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第126章

ジョー「何だ、この暑さは……まるで此処は砂漠ではないのか……うむ、これは悪い夢でも見ているのだろうか……パチンッ!あ、痛た、コリャ夢ではないな。」



ジョーは自分の頬を叩くと我に返る。そして夕べ出会ったフランク伯爵が見当たらないことを不思議に思うのだったーーーー



ジョー「しかしフランク伯爵が仙人フォーと結託して私をコチラの世界に飛ばした理由が王家からの一通の手紙のミッションであって……そして夕べニンニクの効いた料理を食べた途端、気を失って今ここに居る。これはもしや又々別のパラレルワールドに飛ばされてしまったのやもしれないぞ!」



 あたりには果てしなく荒涼とした砂漠が続いている。ジリジリと容赦なく照りつける太陽にやられながら途方に暮れて立ち尽くしているジョー。昨日背負わされていた蛇の入ったリュックサックも見当たらず、持ち物など何もない……





ーーー☆☆☆ー


 暫くすると彼方に揺らめくかげろうの地平の先からラクダに乗った一行がコチラへと近づいて来るのが見える。



ジョー「おお、救いの神よ!これでなんとかなるかもしれないぞ。」



 諦めかけていた矢先に救いの神が現れた感慨にそっと胸を撫で下ろすジョー。やがて陽炎の中の一行がくっきりと輪郭をあらわにすると、ジョーを見つけるやコチラへと近づいて来るのが見える。

 その一行の誰もが暑さよけの布で顔を覆っているので表情は伺えないもののおそらく味方には違いないーーーー



ジョー「おう、旅の方々、私を救っては下さいませんか?私は何も持ち合わせてはおらず、何処へ行ったら良いのやら困り果てていた次第でして~〜〜」



 するとその旅の一行の先導者が傍らの配下に目配せすると、何やらロープを取り出してジョーに近づくや、一気にジョーを縛り上げたではないかッ!



ジョー「な、何をなさるんですかぁ〜……一体ワタシが何をしたというのですか〜〜〜」



すると先導者がラクダから颯爽と飛び降りると、ジョーを睨見つける。ターバンを巻いていたので表情は伺えなかったが、目つきに何処かで見かけた記憶が蘇りだすのでした。



ジョー「も、もしやお主、仙人フォーだろー!」



先導者「いいや、一体何のことやら?まぁ良い、コイツをラクダにくくりつけよッ!」



 その声にジョーは確信した。間違いない、先導者は仙人フォーであると。しかし何故私の事を知らないフリをするのだろうか……もしかしたらこのパラレルワールドでは、彼は仙人フォーにソックリでも彼ではない可能性もあろうか。謎は深まるばかりーーーー




ーーー☆☆☆ー



 そして炎天下の中砂漠を彷徨う一行は、夕日が傾く頃、とあるオアシスにたどり着く。

 なすがままのジョーではあったが、砂漠の熱波に完全にやられてしまい、もはや思考力など微塵も無くただラクダの背の上で揺られて耐えていることしか出来ないでいた。



先導者「さあ到着したぞ、皆の者。久方ぶりの休息を取ることにしよう。」



ジョーはラクダから配下の大男に担ぎ上げられ運び込まれていった。全く礼儀も何もあったもんじゃない、そう思う半分、救い出されたのには違いないのでこのまま黙って言うことを聞いていようとも考えていた。配下達は各自のラクダから荷を下ろすと、やがて食事の支度を始めてゆく。そしてキヤンプファイヤーの準備が整うと、先導者が着火した。



先導者「此の砂漠の地の神々よ〜!我らに安らぎを与え給え〜〜〜!今宵はここに居る生贄を捧げ給う〜〜〜!」



 先導者の雄叫びの言葉に青ざめるジョー。だって「イケニエ」とか言ってたよな……それってもしや俺のことか……

 キヤンプファイヤーの炎がうず高く舞い上がり盛大に火の粉が舞い上がる頃、一行は宴もたけなわで歌い興じている。もっともジョーは縛り上げられたまま、地面に転がされているのだったーーー



すると先ほどの大男がジョーに近寄ると呟く。



大男「オマエ、覚悟はできてるか?オマエは神々への捧げ物として選ばれたんだよ!そのほうが砂漠の真ん中で野垂れ死ぬよりも恵まれてやしないかい?」



先導者「さぁて、皆の者!祈りの踊りを始めようじゃないかッ!」



ジョーはそこで自分が「イケニエ」そのものであることを確信したのでした。一体ワタシが何をしたというのだ、気づいたら砂漠の真ん中にいて……あまりの恐怖に冷や汗が流れ、震えが止まらない。そして全く今まで信仰心のかけらもないジョーではあったが、なぜか自然と神に御願いする気持ちが巻き起こり始めると……


 皆が一回りで酔った勢いも手伝って踊り狂う中、何やら後ろの草むらの影から人影が駆けつけると、ジョーの縄を解き、「さ、早くこっちへ!」と草むらの中へと引っ張ってゆく。黙って従うジョー。



