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第135章

 フランク伯爵はそう言うとベットに仰向けに横たわると今までの出来事を回想してみる〜〜〜一体私は誰を信じればいいのだ……

 実体のない王家とは?そしてクレソン女史だという王妃、そしてミケロッティ伯爵そっくりな主治医。やはりこのバーチャルな王家を形成している理由とは……あの電脳の王様の声のツアコン宗谷がキーマンなのだろう!




ーーー☆☆☆


主治医「フランク様のお考えもわかりますが、少なくとも我々はあなたの味方ですからご心配入りませんよ。きっと貴方は慣れない環境のせいで衰弱されているのですから。さ、この処方箋をお飲みなさい。」


フランク伯爵「ふん、そんな都合の良い事言って私に睡眠薬でも飲ませようとしてるのかい?そうはいかないぞ!」


 フランク伯爵は飛び起きるや、またもや戸外へと駆け出してゆく。クラリがその後を追う。


クラリ「お待ち下さい、フランク様。私のことを信じて……」


フランク伯爵「ふんっ、主治医とグルになって私の事を騙しておいてどの口が言うんだね。ま、好きにするが良い!」


 フランク伯爵はまたもや王様の城へと突き進むと、エントランスから王の間まで一気に駆け寄る。クラリも必死で追いすがる。そして再び扉を開くと……意外な人物が現れた。なんとそれは仙人フォーであった。


仙人フォー「よう、久しぶりだなフランク。そして我が初恋のクラリまで!お、これは失礼……それにしてもフランク、お前も無事に王家へのルートを見つけ出したとは、中々見上げたものだねぇ!」


フランク伯爵「な、なんで君がここに居るのだ?」


仙人フォー「それはな、王からお呼びがあったからだよ。とりあえず奥の間へ参ろう!さ、クラリもご一緒に。」


 何故だ?王からの呼び出しだと?そしてまるで自分の部屋へと招き入れるような態度は何なんだ?仙人フォーの手慣れた仕草を不思議に思うフランク伯爵。そして彼は確か、王からクラリとの関係を引き離された筈だったのでは?



仙人フォー「さてと、そろそろ王の居られる奥の間へと……ん?確かこのあたりまでくれば引き戸があって……ないな、さては模様替えでもしたのかな?ま、この部屋は広いからとりあえず奥の方まで散策するかな。」



フランク伯爵「あのう、王様つて電脳じゃなかったんですか?実体があって実在しているので?」



仙人フォー「あたりまえじゃろ、お前何言ってんだ。」



 仙人フォーの言葉に唖然とするフランク。ならどうして他の連中は私に嘘を吹き込んだりしたのだろうか。私と王様と会わせないために?

 迷路のように調度品が通路の両側にうず高く積み上げられているため先を見渡せない王の間は、まるで城まで敵が攻め込むのに苦労する城下町の作りを想定しているかのよう。きっと王様は他人を拒むような気難しい人物なのだろう……するとようやく王の間の突き当たりまで辿り着いたようだ。



仙人フォー「はて……おかしいな、これではまるでかくれんぼじゃ。王様っ!只今フォーがたどり着きました、何処にいらっしゃいますかぁ〜?」



 すると突如としてフランク伯爵の眼前にVR Missionが表示され始めるではないかッ!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

Mission


ようこそ我が王の間へ。


 仙人フォーも久方ぶりだな。以前は娘に近づいたので遠ざけてしまったが、君のこれまでの功績を見るに中々見所がある人物だと関心したものだ。そしてフランク伯爵についても、単に私から領土をせしめる悪者だと錯覚していたが、君の目的がちっぽけな私利私欲の為などでは無く、国民に田畑を与え仕事を作り出して富を分かち合い皆を豊かにする、そのスピリットに気づかされて共感したものだった。


 さて、私の期待している君たちには我が国の要職に適性があるかの最終確認として、先ずは私からのMissionをクリアしてもらいたい。


 それというのも気難しい私の妻である王妃クレソンが、何のきっかけからか大分心を病んでしまっているのだが、私も何度もチャレンジしたものの、彼女が病んだ本当の理由を中々話してはくれないのだよ。そこでだ、君たちに彼女の本当の理由を解き明かしてもらい、救ってほしいのだ。主治医いわく、ここのところ特に酷い精神状態で食事もろくにとらず物思いにふけっている日々を過ごしている。このままでは彼女は痩せ細ってしまい、寝たきりになってしまうのも時間の問題かもしれない。どうしても私に心を開いてくれないゆえ、君たちにぜひとも救って頂きたい。これが私からのお願いだ!




