第150章
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ミケロッティ伯爵「ところでクレソン女史は仙人フォーを自分の居場所に何故引き寄せたのでしょう?」
王様☆宗谷「本当のところ私にも妻の行動には謎が多くて困り果てていたのだよ。お前も知っての通り。確かに私も世の幸せのためにあちこち奔走していたから妻には寂しい思いをさせてしまったのは誠に申し訳ないとは感じている。だが、やはり彼女はかつての亭主であるネロ伯爵の事を何かにつけ口にしていた。言うなれば私とネロ伯爵は彼女の中で比較対象となっていたのだろう。そして彼女が死んだ筈のネロ伯爵と孤島で再会したことを何かにつけ私に語ったものだ。」
ミケロッティ伯爵「ほう、と申しますと?」
王様☆宗谷「ネロ伯爵が漂着したその孤島でお世話になった命の恩人である女と一緒に暮らし、そして彼女は身籠った。そう、クレソン女史とも子供ができなかったのに再会したネロ伯爵が子供を授かって家族を築いて暮らしていたことが相当クレソンには応えたに違いない。私も傷ついた彼女の気持ちをなだめてはみたものの、やはりクレソンの中では断ち切れないものがあったのだろう。だから私はクレソンに新しい別邸を与えてできる限り彼女を自由に暮らせる選択を与えたのだ。」
ミケロッティ伯爵「宗谷様、私の存じ得ないところでさぞかし苦労されていたのですね……それはそれは……」
王様☆宗谷「そうでもないさ、私も自己のエゴのために何かと公務に追われていたからね。ある意味クレソンが勝手気ままな暮らしをしてくれた事で、私は楽だったかもしれないね、お互い干渉せずにね。」
ミケロッティ伯爵「なるほど、貴方のお気持ちは痛いほど察します。ところで話は変わりますが仙人フォーについてクレソン女史が彼に玉手箱を渡す手筈までして自分の居るリープ先に招いたのはどんな意味があるのでしょうか?」
王様☆宗谷「ほら、君も覚えているだろうか、仙人フォーは何処かにワールド中に散らばった魔石を何処かに隠し持って居ることを。あくまで私の推測なのだが、フランク伯爵にクレソンは白魔術をかけられて操られているのだろう。そしてフォーの持っている魔石を自分のものにしてこのワールドで再び返り咲こうと画策しているとも言えなくはない。」
ミケロッティ伯爵「ハハッ、それは王様、失礼とは存じますがお考え過ぎでは?既に貴方が王位についてワールドを手中に収めておいでですから、今更魔石を手に入れたって手遅れですよね~。」
王様☆宗谷「そうかもな、だが君は魔石の本当のパワーを知らない。魔石には私のVRツアーを構築するレベルとは桁違いのパワーを秘められているのさ。その事を知っているのは私と仙人フォーくらいだろう……実のところあの魔石はこのワールドの規模を超えて過去と未来を凌駕し如何なるパラレルワールドにも影響を与えるだけの脅威であることを。もっとも全ての魔石を揃えてこそそのパワーが成り立つのだが、フォーが一度全ての魔石を集めた筈だが、離島への漂流中に無くしたと言っていたな。もしそれが本当ならば今頃海の底だろう。」
ミケロッティ伯爵「もし本当はフォーが隠し持っていたならば、フォーのスキルはフランク伯爵よりも上手であり誰も太刀打ちできないことになりますかな?」
宗谷「もしかしてその事にフランク伯爵は気付いたのかもしれない。そして彼を身方につけて我が王国の乗っ取りを企て始めているのかもしれないーーー」
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その頃ナリミー率いる孤島のドアーフ一行はようやく市街へと入る門まで辿り着いた。門の前ではこの島で初めて出会う人間である門番が市街入り口を物々しくガードしている様子。そこでナリミーが門番に一言取り合ってみると、どうしたことかすんなりと我々一行を通させたのだった。
元自宅警備員ハイジ「しかし何だか厳重すぎるよな。なのにナリミーさん、どうしてこんなに簡単に通してもらえたの?」
元精神科医ナリミー「うん、こちらの島の管制塔にに前もって来ることを伝えていたのさ。VRコントローラに始めから機能が備わっているので当日でも手続きすれば入れるけど、時間がかかりそうだからね。」
元自衛官ソルジャー「それにしても市街に入ったところで人影はちらほら、何だか寂れた様子で賑やかな感じは無いなぁ。」
ウメ婆さん「そうじゃな、市街にしてはちょっと様子がおかしくないか?外側から見たときと同じように殺風景な塀がズドーンと遥か向こうの端まで続いているだけじゃ。」
するとナリミーがVRマップを観ながら何かを探している様子。そして立ち止まる。
ナリミー「さぁこの辺に……あった!」
ハイジ「何があったので?」
ナリミー「もうすぐ解りますよ!ほら。」
するとドアーフ一行の足元の石畳が皆を取り囲むように光のラインが現れるやそこから切り落とす感じで地下へと沈んでゆくではないか。
キャン「え、怖いんだけど一体我々を何処へ連れてゆくというのッピリ〜!」
ウメ婆さん「こりゃまるでエレベーターが現れたようじゃが、どんどん地下に下がっとるのぅ……」
ようやく一行は階下に到着した様子で石畳のエレベーターが止まると、目の前の扉が開け放たれた。そこにはこの離島とは似つかわしくないイルミネーションで彩られたショッピングモールが広がる。あまりの以外な景色に驚きのあまり皆黙り込んでしまうのであったーーー
///to be continued!!!☆☆☆〜〜〜




