第137章
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キャン「ふぅ〜、一体何処まで歩いて行けばいいのよッピルル、王家へのルートにはもう入ってるのかなァルルッ?」
元自衛官ソルジャー「大丈夫だよ、こっちで合ってるよ!このクレソン女史からもらった古地図が正しければな。」
ウメ婆さん「それにしてもここのところ宗谷の奴ちっとも顔出さないけど生きてんのかねぇ……オバアをほったらかしにするとはダメな甥っ子だこと。」
CAリンリン「あのぅウメお祖母様、ところで仙人フォーさんは何故私達を置いて自分だけ行ってしまったのでしょう……あの方の行動は読めませんよね。」
ウメ婆さん「そうじゃな、アタシもあのジジィに散々振り回されて人魚のコスチュームだってジジィのリクエストだったし、気づいたらアイツが先頭切って着てたから大分お気になんだろうよ。」
キャン「あら、あの時のカラオケバトルで私達3人は人魚のコスチュームで3人娘演じてたけど、全部フォーの意見だったのかしらップリ?」
CAリンリン「私は旦那がお気にだったので何度かコスチュームしてたから慣れっこなのよね、あらやだ、個人情報さらけ出しちゃって恥ずかしぃ〜っ!」
ソルジャー「さてと、この山道も大分登ってきたからこの辺で休憩でもしようか、丁度ひるどきだからランチも兼ねてね。」
元自宅警備員ハイジ「昼めしの食材は誰が持ってるんだい?」
ウメ婆さん「あら、アタシゃアンタが持ってきたものとばかり思い込んでたよ、じゃキャンなの?」
キャン「うんう、アタシ知らないっプリッピゥイッス!」
CAリンリン「まさかあの仙人フォーがまた持ち逃げしたって事はないかしらね〜〜〜ッ!リンリン困っちゃう。」
ハイジ「そうすると、他に誰も食料を持ち合わせて居ないということだね。それは困った事になった……何せ買い出しするにもこの王家へのルートに入ってから店もろくに無いわけだし、単純計算でも一週間はかかりそうだから……飢え死ぬなコリャ。」
ウメ婆さん「ならばドラゴンちゃんに頼んで届けて貰えばいいじゃないの!ほら早く口笛でも吹いて呼んできなさいよッ!」
ソルジャー「え、俺?何で俺なの?もう腹ペコで口笛の息すら出来ないよぅ……」
皆が困り果てて行き詰まったその頃に偶然ドラゴンちゃんに乗って通りかかった元精神科医のナリミーが参上する。大きく弧を描きながら近づくと、皆のぞばの草原に舞い降りたーーー
ナリミー「いやぁゴメンゴメン、ついドラゴンちゃんの背中に食料の荷物を乗せっぱなしで偵察に行ってしまったのをさっき思い出してね。でも皆さんを直ぐに見つけられて良かったよ。もし雲の中にでも御一行様が隠れてしまったら見つからなかったからね……」
ハイジ「んもぉ〜っナリミー頼むよぅ……焦ったじゃないか!」
ナリミー「ゴメンよ、代わりに今から私が腕をよってご馳走を作るから、許してね。」
そう言うや、ナリミーはドラゴンちゃんの背中から食料と食器を下ろすと、早速何やら缶詰を開け始めたではないか。これには皆も唖然とする。
CAリンリン「あのぅナリミーさん、お取り込み中失礼で恐縮ですが、それは非常用の食料であって、私の目にはとても料理しているようには見えないのですが〜〜〜……」
ソルジャー「そうだよ、料理ってのは食材を切って火を使ってやるもんだよなァ。アンタのやつてるのは、ただ皿に載せてるだけだね。」
ナリミー「そ、そんな事は御座いませぬ……ほらこーやって、ソースが決め手ですからね!さ、どうぞ。」
キャン「何よこれソースって、ただサバ缶にマヨネーズかけただけなんじゃないよぅ……グスンッピ…」
ナリミー「いや、これがですねぇ、何とも絶品でしてね……さ、ソルジャーさんもどうぞ。」
ソルジャー「ん、ホントだ、中々ウメェぜっ!」
ウメ婆さん「アンタどんな舌してんダヨ、まさか舌まで筋肉で出来てんじゃないよね?」
ウメ婆さんの気の利いた冗談に「王家へのルート」探しの疲れが一瞬薄らいだ気がするのでした。
一同はナリミーお手製のなんちゃって料理をたいらげながらナリミーの話を聞くーーー
ナリミー「ところで、ここに辿り着くまでの道すがら不思議なものを見たんです。それというのも見知らぬ2羽のドラゴンちゃん親子に遭遇したんだけれど、それがね、驚いたことにフランク伯爵そっくりな人を載せていたんです……ということはですね、要するに我々よりも前にフランク伯爵は王室に先回りした可能性があるのではないか、と推測できますよね〜〜〜」
ウメ婆さん「それは誠か?仙人フォーといい、フランク伯爵といい皆んな私利私欲のために動きおって……そんな事では王家へのルートなど開かれようはずなど無いわ!ワシが思うに、皆で協力し念じることでその道は開花するのではなかろうか……ってね。」
ソルジャー「あのね、ウメ婆さんの発想って古いよね〜。そんなスピリチュアルな幻想を抱きたがるんだよね、年取ると。今の世の中そんなファンタジーなこと言っちゃってたら直ぐに置いてかれるよ、さぁ何しろ歩こう!」
ハイジ「え、歩くんですか?折角こうしてドラゴンちゃんが舞い降りてきたんだからわざわざ歩かなくても……」
ナリミー「えっと、それはわかりますが定員オーバーではないかと……ほら、ドラゴンちゃんも怖がっているじゃないですか。」
ソルジャー「大丈夫だよ、休み休み行けばさ。」」
キャン「いくらなんでも可哀想じゃなくて?皆んなが乗っかったら過労で寝込んじゃうじゃないのッペ。なら歩いたほうが早く着くと思うプピョン……」
CAリンリン「それにしても他のドラゴンちゃん達は何処へ飛んでったのかしらね。きっとこの旅の過酷さに嫌気がさして家に帰っちゃったのかも知れないわね。」
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フランク伯爵「しかし真っ暗闇の森は何も見えないぞよ。本当に里芋の里はこの辺りなのかい?」
親ドラゴンちゃん「もう少し行くと火山があって噴煙が上がっています。そのふもとの一画が里芋の名産地なんです。たっぷり食べれますよ!」
子ドラゴンちゃん「僕もお腹すいたを、グゥ〜ッ。」
フランク伯爵「そうだよな、もう何時間も飛び回ってるから腹ペコだろうよ。着いたらお腹いっぱい食べようぜ!ハハッ!だけど生ではお腹痛くなっちゃいそうだな……」
親ドラゴンちゃん「大丈夫よ、私が取り立ての里芋をあの火山の中に入って溶岩焼きにして戻ってくるからね!」
以前のフランク伯爵のトゲのある態度はもはや別人のように皆無となっていたーーー
その心境の変化とは一体?きっと王家へのルートを攻略した事で一区切りついた事、王家の状況が自分の想定と遥かに違った殺伐としたものであり、今までの欲望の塊だった人生観が無意味だと気付かされた事からなのだろう、とフランクは考えていたーーー
///to be continued!!!☆☆☆〜〜〜