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 一通りMissionの内容を読み終えた二人。しかし何故王は姿を見せてはくれないのだろうか?やはり気難しい性格がゆえ我々の事を何処かまだ疑っているのであろう。それは二人とも自分たちが王の言うような完璧な人間ではない事を重々承知しているから、無理もないが。



仙人フォー「おう。どうする、フランク。お前も王の言うような人間ではないことは長い付き合いだから知ってるがな。商船を攻撃して海賊の如く金品を強奪したり、結構人道的に問題があったものな。」



フランク伯爵「な、なんだとぅ?お前さん、どの口で言ってるのですか〜ッ?お前だってドアーフ達のバイト代パクってトンズラしたり、へんてこな魔法しか使えなくって何にも役には立たなかったんじゃありませぬか〜ッ。」



仙人フォー「お、お前だって……召喚された年寄りの俺の事を大事にするでもなくなんと幽閉までしてこき使ってドアーフ扱いした……だっからへんてこな魔法しか使えなくてなっちゃったんだし、ぜ〜んぶお前のせいだかんなーっ……」



フランク伯爵「そ、それはお、お前が悪いんじゃないかっ、お前がいつもこんな調子で偉そうに上から目線で私を敬わなかったんだから、当然の報いじゃないのですくわぁ〜っ?つかぬ事お聞きしますが、貴方はなにしにこちらのVRワールドに召喚されて来られたのですくわぁ?神様の使いか何かなのでしょうかぁ〜っ?」



仙人フォー「そ、それは……その通り。よくそのチリチリ頭で気が付かれたものですねえ。正直に申すと、私が神じゃ。信じるものは救われるかもしれないぞよ、多分……」



フランク伯爵「チリチリ言うなっ……お、お前さんが神だったら世の中ひっくり返ってしまいますよ〜だ。お前みたいなへんてこ頭の発言のせいで世の中がどんどんおかしくなってしまいますよぉ。」



 そんなこんなで二人は昔のようにバトルを展開した挙げ句、ひとまず先程の王様から与えられたMissionの当事者であるクレソン女史の居る食堂棟へと向かうことになったーーー




ーーー☆☆ー☆


王妃クレソン「どうぞ、中へお入り。」


仙人フォー「お久しゅう御座います、クレソン女史。」


クレソン「あら、フォーなの?これはこれは、さ、二人ともそこへお掛けなさい。あらまぁ私ったらこんなに老け込んじゃったのに貴方はお変わりないのねぇ……さすが仙人ね。そしてフランク伯爵まで、一体何があったの?」



 全く不自然さの無い彼女のおもてなし対応にポカンとする二人ではあったが、早速王様からのMissionについて話し始める。



クレソン「あらそう、あの人そんな事言ってたの。私、あの人がちっとも私の事を振り向いてくれなかったけど、そんなふうに思ってたのね。意外ね……」



フランク伯爵「ところでここに我々が参った本題ですが、失礼ながらズバリ申し上げますと、ご主人から貴方が気分を悪くなさったその理由を聞いてこいということでして……」


 

 するとクレソン女史はうつむき加減で暫く黙り込む。そしてようやく呟きはじめるーーー



クレソン「あの人、何にも解っちゃいないのね。私はあの人からこの城に幽閉されているようなものなのよ。だってあの人は公務で忙しく出入りしているにも関わらず、私の事を王家の流儀もろくに知らない、などとののしって公務に連れ出すことを嫌っていたのですから、おかしくなるのも当然よね……」



