第131章
給仕「私もアナタのことがどなたかを存じ上げていませんのですが、「王家へのルート」を通って王の城まで向かわれていたのですよね?ならばご安心を。こちらは王の城で御座います。」
フランク伯爵「ええと、今なんと仰いましたか?」
給仕「こちらは「王の城」でございますが、何か?」
フランク伯爵「と申しますと、王様が住まわれている場所、ということで合っていますか?まさかそんなに簡単に来れるわけないじゃないですか。」
給仕「そうですわね、アナタのように雪山で遭難しかかったり、数々の難関を通過しないと中々お出でにはなれませんよね。」
フランク伯爵「えっと、僕的には倒れていただけなので何にもわかりましぇんが、これはもしやVRで御座いますよね?」
給仕「アナタが何を仰られているのか判りかねますので、主治医をお呼びいたしましょうか?」
フランク伯爵「うん、なんか僕他の部分もおかしくなってしまったかもしれないのでお願いします。」
あまりに唐突な回答にフランク伯爵は何度もミケロッティ伯爵の家での出来事を回想してみるものの、全く繋がっては来ない。完全に記憶が欠落しているのか、瞬間移動したのでなければ説明がつかないと感じていたのだ。しかし待てよ、もしこの場所が本当に王の居る城であるのならば、私にとってとても都合の良い状況ではあろう。
そうだ、あのミケロッティの奴が何か私に魔法をかけたに違いない。だとすればこの場所へ瞬間移動させることだって他愛もなかろう。そういえば確か彼は親友の仙人フォーが王の娘ロザリーの事を片思いしていたと言っていた。このことを聞き出せば此処が「王の城」である証明となろう。そればかりか私の知人の中で仙人フォーが唯一王の城に辿り着いたのだから、王にフォーの事を聞き出せば分かるじゃないか。ならば王にコンタクトを取れば直ぐに全てのことが解決するだろう〜〜〜
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フランク伯爵「あのぅ、王にアポイント取ることってできますぅ〜?」
給仕「後程お聞きしては参りますが、貴方様もご存知だとは思いますが王は中々気難しいお方ですのでそれは叶わない場合も生じかねませんので、その際はご了承頂きたく存じます。あ、ただいま主治医の先生が到着しましたのでお呼びしますね!」
給仕は主治医をフランク伯爵の休む寝室へと通す。するとそれはなんとミケロッティ伯爵ではありませんかッ!これにはフランクも息の根が止まる程に驚いた。
主治医「どうですか、お目覚めの様子は?貴方はあの雪山で酷い低体温症で生死の狭間を彷徨っていたんだよ。まだ凍傷にならなかったから良かったけれど、山用の装備を何も身に着けずにいたなんて自殺行為だよ。気をつけなさい!」
フランク伯爵「またまたぁ〜とぼけちゃってミケロッティ君よ、僕を騙そうだなんて酷いよ。あまりにも手が込んだドッキリなんで、こっちの頭がおかしくなったんじゃないかと、我ながら心配したよ!」
主治医「やや!な、何を言ってるんだね君は。私は貴方のご存知なミケロッティ君では無いのでして……そうだこれはきっと脳障害……君はきっと頭を打った衝撃で脳内出血しているのに違いない!これは至急開頭手術をする必要がありそうなので精密検査を実施するとしよう。では先ずこの麻酔注射から行きま〜ッす!」
フランク伯爵「おいおい悪い冗談はよしてくれよ開頭手術だなんてさっ!オレだよオレオレッ、フランクだよぅ!ほら、さっきまでお前さんの家で呑んでて、お前がツマミの料理ににナッツを入れたおかげで私がアレルギー症状を起こして倒れたの、見てただろ?」
主治医「こりゃいかーん、重症だ!直ぐに処置をせねば手遅れになる。おい君、彼に麻酔注射を投与するから彼をしっかりと押さえつけなさいッ!」
いきなり主治医が給仕に私を押さえつけさせて注射しようとしたため、咄嗟にフランク伯爵はベットから身を翻すや飛び起きると、部屋のドアを蹴り開けて何処ともなく出てゆくのであったーーー
するとそれを見届けた給仕がなんとある行動に出るのでした。傍らからVRコントローラを取り出して何処かへ連絡を取り始めます。
給仕「ねぇ、パパ?私。今フランク伯爵が主治医を振り払ってそちらに向かった模様です。チッ!」
///to be continued!!!☆☆☆〜〜〜




