第144章
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〜〜はて、ワシは一体どうなってしまったのじゃろう……確かあの箱を開けたらなんだか真っ白な煙に巻かれたまでは記憶にあるのじゃが。まさかあちらの世界へログアウトできた訳ではないよな?
仙人フォーはいつの間に辿り着いたのであろう真っ白な砂浜に一人佇んでいるのだった。秋のビーチは心地よい気温で快適な風が頬を撫でる〜〜〜辺りには人けが見られない。もしかして無人島ではなかろうか?ふとフォーに不安がよぎるのだったーーーー
仙人フォー「お〜い、誰かおらんのかぁ〜!」
波の音だけが静かに漂う真っ白な砂浜と何処までも天高い青い空の中、仙人フォーはまるで違う世界にリープしたような錯覚を覚える。すると遠くに一人の人影がぼんやりとした陽炎の向こうに現れる。その容姿は黒尽くめのレースのドレスを纏った日傘をさしたマダム。ようやく人に出会えたことに幾らか安堵の様子の仙人フォーは、思わず小走りになりながら彼女の方へと砂浜を駆け出してゆく。その様子はまるで迷子の子が母親を見つけたのに似ている……
仙人フォー「お〜い、そこのお方お待ちくだされぇ〜!」
必死の思いで両手でSOSを求めるようなフォーは息を切らせながら黒尽くめの女に近づいてゆく。ようやく彼女の方もこちらに気づいた様子で日傘を持ったまま立ち止まる。するとフォーはふと彼女に何故か見覚えのある気がし始めるーーー
仙人フォー「あれ?貴方はもしやクレソン女史ではありませぬかぁ?」
すると彼女はフォーの問いかけに怪訝な様子でサングラス越しにこちらを眺めている。もしかして別人?それにしても瓜二つにしか見えない。そして彼女の間近まで近寄るや、フォーは確信する。
仙人フォー「これはこれはクレソン女史!それにしても何故此処にお一人で?」
フォーの馴れ馴れしい様子にためらったような彼女が呟き始めるーーー
ドレスの女「あのぅ、貴方は何か勘違いなされては居ませんかしら?」
仙人フォー「何を仰ります、クレソン女史。いけ好かないてまはありませぬか!オトボケになられて……」
ドレスの女「私は残念ですが貴方のことを存じ上げてはおりません。お気を悪くなさらないでね。」
仙人フォー「またまた!では貴方のお名前は?」
ドレスの女「マドレーヌと申します。」
仙人フォー「マドレーヌ?ではクレソンではないので?」
ドレスの女「はい、左様で。ではご質問ですが、貴方はどちらから参られたのですか?」
仙人フォー「ああ、それがじゃな、あのウメ婆さんの甥っ子の王様☆宗谷の宮殿からほど近くのビーチで玉手箱を開けた途端にこちらにワープしたようでして……もしや此処はログアウト先の元の世界なのかな?」
マドレーヌ「王様☆宗谷?ごめんなさいね、仰りたい事が理解出来なくて……何か私に手伝えることはあります?」
仙人フォー「ワシは夢でも見ているのじゃろか?クレソンや、ワシを騙すのはよしなさい。ただでさえこの老いぼれがワープして来たことで途方に暮れとるのジャから、悪い嘘はよして仲間たちの所へ連れてっておくれ。もう疲れ切った……」
マドレーヌ「そう申されても困りましたわ。私はこのミケランジェロ島に生まれ育った頃からマドレーヌで通してまいりましたからね。貴方の仰りますクレソンさんと私がそんなに似ております?」
仙人フォー「ジャから、クレソンや、年寄りをもう虐めないでおくれぇ〜。しかし不思議じゃな、ワシが世界中駆け回って来たがミケランジェロ島など聞き覚えがないがなぁ……」
マドレーヌ「きっとお疲れのせいで意識が混濁なされているのね……ではとりあえず私のロッジに向かいましょう。」
仙人フォーはマドレーヌと言う名のクレソンそっくりなドレスの女に手を引かれながら砂浜の見渡せる丘の上にある彼女のロッジへと登ってゆく〜〜〜
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ウメ婆さん「た、大変じゃあ!ということはフォーは本当にログアウトしてしまったんだ!これでは我々もログアウトするしか手はないぞよ!」
元自宅警備員ハイジ「ウメ婆さん落ち着いて下さい。確かにこの箱を開けた途端に湧き出した煙幕によつてフォーは姿をくらまされましたが、もしやその辺に隠れている可能性もあります。ですから皆で手分けして探しましょう。」
元精神科医ナリミー「ちょ、ちょっとお待ちください!もう一度状況を分析し直しましょう。まず、何故仙人フォーがこの場から逃げ出す必要があったのでしょうか?何故ならばこの場にそのままいる事で、彼の望みのログアウトが王様☆宗谷の白魔術によって無事に遂行されたのですからね。逃げる必要などなかったでしょう。それに、煙幕と同時に消滅したところから推測するに、この場所から彼の地にワープしたのは間違いないでしょう。ワープ先であるその場所についてはキャンの言うように玉手箱を渡したクレソン女史がご存知の筈です。ということはですね、クレソン女史にお愛して事情を探るのが早急な解決の糸口になると考えられませんか?」
ドワーフ一行はナリミーの見解に眉を潜める。
キャン「しかしクレソン女史って一体何処にいるのかなぁッピ!」
するといつの間にか現れた王様☆宗谷が彼らのもとににじり寄るや、
王様☆宗谷「それならばご安心を。我が妻の行き先は手に取るように把握していますからね。ほら、このVRコントローラーを使えば……アレッ!」
ウメ婆さん「これこれ宗谷や。お前さん何か勘違いしてはおらんかな?このVRコントローラーは白魔術の要素のある人物にのみフィルターをかけることが出来る機能が装備されているのじゃから、お前さんにはフルコントロールは無理じゃよ。ほうら、貸してみ。」
ウメ婆さんの手に渡ったVRコントローラーは何の問題もなくGPS探査を開始する。そしてドワーフ一行のVRヘッドにクレソンの姿が映し出されてゆく〜〜〜
ナリミー「こ、これは何ということだ……大変だ!」
///to be continued!!!☆☆☆〜〜〜




