表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

119/150

第119章

 古老ジョーの地下都市「スパイラルワールド」の歴史について語る様子が、一瞬だけ何故かを隠そうとしている態度を示した事を幸恵は見逃さなかった。




 するとイグアナ族の酋長グレーの弟子であるリオンが幸恵の気持ちを察知したかの様子で古老ジョーに質問する。




「ジョーさんにとってこの地下都市「スパイラルワールド」が本当に安全な場所だとお考えなのですか?


 そもそもアバター達がどのような存在なのか、何故僕らが追い回されているのか、訳がわかりません……」




 するとネロ伯爵瓜二つの表情で古老ジョーが不敵な笑いを浮かべるや語り始める。




「スパイラルワールド」の歴史には、古老ジョーが一部を隠していることが幸恵にはわかります。



 リオンが質問すると、古老ジョーは不敵な笑みを浮かべて答えました。




「先ず、この地下都市スパイラルワールドが形成されるきっかけとなったのは、元々あちらの世界から召喚された人間たちの持っている固有性分である欲望やエゴに嫌気が差して必要としなくなった事が始まりとなったのであろうーーーー


 彼らはこの地下都市でエゴとは無縁のコミュニティを形成し、助け合って暮らすことを望んでVRアバターとなる道を選択したのだった。


 やがて新たなる進化の形としてアバター達となった者たちによって、彼らの理想郷としてこの地で展開し始めたのだが、しかし彼らの平和な時代はそう長くは続かなかった……


 その後、彼らがコミュニティを形成している事を知る連中が彼らを利用し、この地で占拠し始めたんだ。」




 すると、力の入った熱弁をする古老ジョーの目から涙が溢れ出す。リオンは無慈悲にもジョーに更に質問を浴びせかけるーーーー




「そうしますと、何故4人の良識のある筈のアバター達が、いつも僕らに付きまとってくるのでしょうか?」




「それはじゃな、いわゆる彼らは当初のスピリットを持っている数少ないアバター達であり、島の外部から訪れる侵入者を牽制している行為なのであろう。」




 側で二人の会話を聞いていた幸恵ではあったが、素朴な疑問として古老ジョーが理想郷について肯定的な立場でありながらも、なぜ彼自身が人類を辞めてVRアバターの立場ににならなかったのか、と訝しいと思い始めた。




 もしかすると、古老ジョーは自らの過去によって理想郷の裏側を見てしまったため、その世界に根本的な信頼を失ったのかもしれないのだと、解釈し始めたのでしたーーーー




  実は、古老ジョーは革命や変革に疲れ、安定を求めるようになっていたのでした。




 彼は理想郷に投じる信念を持ちながらも、その裏で起こっている不正や権力闘争を見過ごすことができなかったのでした。



 そのため、彼はVRアバターとして理想郷に参加することを拒み、地下都市の外に出て自らの道を歩むことを望んでいたのかもしれません。




  幸恵は古老ジョーが外の世界を選択しなかった最大の要因として、何かしらもっと切羽詰まった他の理由があってのことではないか、とリオンにヒソヒソと囁きます。




「古老ジョーが外の世界を選択しなかったのは、何かしら他の理由があってのことではないかもしれないわ。」




 リオンはそれに対して興味深そうに頷きながら、




「それは一体何なんでしょう?」




 と、逆に尋ね返す。 幸恵は考え込んだ後、



「もしかしたら、彼はこの地下都市での苦難や過去の出来事に根強い絆を感じているのかもしれないわ。


 外の世界は未知の領域だし、彼にとっては安定や共感を得られる場所がここにあると感じているのかもしれないわね。」




 そう提案するや、リオンは深く考え込んだ表情で、幸恵の言葉を吟味し始める。




「確かに幸恵さんの言うように、古老ジョーがこの地下都市で多くの人と繋がりあった事で、その経験を共有してきたのかもしれません。


 外の世界ではそのような繋がりや共感を得ることが難しいかもしれない。


 彼にとっては、ここが最高の居場所なのかもしれないわね。」




 リオンは納得した様子で言う。 幸恵は微笑みながら、




「そうね、人それぞれの選択や思いがあるのは当然のことよ。


 古老ジョーもその中の一人なのかもしれないわね。」





ーーー☆☆☆ー



 此処は一旦、ワットナンプラー駅の住処に引き返す一行。




 住処で待機していたイグアナ族の酋長グレーは、皆を待ちかねたようにニコヤカに語り始めたのでしたーーーー。



「調査に無関心なイグアナ達の情報によると、なんと、ネロ伯爵が既にこの地下都市に潜伏しているらしい事を突き止めたのだ!


 きっと彼は又もや何かしらのカモフラージュでこの都市を乗っ取ることを企てているのだろう。


 でなければ、ワシらにハリケーンのせいでこの島に近づけない等とウソを付く事はなかろう。


 それにしてもお前達、こんなに遅い時間まで一体何処で油を売っていたんだい?」




 グレーの話に顔を見合わせる幸恵とリオンは、ネロ伯爵そっくりの古老ジョーは、実はネロ伯爵本人だったのではないか、と疑い始めるのでしたーーーー





ーーー☆☆ー☆


 幸恵とリオンは驚きの表情を交わしながら、グレーの言葉を聞いていた。



「ネロ伯爵がこの地下都市に潜伏しているというのは、なかなか重い話ね……」



 幸恵がそう言うや、リオンは疑念を募らせながら、




「確かに。彼が何かしらの陰謀を企んでいる可能性は高いのかもしれない。


 そして古老ジョーがネロ伯爵本人なのではないかというのも、なかなか興味深い考え方だな。」



 と他人事のようなドライな表情で言葉を返す。



 幸恵は深く考え込んだ末に、



「もし本当に古老ジョーがネロ伯爵ならば、彼はどんな目的で我々の近くにいるのかしらーーーー



 そして、我々に何かしらの危険が迫っている可能性も十分耐えるるわね!」




 そう懸念を示す。 グレーは重要そうな情報をもたらしてくれた弟子のイグアナ達との信頼に感謝しつつ、




「この事態は慎重に対処しなければならない。私達の行動がこの地下都市の未来に大きな影響を与えるだろう。」





 グレーはそう述べる。幸恵とリオンは困惑しながらも、新たなる謎に挑む覚悟を決めるのだったーーーー





☆ーーー☆☆ー


すると 唐突に玄関から四人のアバターが現れるや、あまりの唐突さに幸恵とリオンはつい驚きの声を上げたのでしま。




 一人のアバターが口を開き、




「古老ジョーについて話がある。 


 彼はこの地下都市の秘密を知っているだろうが、その真実を隠しているのだ!」




 と言い放った。そして幸恵は興味深げに尋ねる。




「なぜ彼が秘密を隠しているのか、そして彼の正体について何かわかることはあるの?」




 アバターは深くため息をつくと、




「古老ジョーはかつてネロ伯爵として知られていた。彼はこの地下都市を支配しようとしている。


 しかしだ、その目的や手段はまだ完全にはわからない。」




  リオンは驚きと怒りを交えた表情で、



 「なぜ彼はこんなことをするのか。我々が彼を信じてきたのに」




 と、つぶやく。 幸恵は決意に満ちた表情で、




「古老ジョーの真の目的を暴くためにも、私達は行動しなければならないからーーーー」




 と言った。 四人のアバターと共に、幸恵とリオンは古老ジョーの真相を明らかにするためにも戦いにも、新たなる手段で身を投じることを決意したのだったーーーー





///to be continued!!☆☆☆





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