ジョー「あ、ありがとう御座います、しかしアナタは一体……」



フランク伯爵「おい、お前が呼んだんだろッ!だからコッチのパラレルワールドに俺まで送り込まれちまったじゃないかッ。そしたらお前が縛られてたから……コリャまずい展開だと思って助けた次第だ。」



ジョー「呼んだって、何のことやら……てか、アンタ誰だ?こんな若者の知り合いは居ないけど。あ、そういえば王家からの「3つのお願い」のことかな?」



フランク伯爵「だから、お前もそうだけど、ワシはフランクなのじゃ!そしてお前も気づいてはおらんが、多分十代の頃の自分に若返って居るぞ!」



 そう言われば妙に体の動きが軽いことに改めて不思議に思うジョー。



ジョー「で、なんでお前がコッチのワールドに飛んできたのさ?」



フランク伯爵「だからオマエは、「3つのお願い」を使ったってこと。とすると……食料の蛇もお願いしたから、残りはあとひとつだけだな。でもクエストがまだ始まっても居ないのに、お願いを使いまくっちゃって大丈夫なのか?」



ジョー「だ、だって「イケニエ」にされちゃったら元も子もないし、まさかお願いしたつもりも無かったしぃ……」



フランク伯爵「しかし驚いたな。オマエにも真摯な気持ちがあったんだな、へへッ……!」





ーーー☆☆☆〜〜



先導者「おい、あの「イケニエ」は何処に行ったんだ?」



大男「あ奴、逃げたのか?」



先導者「何のためにオマエ達が見張っていながら何してるんだッ……早いとこ探し出して来い!」



大男「だって酒飲んで踊れって仰るから……では行ってまいりまっする〜〜〜」



 仲間たちが「イケニエ」ジョーを探し出しに向かった後、先導者はヤキモキした様子で酒を食らっている。



フランク伯爵「もしや……あれは仙人フォーではないか?何でこんなワールドに居るんだ……」



ジョー「オマエにもそう見えるよな。だがアイツは仙人フォーなんかではなくこのラクダ隊一行の先導者で別人なのさ。もしフォーならばアイツも若くなけりゃおかしくはないかい?」



フランク伯爵は暫く考え込む。どう見てもあそこに居る御老体は親友仙人フォーなのだが……すると何やら合点がいった様子でジョーに向き直るとつぶやき始める。



フランク伯爵「おい、あれはどう見ても間違いなく仙人フォーに違いないさ。ほら、アイツの容姿が何も変わらないのは、仙人だから何万歳になっているかもしれないんだぜ!

 だから俺らが若い頃にタイムリープしたパラレルワールドに来たとしても、彼が御老体の姿のままでも何も不思議はないのさ。よし、ならば僕が親友君に君の「イケニエ」をやめるように交渉してきてあげよう!」



 そう言うが早いかフランクは幼馴染の仙人フォーソックリな先導者の元へ颯爽と向かうのでしたーーー





ーーー☆☆☆〜〜


 キヤンプファイヤーの前で飲んだくれる先導者の元に辿り着く。すると、いきなりのフランクの登場に驚いたのか先導者は初対面のジョーに見せた表情と全く同様の様子でポカンと口を開けた見上げている。



フランク伯爵「おい久しぶり、フォー!それにしてもオマエコチラのタイムリープ先で一体何をしているんだい?」



先導者「な、何だオマエは!さてはあの「イケニエ」の一味か?」



フランク伯爵「おいおいいつからそんなに冷たいい態度に、ほらッ俺だよオレオレッ、まさか歳取りすぎて俺の事も忘れちまったのかい?」



先導者「ケッ!そもそもオマエのことなんか知らねぇよ。それにオレオレッて新手の詐欺師かなんかか?お〜い誰かおらんか〜、新たな「イケニエ」のお出ましだぞッ!」



 先導者が大声で叫んだのを聞きつけた仲間たちが戻って来るや、なんとあっという間にフランク伯爵を縛り上げたではないかッ!



フランク伯爵「おうぃ、フォーや。オマエ大事なお友達にこんな仕打ちをするなんて、一体どうしちまったんだよぅ……」




先導者「何を抜かすッ、ワシは未だかつて友達など作った憶えなどないぞよ!黙って有難く神々への「イケニエ」となるが良い!お前ら、捕獲しろケッ!」




フランク伯爵「な、なんですとぅ!オマエとぼけやがって……てか、ホントにフォーじゃないの〜〜〜おうぃ〜助けてぇ〜ジョー、ウルルッ。」




 半泣きのフランク伯爵が草むらに向かって自分の名前を呼んだため、ジョーは裏切られた思いで慌ててその場から逃げ出して行くのでしたーーー


 ついにジョーを助けに来た筈のフランク伯爵は、なんということでしょう、ジョーの代わりに「イケニエ」として囚われの身になったのでした〜〜〜yeah!!!ーーーー







///to be continued!!!☆☆☆〜〜〜





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