第16章
VRツアーに参加したとある精神科医があちらの世界でドアーフってどういうこと?! 第16章
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Scene.25
ぴちぴちな老婆のウメ率いる一行は台風一過の空の下、再びVRツアー開始と相成った。
ノイシュバンシュタイン城主フランク、仙人フォー、そしてツアコンでウメの甥っ子である宗谷にも裏切られた今となっては、逆に気軽にツアーを楽しめるものさ。
可愛らしい門柱モンスタードラゴンのヒロトとメグミにまたがった一行はさわやかな秋晴れの空の下、天高く羽ばたき上ってゆく。
キャンだけが高所恐怖症のせいか、さきほどからギャーギャーわめいている。
グングンと城が眼下に小さくなっていった。
「ほらキャン、わめいたってもう遅いようっ!ヒヒッ!なっ、ヒロト、メグミ!」
意地悪くキャンをあしらうのは元自宅警備員のハイジ。これからの道先案内は、ひとまずハイジに任せることとなった。
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山を越え谷を越えてゆくドラゴンたちはご機嫌にのんびりと滑空し続けてゆく。
清清しい秋風が皆の頬を撫でる。余りの心地よさに元自衛官のソルジャーが、なんとうたた寝を始めるではないか。
ケントとCAリンリンは眼下に草原と湖が見え始めるとうきうきする。まるでハネムーンの二人にも似て・・・
元精神課医のナリミーは当初の目的であるツアコン宗谷の療養から開放されたことに、ホッとした気持ちでいた。やっと気まぐれな自分らしい旅が始まったような気がして―――
やがて遠くに赤い屋根の街並みが見えてくると、二頭のドラゴンは着陸態勢に入った。
元CAリンリンが慣れた口調でアナウンスを開始。
「アーアー!当機は間もなく赤い屋根の街並みへと着陸態勢に入りまーす!皆様振り落とされないようにしっかりとドラゴンちゃんに捕まっていて下さいネ!」
なんともご粗末なアナウンスに一行はクスクスと笑う。
街角の公園の空き地が近づくと、そこへパタパタと羽音を奏でながら可愛らしいヒロト、メグミがドスンと地面に着地した。
余りのその衝撃で一行は地面へと弾き飛ばされる。
「もう、なんだよぅっ、もうちょっと上手に着地出来ないのかい!」
ハイジがドラゴンに小言を言う。
お宅であるハイジはその嗅覚で始めて降り立った赤い屋根の家々が並ぶ街の散策に、ドアーフ一行を引率し始めるのであった。
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フランクと仙人フォーが一行が逃げ出したことに気付いたのは、既に夕方になった頃だった。
「おい、どーするんだね、フォー!オマエにドアーフ達の授業料を払っといたのに!」
「そ、そう申されましても・・・ヒヒッ・・・」
「ん?もしやオマエ、脱走の手助けまでしたのではないだろうな?」
「いえいえ、ただ、ワシはモンスターの彫刻作成の授業をしたまで出御座いまして、何も企んでなどはいませんぜ!イヒヒ・・・」
「じゃ、その笑い方はなんだね?胡散臭いなぁ。」
「それよりあの宗谷というツアコンのほうが怪しいですよ。まるでそうなることを解っていたような態度で逃げていきましたっけ。」
「ううむ・・・ならば君に新たなミッションを与えよう・・・宗谷を探せっ!」
「では、前払いとなりますが、宜しいでしょうか?」
「オマエってやつは、変なところがしっかりしているな。まぁ仕方なかろう、ハイこれ。」
城主フランクは懐から金貨の入った小袋をフォーに手渡す。
それを掴むやフォーはそそくさと戸外へ駆け出していった。
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しめしめ、まんまとせしめてやったぞ!オレがオマエの言うことをいつまでも聞いていると思ったら大間違いさ。ざまぁフランク!オレ様もこの期に及んでお前の城からトンズラすることに決まってるだろ。ま、宗谷を見つけたら願いってタッグを組んでいずれお前の城ごと乗っ取ってやるから首を洗って待っておきなっ!
中々隅に置けない仙人フォーの旅も始まろうとしていた~*~*~*
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そのころ宗谷は次なるミッションを企てていた。
あたかもドアーフ達を見限ったふりをしたのも作戦の一つであった。
ナンタって「VRツアー」であるから、城に幽閉されたままならば先には進めない。私の本来の目的である壮大なるお家争いの復讐計画への矛先は着々と練られていくのであった・・・・
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////////// To Be Continued ☆☆☆☆☆