仙人フォー「なるほど、王様に問題があるということじゃな。ならば王様に説い正さなければならんが、クレソンや、お前さん王様の居場所について何か知らぬか?」



クレソン「あら、王の間にいなかったの?今週は公務の外出は無い筈だからオカシイわね……なら私にも何箇所か心当たりがありますのでぜひともご同行させて頂けない?」



仙人フォー「それは助かる、ならば久々に一緒に参ろう、なぁクレソン!」



フランク伯爵「フォー、近〜いッ!駄目ですよ、クレソンは人妻なのですから手を握っては、めっ!」



 非常に心配な行動をする仙人フォーに不安の拭えぬまま、三人は湖畔のほとりにある食堂棟を出て係留されているクルーザーへと乗り込んだ。船頭にクレソンは行き先を伝えると船頭が操縦を開始する。みるみるスピードを上げてゆくクルーザーの甲板で風を浴びながらシャンパンを傾ける三人はご満悦な様子。波しぶきと風に煽られながら猛スピードで旋回してゆく船の揺れに耐えきれず嗚咽する三人は、遂に飲み込んだシャンパンを水面へと魚の餌の如く蒔き散らかしてゆく〜〜〜そして目的の岸に到着した三人は先程の体たらくがまるで何事もなかったかの如く颯爽とクルーザーから降り立つのであった……



 すると何故か先回りしたのかミケロッティそっくりな主治医と給仕で王の娘のクラリに迎えられた。



主治医「お待ちしておりました、クレソン様。さ、どうぞこちらになります!」



クラリ「あら、フォーなの?いつぞやはウチの父上が大変失礼をおかけしまして、なんとお詫びしたらよいものか……私はその後遠くの国に留学させられていましたので謝ることも出来ませんでしたの。何度も貴方の事を思い出していた事か、それでもどうしても王様は貴方と再び会うことを許してくれなかったの……」



仙人フォー「君の気持ちはわかっていたよ、クラリ。大分時間が経ってしまってはいるが、それでもこうして再会できたじゃないか。何よりも今回は王様からのご依頼だからね、やっと王様も許してくださったのだからね。それより王様に直接お会いしたいのだが、どこじゃ?」



主治医「それがですねぇ、王様の居場所は存じ上げておりますが、非常に今ナーバスになられていまして会いたくないと申されておりますので、お引き取りを。」



フランク伯爵「な、なんだよそれ!だいたいお前はバーチャルなアンドロイドか何かだからまた我々を騙そうとしているに決まってる。その手には乗らないそッ!」



仙人フォー「まあまあ、落ち着けフランク。しかしなんだってワシらに会いたくないのだろう、ムムッ、何だアレは?もしやドラゴンちゃんか?」



 仙人フォーが上空を指さすと一同がドラゴンちゃんの姿を探す。しかし何も見えない。



仙人フォー「今だッ!」



 フォーは叫ぶやクレソンとフランクの手を引き、その場からダッシュする。



クラリ「ま、待ちなさいよぅ〜、お母様まで何よ元気じゃないのそんなに早く走れるなんて一体今までの介護は何だったのよぅ〜人を給仕扱いしやがって〜ッ!」



 クラリが豹変したことに仙人フォーはギョッとしたものの、どんどん追手を引き離してゆく〜〜〜そしてたどり着いたのは裏口のゲートであった。クレソンが門番に後からくる二人を制止するように伝えると、門を開けさせて城の敷地の外に飛び出した。いつの間にクレソンがチャーターしたのか裏口には四頭立ての立派な馬車が横付けられており、それに飛び乗る。クレソンは大至急発車せよと命じると目的地の詳細を告げる。



仙人フォー「クレソンや、これはもしかして……」



クレソン「そうよ、逃亡よ!あ〜あ、ホント飽き飽きよね。何十年も幽閉されてきて私もこんなにお婆ちゃんになっちゃったのよ、トホホ……それより見た?あの娘の本性を。ね、怖いわよね。ま、私の血を引いていたらあんな娘になるはず無いから別に良いんだけどね。それでも貴方が一緒にならなかったの、正解でしたわね。」



仙人フォー「そ、そうでしたね、あんなけったいな形相見たことなかったから、ホンマ引いたわ……」



フランク伯爵「なにそれ、今度は関西の御老体でござるか?一体アンタは何者なんだい?」



仙人フォー「そんなんどうでもええわ、それよりクレソンや、一体今度は何処へ向かっているのじゃ?」



クレソン「そうねぇ、それはそのうち分かるわ。後のオタノシミ!」



 三人を乗せた馬車は軽やかに丘の上の要塞と化した王様の城から海の見渡せる砂浜へと下り続けてゆくのでしたーーー





///to be continued!!!☆☆☆〜〜〜




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