第121章
やはりみんなが心配したように、あの古老ジョーは実際にネロ伯爵本人なのだと判明したわけだが、イグアナ族の酋長グレーと弟子のリオンはまだ疑っていた。
「おい、リオン。何かおかしくはないか?ジョーは施設から早々に退院したのだったが、彼の言葉をそのまま信じれば彼はネロ伯爵に違いないのだが。
ま、見た目もそのままなのだから本当にそうなのかもしれないが……
しかしなんとなく腑に落ちない。」
「はい、私もそのような気がしてなりませぬ。彼が本当のことを言っているのかどうか、確認する術はないのでしょうか?」
「そうよのう……それにしてもそもそも彼は何で施設に入所したんだい?」
「先生の話では、重度のノイローゼだとか仰っていましたが。」
「ナニィ?ノイローゼジャと!さては心の病か。という事は、彼の言葉に信憑性など何も同然じゃな。」
「ええ、確かに。そうなりますと、彼が嘘をついていると?それは何のためなのでしょうか。」
「ううむ、彼がネロ伯爵を語る理由……それはもしかして、彼のように独裁者に返り咲こうとしている、ってことは無かろうか?」
「ええ、十分に可能性はありますね。」
「ならばその真偽を突き止める方法は?」
「あっ、そういえば、ドアーフで元精神科医のナリミーさんならば判るんじやないですか?」
「おう、そうじゃな。しかし彼にどのように連絡をつけたら良いものか……」
すると傍らで興味深げで聞いていた幸恵がVRコントローラーを振り上げる。
「これよ〜、コレコレッ!早速ナリミーにアクセスしますね!」
そう言うと通信を開始する。
ーーー***ー
暫くしてナリミーから連絡が入り、ナリミーがドラゴンちゃんヒロトに乗ってこの島の地下都市「スパイラルワールド」を目指す事になりました。
そしてナリミーとの通信が始まった。
幸恵: 「ナリミーさん、こちら幸恵です。グレー酋長とリオンも一緒にいます。」
ナリミー: 「ああ、幸恵さん、どうしましたか?」
幸恵: 「実は、古老ジョーのことでご相談があるのです。彼がネロ伯爵だと主張しているのですが、信じて良いのかどうか分からなくて……」
グレー: 「ナリミーさん、彼の話が本当かどうか確かめる手段はありますか?」
ナリミー: 「ふむ、ジョーの精神状態を診断する必要がありますね。
私はドラゴンちゃんヒロトに乗ってそちらへ向かいます。スパイラルワールドの地下都市で会いましょう。」
リオン: 「ありがとうございます、ナリミーさん。お待ちしています。」
通信が切れると、幸恵はグレーとリオンに向かって頷いた。
幸恵: 「ナリミーさんが来てくれるわ。これでジョーの真実が分かるかもしれない。」
しばらくして、空に巨大な影が現れた。ドラゴンちゃんヒロトが翼を広げ、スパイラルワールドの地下都市に向かって降りてくる。
ナリミー: 「みなさん、お待たせしました。」
グレー: 「ナリミーさん、早速ですがジョーの診断をお願いします。」
ナリミー: 「もちろんです。彼に直接会わせてもらえますか?」
幸恵がジョーのいる部屋へ案内する。ナリミーはジョーに近づき、彼の目をじっと見つめた。
ナリミー: 「ジョーさん、あなたの言うことが本当かどうか、私が確かめます。リラックスして、深呼吸してください。」
ジョーはゆっくりと息を吸い込み、吐き出した。ナリミーは慎重に彼の脈を測り、いくつかの質問を投げかけた。
ナリミー: 「ジョーさん、あなたがネロ伯爵だと主張していますが、どうしてそのようなことを言うのですか?」
ジョー: 「私は……私はネロ伯爵として生まれ、そしてネロ伯爵として死ぬ運命なのです。」
ナリミーは静かに頷き、さらに質問を続けた。
ナリミー: 「過去の記憶が鮮明に残っているのですか?」
ジョー: 「はい、すべてがはっきりと見えます。私が支配し、統治した日々が……」
ナリミーはしばらく黙考した後、皆に向かって言った。
ナリミー: 「ジョーさんの言葉には一貫性があり、彼の記憶も非常に具体的です。
しかし、彼が本当にネロ伯爵なのか、それとも彼のノイローゼが引き起こす幻覚なのかを判断するには、もう少し詳しい診断が必要です。」
グレー: 「それは可能でしょうか?」
ナリミー: 「はい、もう少し時間をいただければ。私は彼の精神を深く探る技術を持っています。
それに、彼が語る記憶と実際の歴史を照合する方法も考えられます。」
リオン: 「分かりました。ナリミーさん、どうかお願いします。」
ナリミーはジョーの診断を続けるための準備を始め、幸恵たちはその結果を待つことにした。
これでジョーの真実が明らかになる日は近い。
こうしてナリミーの到着とジョーの診断がこのワールドの鍵を握っていることになりそうです。
///to be continued!!!☆☆☆




