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第18章

VRツアーに参加したとある精神科医があちらの世界でドアーフってどういうこと?! 第18章 



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


Scene.27



ドラゴンの曲芸が終わると、さすがのドラゴン・ヒロトとメグミもへとへとでその場に突っ伏してしまった!

慌てたCA.リンリンがケントと一緒に噴水の水を汲んできて2頭にぶっ掛ける。

余りの冷たさに2頭が飛び上がると、なんと何処かへ飛んで言ってしまったではないか。

これにはドアーフ一行もあきれかえった。



キャンがハットに貯まった今日のあがりであるコインを数えている。


「オマエってやつは、こんな時に計算高い女だなっ、ヒヒッ!」

ソルジャーがキャンをいじる。


「なによ、酷いこと言っちゃって、あんただって横取りしないでよねっ!」


「ハイハイ、それでどれ位ある?」


「そうねぇ~ざっと宿泊代も入れて3日分くらいありそう。」


「すんげぇ~!ドラゴンちゃんやるぅ~!」


すると先導役となったばかりの元自宅警備員・ハイジがようやく自分の出番だといった様子で皆に言う。


「それでは夜も暮れましたので、本日の宿を探しましょう。」


「その前にお腹すいた~」


「それもそうですね、では食事としましょうか。」


ハイジ率いる一行はミラージュ市街へと散策に向かうことになった。



~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~

~~~~~~~~~~~~~~~



ミラージュ市街は夜になっても賑わいを見せていた。街中は所々ライトアップされている。そういえばハロウィンの時期だったことに一同は気付く。


「皆んな、なに食べたい?私は今日はガッツリステーキ、ニンニク効かせたやつね!」


「おいらもそれがいい!」


「私は白身魚のムニエルで赤ワインを少々、それとフォアグラで乾杯なんぞ・・・」


「中々おつですねぇ・・・わたしゃ久々に梅干茶漬けなんぞ戴きたいね。」


「そんなもん、あるわけないじゃん・・・ハハッ!」


元老婆ウメの言葉に一同が爆笑する。

ハイジガ一軒のバルを覗く。


「みなさん、此処にしましょう!」


皆の意見も上の空の様子で勝手に決めるとハイジは入って行った。

使用が無くハイジの後に続く面々。


バルの中は先ほどの町の喧騒とは裏腹に人っ子一人居ないで静まり返っている。

カウンターに一同は着席すると、奥から一人の吊りひげの老人が出てきた。

一同は思わず眼を見開く。


「お、おまえ・・・仙人・・・」


「おおこれはこれは皆さんお揃いで!ようこそ、我がバルへ。」


一同は見覚えのあるその仙人フォーに驚きを隠せない。

ソルジャーがカウンター席に身を乗り出しながら叫ぶ。


「お、オマエって奴はどうして此処に、それより金返せ!」


「と、申しますと?」


「だから、俺達のバイト代オマエがくすねたんだろ?」


「ん~、ちと違いますぞよ。それよりご注文をどうぞ。」


「じゃなくて、一体どうなっているんだ?」


「実はね、さきほどドラゴンに乗って上空を滑空していると、広場でドラゴンたちが曲芸をしているのに出くわしましてね。一目で君達だと解りましたよ。それでね、私は君達のお給金をちゃんと手渡そうと思いましてね。」


「じゃ、渡してもらおうか?」


「それは後ほど・・・それで、フランクからお給金を受け取った際に小耳に挟んだのですが・・・あなた達にとって喜ばしいある情報を入手しました。」


仙人フォーの様子を伺う面々。興味しんしんで耳を傾ける。


「その前に、ご注文を。」


一同はフォーにMENUを手渡されるや、空腹に耐えかねてむさぼるように覗き込んだ。


「あれ、ちゃあんと梅干茶漬けあるじゃない、ホホホィッ!」


「お、鯛のムニエル、あるねぇ!それと赤ワインのいいのを頼む。」


「じゃビフテキ1kgニンニク効かせてねっ!」


「おいらも1kgで!」


ひとまず夕食とすることにした。腹が減っては戦に勝てぬ、ってね。



~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~

~~~~~~~~~~~~~~~



一同は満腹でご機嫌であった。

一仕事終えた仙人フォーはバーボンの栓を開けると自分のグラスに注ぐ。

一口グビッと飲み干すと


「カーッ!」


と大声で叫ぶ。

それを合図にしたように何処からともなくバンドネオンを抱えた男と派手な衣装の女が現れるとカルメンをかなで始める。

軽快なタップで床を踏み鳴らしながら踊りは始まった。

リズミカルに舞う女が流暢に歌う♪♪♪♪

何曲か聞いた頃、仙人が思い出したように呟き始める。


「先ほどの話に戻ろう。実はな、君達に次のミッションに丁度いいハナシがあるんじゃが。」


そういうとフォーはもう一杯バーボンを煽る。


「この先の高台にこの町の伯爵夫人、今はもう未亡人なのだが、その方の城の改築工事が始まるそうなんだ。そこで、我々も参加してもう一稼ぎしようと思うんじゃが、どう?」


一同は沈黙する。それもそのはず先ほどまでバイト代をネコババしようとしたフォーに信用などしていないのだから。


「それで、また俺らをこき使って自分だけ儲けようという考えなんだろう、どうせ。」


「いいや、ならば一先ず君達にバイト代を返そう!」


そういうとフォーは奥の台所へとそそくさと向かう。

戻ってきたフォーはフランクから受け取った巾着袋の中身をカウンターにぶちまけた!


「おおぅ!」


一同は金色に輝く山ほどの金貨に眼を丸くする。

キャンが思わず飛び跳ねる!


「どうじゃ!これなら信じるかい?」


フォーは何故かご機嫌な様子で一同の様子を伺っている。

無言の面々。

暫くして元精神課医のナリミーが言う。


「わかりました。それではこの金は私が預かりましょう。」


一同に信頼されているナリミーに皆は同意した。

ナリミーは金貨をかき集めると巾着に入れて懐に仕舞った。

仙人が続ける。


「それでな、その未亡人である伯爵夫人は、その城を修復した後、高額で売却し、養老院に入るのじゃと。そこでだ、ワシらのドアーフとしての腕を見せ付けるいい機会になるから、その評判が知れればワシらに注文が殺到すると思うのじゃが、如何かな?」


一同は考え始めたものの、すっかり酔いつぶれているケントの同意は得られていない。

ナリミーがフォーに言う。


「まだ海のものとも山のものとも解りませんよ。それにご婦人の了解が得られなければなんとも・・・ひとまず明日、現地に向かいましょう。」


「よーし、そうしよう。ところで今夜は此処に泊まるといい。」


フォーの勧めで今夜はバルの2階に宿泊することになった。



~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~

~~~~~~~~~~~~~~~



VRツアコン宗谷はミラージュ市街の一等地に建つ3つ星ホテルの最上階のスイートルームでドアーフ一行のやり取りを傍受していた。


バルを偶然発見したと思い込んでいる一同がフォーと再会するのも全て宗谷の仕組んだプログラミングどおりに遂行されていた。

順調にツアーが進んでいるのを確認すると、ホッと一安心して深い眠りに着くのであった。







~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~


////////// To Be Continued ☆☆☆☆☆







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