (ダイジョウイクオ)




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

VRツアー開催内容:


・目的地: 未定

・日程; ご都合次第

・料金: まずは無料体験ツアーとなります。

・開催場所: 追って連絡


※ 詳細は担当者にご確認下さい。


By:宗谷


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


Scene.03


精神科医・成宮は結局眠れぬ夜を過ごしてしまっていた。

それというのも当然のこと、例の精神障害を引き起こして此処に通うことになった宗谷君の置いていった一通のツアー案内のパンフレットが気がかりでいたからに他ならず・・・



明くる日となった今、妻の入れたコーヒーで頭の曇りを取っている。

そんなもの、どうせ取れる筈も無く。



まだ開院前の8:30だというのに、予想しなかったでもないが彼はやってきた。



「おはよう御座います。」



「ああ、おはよう。」


「あのう、見てもらえました、此処に・・・」


「ああ、判っている。」


「どうでした、気に入ってもらえましたか?」


「と、いうと?」


「ですから~、ツアーのことですよぅ。」


「そうだね、いいや、的を得んな。」


「と、申しますと。」


「だから!君は私に何の目的で・・・おちょくってでもいるのかい?」


「いいえ、滅相も無く・・・・」


「ほら、その態度。何を言いたいのかまるで判らん!」


「え、そんなに苛めないでくださいよぅ、朝から。」


「はぁ?それはこっちのセリフだぞ!少なくともワシは医者だぞ!」


「へ?言われなくとも存じておりますが・・・」


「良かろう。確かに君は患者だ。ああ、自覚は無いかもしれないが・・・いや、別に勘ぐっている訳ではないぞ、念のため。ただ、君が今も続けている会社の仕事のノルマやも知れないが、往々にして、そう、一般的な解釈の中であれはどうかと。」


「と、申しますと?先生こそ私を馬鹿にしてはいませんか?」



宗谷が途方に暮れたでもいるような表情で問う。

確かにまだ頭のコンディションがすっきりしていなかったかもしれないが、朝一にしては突拍子も無く言葉が過ぎたかもしれないとしばし反省モードに入る成宮。


しかし、成宮の疑義は昨夜の眠れぬ夜を過ごす羽目になったその一文に、正直困惑を隠せないでいたのは事実だった。



「ようし、端的に言おう。君の魂胆、もとい、このパンフレットの意味は?」


「そうですねぇ、勿論ノルマほどではありませんが、仕事の一部であって・・・先生なら僕と旅行をしてくれるのではないかと浅はかな期待はありましたが、ダメですか?」


「いや、私にとっても興味深いのが正直であるが。」


「良かったぁ~、じゃ行きましょうよ、一緒に!」


「そうだねぇ、じゃ、気軽にそうするか。それで、今現在、他のお客さんは?」


「ええ、まだ誰一人として・・・」


「何それ?で、準備はどんな感じ?」


「一応、当社のプログラマーがシチュエーションの設定を終えて、VRヘッドは今のところ10名分は確保してあります。最短で今日の午後には旅立てる手配は完了済みです。」」


「日程が、ご都合次第で無料体験なら午後からでも良いということかね?」


「はい、然様で。」


「ううむ・・・よし、じゃ、行こか!」



唐突な成宮の返答に宗谷は動揺を隠せないでいる。


「では、係りに早速相談してみます。」



そう言うや宗谷は何やらスマホをいじり始める。

そうとなれば成宮も旅行の準備を始めるほかない。

早速妻に電話してと・・・あ、その前に今日は臨時休業にしよう!



そんなこんなで不可解なツアーは始まりを告げようとしているのであった・・・・




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


Scene.04



「おい、それで?」


成宮医師が宗谷に確認する。


「ええと、本来でしたらもう少々人数が集まったところで行きたかったのですが、予算の関係で・・・でも、社長の一存で今回は初回ということも考慮して実施の運びとなりました!」


