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第14章

VRツアーに参加したとある精神科医があちらの世界でドアーフってどういうこと?! 第14章 



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


Scene.22



居室では宗谷とウメの孫と婆様の家族会議の様相が続いていた。

半ばフランクに囚われの身であるドアーフ一同も呆れ顔で事の次第を眺めている。



「だいたいアンタがこんなツアーを計画さえしなければ、わたしゃ余生をせんべいでも食ってのんびり暮らしていたんだからね!早く私だけでもいいから元の世界に返しなさいよっ!」


「いいえ、お婆様。無理です。」


「な、なんじゃと!この老いぼれを捕まえて返さない気かい?あたしゃこんな孫に育てた憶えは無いよっ!」


「お、お婆様、落ち着いて。というか、あんなに乗り気だったじゃないですか、VRツアーに。なのに今更そう言われても・・・ていうか、あなたこちらの世界ではどう見ても老いぼれなどではなくって、もはやピチピチです。」


「ウ、ウルサイ~ッ!」


ドアーフ達も二人のやり取りにクスクスと苦笑する。



「も一つ言わせてもらえれば、ウメさんはバイクもご機嫌に乗り回していたし、探険も先導して行くし、すごい若帰っちゃっていますが。」


「いわんこと言うな!ほなはよ帰しぃ!」


「え、何故関西弁?プッ!」


我慢できずにキャンが爆笑する。


「な、何よ、キャンまで!あんたらグルなの?」



すると見かねたようにフランクが付け加える。


「宗谷君、君の目的は君の家系のかつての王国支配を再び復興しようと言うのは事実であろう。だがね、既に民衆は私の努力によって豊かな暮らしを享受しているのも事実。今更君の言うことを聞いてくれる人たちが居るとは思えないがね!」


「何を!そんなことはないっ!君の采配に恐れているだけに決まっている。君は民衆も騙して自分の懐をたらふく肥やし続けている事は民衆だってとっくに気付いている筈さ。

それより、かつて民衆の足となっていたモンスターとの楽しい生活を懐かしんでいる筈。とりあえず僕らは此処を退散します。」


宗谷はフランクとの話が決裂したことで、皆をこの城から連れ出そうとし始めた。



「宗谷君、君は此処が何処だか解っていて来ているのかね?君が正義を持って此処をたずねてきたことには敬服する。しかしだ、此処へ来たが最期、このラビリンスから君達が脱出することなど、もはや不可能な事だとは思わないかい?」


「何だとぉ~」


「私でさえ此処に償還されて以来、元の世界へ帰りたいと願わなかった日など無かったのだよ。そしていつしか長い月日が経過してしまった・・・・そこで私はこの地において私の礎を築こうと計画したのさ―――

その日から私は新たな目標としてこの世界を私の手の内に収めようとしたこともウソではない。だがね、結果としてそうなりつつあるが、今もって不幸な争いごとは起こっていないことからも解ると思うが、民衆は皆私を必要なものだと感じているのだよ!」


「それは君の勝手な思い込みだ!」


「ヨシ解った。ならば民衆に聞こうではないか。そう、ちょうど良いことに夕べの晩餐会で集まった面々が宿泊していることだし・・・ではホールに皆を集めよう。」


そう言うやフランクは戸外へと足早に去った。


ようやく静けさを取り戻した居室。

そこでドアーフ達は久々に現れたツアー主催者に質問を浴びせた。

先ずはキャンから



「ねぇ、貴方にとってどんな目的があるかは知らないけど、私だけでも元の世界に返す方法を教えてくれない?」


一同はやや呆れ顔の様子。

元精神課医のナリミーが問い詰める。


「私は君が道を誤らないように、もとい、君の精神状態が元通りになるようにと此処までついてきたんだよ。なのに君と来たら我々を置いて何処かへ行ってしまって、遠隔操作でミッションだけを言いつけて高みの見物ときたものさ・・・もしかしてフランクの言うとおり君は悪人なのかい?」


困り果てた表情の宗谷。

元自宅警備員のハイジが話しに加わる。


「僕としてはなかなか楽しいツアーだと思っているんですが。だって家に居るよりノイシュバンシュタイン城がラビリンスだし、この世界のほうがモンスターが居たりするならゲームやってるよりワクワクするよねっ!」


元自衛隊員ソルジャーもうなずく。

CAリンリンとケントは相変わらず難しい顔をしている。


「あの~、私たちもそろそろ元の世界に返していただきたいのですが。モンスターに食べられちゃうんだったらそんな怖い事はないし、ドアーフの生活もそろそろ疲れてきちゃったので、もっと楽しいことがあると思ったのに何だか面白くないし・・・」


宗谷は皆の意見を聞き終わったところで話し始める。


「皆さんのお考えは理解しました。しかしです、ここでは最終的なミッションをこなしてもらうまでは元の世界に帰る事は不可能なのですよ。実際にVRヘッドを外そうにも既にだれもつけていないのですから、諦めてここの住民になって余生を暮らして下さい。で、では私は忙しいのでこれで・・・じゃっ、バッハハーイッ!」



そう言うや宗谷は皆を置き去りにして戸外へと駆け出していった。

何故か扉を閉めた瞬間「カチッ!」と物音がしたような。

唖然としながらもソルジャーが追いかけようとドアを開けるが・・・開かない。



「クッ、くっそおぅ!やられた~っ!」




どうやら一同は宗谷によってまんまと居室に閉じ込められたのであった。

すると・・・もしかしてフランクと宗谷はグルだったりして?










~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~


////////// To Be Continued ☆☆☆☆☆







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