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第132章

 フランク伯爵は主治医の制止を振り切って部屋を飛び出すと階下へと向かう。玄関ホールに着くと戸外へと飛び出してゆく。


 噴水のある中庭を通り過ぎると王の居城が目の前にそびえ立つ。エントランスから回廊を最上階のフロアーまで息を切らしながら上り詰めると、一際派手な装飾の両開きの大扉が奥に鎮座していた。


 取っ手を押し開けるフランク伯爵の目に飛び込んできたのは、数々の財宝や絵画がところ狭しと飾られている綺羅びやかな光景だった。部屋の奥へと財宝を眺めながら向かいつつも、王を探す。


 思いのほか広大な王の間の奥へと進むが、財宝の山がまるで迷路のように入り組んでいるため先の方までは見渡せないーーー



フランク伯爵「王様は何処だ?果たしてこの部屋は入り口に王の間とは書かれていたものの、そうではなく宝物殿のようだが……」



 するとフランク伯爵の眼前に久々にVR表示が映し出される。一体誰からのメッセージだろうか……すると突然音声メッセージが流れ始めるーー




〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「これはこれはフランク伯爵ではありませんか。ようこそ我が家へ!

 あまりにも突然の来訪でしたので驚きましたが、王家へのルートの途中で遭難されていたようでご無事で何よりです。さて、貴方は今この我が居城の王の間に来られてお気づきのように、私の姿は此処には存在しておりません。何故ならば、私は今や電脳として仮想空間の中にのみ存在しているからなのです。


 私は長い間この世界を我々と共に平和に導いてくれる賢者の来訪を心待ちにしておりました。しかし寄る年波には勝てず、私はアチラの世界に旅立ったのであります。ですがこの事を公にしなかったのは、ある人物が私利私欲の為に我が王家から覇権を奪おうとしているからなのでした。


 フランク伯爵、始めはその乗っ取り計画は貴方の企てだと思い込んでいましたが……なにせ貴方のビジネスライクな手腕による戦略の凄まじさが我々の脅威でありましたからね。しかし貴方が本当の略奪者ではないことが明らかになりました。その犯人は、仙人フォーなのです。


 彼は一度この城に来られました。私の娘がまだ大学生の時に同級生の友達として招待することになりました。始め二人は友達関係でしたが、我々は彼の不思議な才能に惹かれて二人の交際を認めたのです。


 しかしある日、彼が娘に呪文をかけているところを妻の王妃が見つけました。彼にその事を聞き出そうとしましたが何も知らないの一点張りでした。そして、その日から娘の様子が何やら催眠術にでもかかったような行動をするようになります。極めつけにはベランダから飛び降りようとしましたのでフォーを説得し催眠術を解くように懇願しました。するとフォーは交換条件として娘と結婚させろ、我々に隠居して自分を王位に即位させろなどと無理強いをしてきました。


 あまりの出来事に妻は体を壊し、それ以降対人恐怖症となりました。


 娘の反対を押し切って私は即刻彼を処罰しようとしましたが、魔法か何かで察知した彼は、遂に姿をくらましたのであります。


 その後、娘は大分回復しつつありますが、悪い恋煩いと重なった鬱症状の後遺症が残りましたので、今も屋敷から出さないようにしております。ほら、あなたもご存じでしょう、あの給仕。あれが私の娘なんです。


 このように卑劣なフォーを私は許すことが出来ずにいます。どうか我々の平和への願いを叶えては頂けないでしょうか。もしも願いを叶えて下さったその暁には、ご褒美として貴方にとっておきの魔法をプレゼント致しますから……お楽しみに!



〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 フランクは王の話に聞き入るとともに、想定外の新事実に驚いていた。先日まで敵対していた仙人フォーの奴が、なんと自分よりも先に王家からの覇権略奪を構想していた事に……それともう一つ、王の声が何故が、このVRツアーの案内役である宗谷の声に似ていたことも気がかりだが……きっと気のせいだろう。


 暫く王の間の長椅子にもたれていたフランク伯爵のもとに、旧友ミケロッティ伯爵そっくりな主治医と、王の娘だという給仕が駆けつけたのだった。



主治医「駄目ですよ、まだすっかり回復していないのに!無茶は禁物です、早くベッドに戻りましょう。」



フランク伯爵「ねぇ給仕さん、貴方が王の娘だってことを今さっき王から聞かされて驚いております。それと、仙人フォーとの事もね!」



 フランク伯爵のその言葉に給仕は頬を赤らめてうつむき加減で呟く。



給仕「ええ、御瑚もっとも。改めて私が王の娘クラリです、どうぞ宜しく。さ、そろそろお食事の時間となりますので食堂に参りましょう……」




ーーー☆☆☆ーー


 食堂棟は城の東の小道を暫く進んだ位置にある湖のような大きな池の傍らにひっそりと地味に佇んでいる。皆の到着を待ちわびていたのは対人恐怖症だと言われていた王妃のみ。ぼんやりと一点を見つめて食事の支度を待っている様子。



主治医「姫、最近体のお調子は如何でしょうか、何だか顔色が……」



王妃「だ、誰なんですかっ、こんな性悪の酷い人をつれてきたりしたのは!よりにもよって、食事の席にまで……一体アンタ達、何のつもりなんですのっ!」





///to be continued!!!☆☆☆〜〜〜



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