「で、僕らを入れて何人で行くのかな?」


「本日午後便の現在の予約は私達を含めて8人となります。」


「よし、じゃ、決まりだな!」


「はい、よろしくお願い致します。」



というわけで、成宮にとって急ではあったが、閑散期ではあったので、唐突なツアーの決行の運びとなった。



「じゃ、これから妻に荷物を準備してもらっているから、集合場所は何処かな?」


「ええ、依存が無いようでしたら出来ましたらウチの社で。」


「というと、3丁目の?」


「はい。私の荷物は既に社に準備して有りますので、先生さえ宜しければご案内いたします。」


「では、ここを11:00に立つというのはどうかね?」


「はい、問題ありません。」


「じゃ、そうすることにしよう。」



二人の予定が決まると、早速宗谷は戸外へと出て行った。




~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



11:00五分前に宗谷は再び現れる。



「お待たせしました、ご準備は宜しいでしょうか?」


「ああ。何時でも。妻が旅支度にと弁当なぞ作りおって・・・誠に恥ずかしながら・・持ってっても良い?」


「あ、はい、喜んで!」


「ならば、いざ出陣!」



そう言うと成宮医師は年甲斐も無くはしゃいだ様にスキップなんぞを軽快に醸し出しながらツアーコンダクターと化した宗谷のあとを追ってゆくのであった・・・・



~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



通りを抜け3丁目に差し掛かると、やがて宗谷の勤めるオフィスビルの立ちはだかる市街に到着した。


エントランスには既に待ちわびたような面持ちの6人が点々に鎮座している。

既に受付は完了している様子であり、一様にIDカードを首からぶら下げている。

宗谷に案内されるまま、参加者一同はエレベーターへと乗り込んでゆく。

そして、エレベーターは8Fに到着した。



「さ、どうぞ。」



エレベーターが8Fに到着すると、ツアーコンダクターと化した病んだ宗谷が一同をエントランスから奥の間へと通路を奥へと案内してゆく。


成宮医師の胸中には一応患者という概念を携えてはいたのだが、その彼の颯爽とした横顔から、いざ修羅場へと赴いてゆく武将のそれを見ているような気さえして、いささか安堵感を憶えるのではあった。


今回のツアーの面々は、見るかぎり若者ばかりであったが、ただ気になったのは、年の頃90代の老婆が一人混ざっていること。


彼女のその意思は、一体何処から来るものであろうか・・・増してやその御歳においてこの、言わば最新鋭の事象に乗り込んでゆく勇気が、時として気がかりではあるのだが。



そして、終にツアーの開催地となる通路突き当りの催し会場の門戸は開かれた。

それは真っ白な会場であり、まるでマッサージ器が並ぶような配置にリクライニングシートが人数分準備されていた。

そして宗谷が指示を始める。



「皆様、本日はお日柄も良く、おいで下さり誠にありがとう御座います。」



言うまでも無く定例句を発する宗谷。



「では皆様、こちらにあります席に着席願います。」



そのマッサージチェア様の座席に各自言われるまま促される。

傍らにはVRのヘッドセットがしつらえてある。

一同は着席すると、宗谷からの今回のツアーの説明が始まる。

30分くらい経って説明が終わると、一同はVRヘッドを装着する。

画面上は未だ真っ暗のまま、電源が入ったのであろうか宗谷の声がヘッドフォン越しに聞こえてくる。



「では、長らくお待たせしました。ツアーの開始となります!」



すると・・・・VRヘッドのディスプレィ上に宗谷の会社の社名が浮かび上がる。

「Electric Ride Co.」と。

そして・・・その表示が消えるや一同はまるで睡魔にでも襲われたように記憶を失っていった・・・・・・



~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~




しばらくして成宮医師が気付くと、とある丘の草原にリクライニングシートごと着座している。

左右を確認すると、先ほどの真っ白い催し場のままの配置で、ツアーメンバー達がシートごと草原に到着でもしたような形で並んでいる。


なんとも不思議な光景。これがVRというものであろうか・・・初体験!



そして、その静かな草原の何処からとも無く、まるで天の声のような木霊で、先ほどのツアーコンダクター宗谷の声が響き渡る。



「皆様、長旅お疲れ様でした。そして本日からこの地において、皆様方にはとあるミッションが予定されております。それにつきましては、ご参加されるのも自由、されないのも個人の権限において自由となりますのでご理解下さい。では各自の目の前にミッションの詳細を表示いたします・・・・・」
















////////// To Be Continued ☆☆☆☆☆























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