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第118章

 幸恵はエミリーの住んでいたワットナンプラー駅近くの物件でVRコントローラーを見つめています。



 するとどうしたことでしょう、ネロ伯爵からの通信を受信することに成功したではありませんか!



 イグアナ族の酋長グレーも身を乗り出して聞きます。




「君達よく無事だったね。君たちの居る島の周りには今、巨大なハリケーンが巻き起こっているので、こちらから君たちの救助に向かう事は不可能なのだよ。


 だから暫くの間はハリケーンが収まるまでその地下都市にいるのが、逆に君たちに取って安全なのさ。


 さぁ、新たなる試練に向かって旅立つがいい!」




 幸恵は何故か我々の不幸を楽しんでいるかのようなネロ伯爵の言葉に不安を覚えた。




 イグアナ族の酋長グレーも同様に。




「幸恵さん、暫くの間このワットナンプラー地区で潜伏してアバター達からの脅威に立ち向かうしか術はなさそうだ。


 この地下都市から逃げ出したところで、この島からは脱出など出来やしないのだから…」




 グレーの落胆した様子に戸惑う幸恵は、思案に暮れるのだった……





 幸恵は不安そうにネロ伯爵とグレーの言葉を聞いた後、決意を込めて言った。




「でも、私たちはここで立ち止まるわけにはいかないわ。この地下都市で何か手がかりが見つかるかもしれないからーーーー


 アバターたちが情報を集めるため、周辺を捜索し始めるわ。イグアナ達、私たちに力を貸してくれる?」





  イグアナ達は頷き、一緒に行動することを約束した。



 幸恵と彼らは物件の周りを探し回り、あらゆる角度から情報を収集した。



 すると何かが目に入った。




「リオン、この辺りに何か感じるものはあるかしら?」




 幸恵が尋ねると、グレーの弟子のリオンが興味深そうに手を伸ばし、地面に触れる。




「ええ幸恵さん、ここには何かしらの不思議なエネルギーが漂っているようです。


 もしかするとここに書かれているのは…古代の呪文のようなものかもしれませんね。」




 すかさず 幸恵も興奮して尋ねる。




「あなたはこれを解読できる人をご存知なの?」




 答えるのに躊躇したのかリオンは深く考えると呟いた。




「私たちのイグアナ族の古老に聞いてみる価値はあります。


 彼はこの種のエネルギーについて多くの知識を持っています。」




  幸恵は頷き、決断を下した。



「では、私たちは古老に会いに行くわ。彼らが私たちの手助けをしてくれるかもしれないわ。」




ー***ーーー


  早速グレーの弟子リオンは、幸恵とグレーを連れてワットナンプラー駅の中心街にある老人アバターホームにいる古老を尋ねるのだった。




「あのぅ、こちらに古代の呪文が解読できるという古老がこちらにいらっしゃるとお聞きしたのですが、会わせていただけないでしょうか?」




 リオンは受付嬢に聞くと、何故かリオン達の訪問を予期していたかのように、その受付嬢はニヤリと笑う。




「お待ちしておりましたわ、こちらへどうぞ……」




 受付嬢はロビーから伸びる通路の奥へと3人を案内するのだった。




  受付嬢が3人を大広間へと案内すると、そこではホームの入所者たちがカラオケバトルを繰り広げていた。




 幸恵たちは驚きながらも興味深そうにその様子を眺めていた。




 すると次に歌うのはなんとネロ伯爵そっくりな老紳士が現れ、ステージで音程を外しながら歌っていた。




  受付嬢が微笑みながら3人に寄り添い、ささやくように語った。




「あの方です、先程の古代の呪文を解読できる方だと言われているのは。


 少々奇妙な風体でわありますが、彼の知識や知見は信頼に足るものです。彼に会ってみましょう。」




 幸恵は戸惑いながらも、受付嬢の案内に従った。




 老紳士が歌い終わると、大広間は一瞬の静寂に包まれた。




  その間、受付嬢が3人に尋ねた。




「それでは、私が彼にあなたたちの用件を伝えましょうか?」




  幸恵は緊張しながらも頷き、意を決して言った。




「お願いします。私たちに必要なのは古代の呪文の解読です。


 どうか、お力をお貸しください、と。」




 受付嬢が微笑んで頷くと、彼女は老紳士に声をかけた。




 老紳士は舞台から降り、幸恵たちのもとへと歩いてきた。





ーーー***ー


「やぁ、そろそろ君たちが現れるのじゃないかと待ちわびていたんだよ!何せこのホームでの生活は退屈でね。」



 ネロ伯爵そっくりの古老ジョーがかつての旧友に話しかけるように親しげに笑う。




 イグアナ族の酋長グレーが彼に問いかける。




「アンタ、本当はネロ伯爵なんだろう?アバターの真似なんかしちゃってワシラを騙そうとしても無理じゃぞ!」




 するとジョーはキョトンとした顔で3人を見つめる。




「はて、ネロ伯爵とは何者だ?ワシはジョーだ、今も昔も。アンタらこそ何しに来たんだ?」




 幸恵はジョーの様子を始めはネロ伯爵が痴呆になったのではないかと疑ったのだが、あまりにもポカンとしているので、ひとまず信じることにした。





ーーー***ー


 グレーの弟子リオンは、ネロ伯爵そっくりの古老ジョーに向かって思い切って尋ねることにした。





「ジョーさん、ですよね?私たちは貴方の知見として、この地下都市「スパイラルワールド」の歴史やアバターについて知りたいことがあります。


 私たちがここに来た理由は、この地の謎を解明することです。」





  ジョーは考え深げに頷きながら、思い出を辿るように言った。




「ふむ、そうか。スパイラルワールドの歴史かーーーー


 それは実に長い物語なのだがな。この地下都市は昔、人々が現実世界の制約から逃れるために築かれた場所だ。ここではアバターと呼ばれる仮想的な存在が生活している。」





  リオンは興味津々で質問を続ける。




「アバターとは具体的にどのような存在なんですか?」




 ジョーは笑みを浮かべながら説明した。




「アバターとは、現実世界の人々が仮想世界での活動を行うための仮想的な身体だ。


 彼らはここで自由に行動し、新たな経験を積むことができる。


 しかし、この世界にもさまざまな問題が存在する。それが今、私たちが直面している現実なのさ。」





 幸恵は疑問を抱きながらも興味深そうに聞いていた。




「なるほど、アバターとは人々が現実世界から逃れるための手段なんですね……


 では、この地下都市はどのようにして築かれたのですか?」




  ジョーは深くため息をつくと呟く。




「それは…次の機会にでも語ろうか。今は君たちが安全な場所にいること、それが一番大切だからな。」




 幸恵はそのジョーの言葉によって、ホームの空気が一瞬凍りついたような錯角を感じるのだったーーーー






///to be continued!!!☆☆☆



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