第116章
イグアナ族の酋長グレーは幸恵ママが王家へのルートを開いたという事を誇りに思うのだった。
「それにしても奇妙な事だが、我が妻の幸恵が魔法使いだったなんて……
それはつまり、過去に召喚された私にとっても遂にチャンスが巡ってきたという事なのだ!」
そんな上機嫌なグレー酋長に話しづらそうにイグアナ族のお供たちが口火を切るのだった。
「あのぅ、お慶びのところ誠に申し上げ辛いのですがーーーー
あの幸恵ママ、別人ですよ。」
「な、ナンジャと?お主何を云っているのじゃ。まあ宜しい、話してみぃ!」
「ははぁ、では申し上げますが……
先日あのローダとか名乗る柴犬仙人から宴の席て酔った拍子に聞かされたのですが。
あの幸恵ママに扮している女は、実はローダの住む遠い島の地下都市「スパイラルワールド」の住人でエルフ族のクレソン女史である、とのことです。
彼女は「スナック南国」という店を以前からの住人として経営しており、ローダはそこの客だそうです。」
「なぬっ!ならばワシの妻は今どこにおるのじゃ?」
すると別のイグアナが話し出す。
「へぇ、アッシが幸恵ママから言伝られたのは、暫くの間旅行にお出かけされるとの事でして。
旅立たれたのはまだたったの3日前でありまして。」
「ナンジャと、ワシはそんな事知らんかったぞよ。」
「それもそのはずですよ、先日あなたはママと大喧嘩して「出ていけッ!」ってママにおっしゃったので当然かと……
まぁいつものことですよね。
で、いつもですとママの熱が冷めるまで一ヶ月は帰って来られない筈なので、やはり別人が幸恵ママに成りすましているのではないかと思われるのですが。」
ーーー****ー
そんなこんなでイグアナ族の酋長グレーは幸恵ママが実は別人であることを受け入れざる終えませんでした。
その別人が魔法を使えるエルフのクレソン女史である可能性を納得しました。
次に彼らは、なぜその別人が幸恵ママに成りすまして王家へのルートを案内したのかについて議論することになった。
「では、我が妻の幸恵ママに成りすましていたエルフのクレソン女史が、なぜ我々を王家へ案内したのか考えてみよう。
もしかすると彼女は王家に何らかの利益を求めているのかもしれないな。」
イグアナの一匹が口を開きました。
「もしかしたら、彼女は王家の秘密や力を利用して、スパイラルワールドやスナック南国の地位を高めようとしているのかもしれません。」
別のイグアナが付け加えました。
「あるいは、彼女は王家の内情や政治情勢を探るために近づいたのかもしれません。
スパイラルワールドやスナック南国が何かしらの脅威にさらされる可能性があるとすれば、彼女はそれを事前に知る必要があったのかもしれません。」
酋長グレーは考え込んだ表情を浮かべました。
「どちらにせよ、我々は彼女の真意を探る必要がある。
王家へのルートを開いたことで我々には大きなチャンスが与えられたが、同時に大きなリスクも背負うことになるかもしれん。
この件は慎重に進めねばならん。」
イグアナたちは酋長の言葉に頷き、慎重に次の行動を考えることにしました。
ーー***ーー
「しかし、一体本当の幸恵ママは何処へ行ったものか……」
酋長グレーはあの幸恵ママがクレソン女史であることよりも、本当の幸恵ママの身の危険が迫っていることを危惧するのでした。
そして結論を下します。
「よし、皆のモノ、戻れぃっ!」
グレーはイグアナ族のお供達とともに王家へのルートのレッドカーペットの階段をかけ下る。
すかさず島の港に向かうイグアナ族の一行。
するとなんということでしょう、停泊中のフランク伯爵の大型帆船を乗っ取ります。
乗員クルーのゾンビ達に地下都市「スパイラルワールド」のある遥か遠くの島へと出港するのでしたーーーー
ーーー***ー
「さぁみんな、幸恵ママを見つけ出すために、いざ出発!」
酋長グレーの威勢のよい命令に従い、イグアナ族のお供たちは一斉に行動を開始した。
「フランク伯爵の船を乗っ取るぞ!」
一匹のイグアナが叫びながら、レッドカーペットを駆け下り、港に向かって走り出した。
船に到着すると、乗員クルーのゾンビ達が待ち受ける。
イグアナたちはそれに動じることなく、巧みな戦術で船を制圧した。
「舵を取れぃ!目的地はスパイラルワールドだ!」グレー酋長が命じると、イグアナたちは船を操り、遠くの島へと向かった。
航海中もイグアナたちは幸恵ママの行方について議論を交わしている。
「幸恵ママはきっと何かを知っているはずだ。彼女がなぜ姿を消したのか、その理由を突き止めねばならん。」
「そうだな。そしてクレソン女史がなぜ彼女に成りすましたのかも気になる。」
「恐らく、何か大きな陰謀が渦巻いているに違いない。
我々の目的は幸恵ママを救い出し、真実を明らかにすることだ。」
船は遥かなる島に近づき、イグアナ族の酋長グレーをはじめとする仲間たちは、決意を胸に幸恵ママを探す旅に出発した。
ーーー****ー
そして3日後に島に到着したイグアナ族の一行は、何者かが駆けつけてくる音を耳にしました。
突然、四人のVRアバターが現れ、彼らは謎のポーズをとりながら一斉に攻撃を仕掛けてきました。
「こ、これは……!」
グレー酋長が警戒を強める中、イグアナ族の戦士たちは迅速に反応しバトルが始まりました。
四人のVRアバター達は、驚異的なスピードと力を持ちイグアナたちに強力な攻撃を繰り出します。
しかし、イグアナ族も決して引けを取らず、集団で連携して奮戦しました。
「どうやらこれは、幸恵ママを守るための試練だな!」
グレー酋長が叫びながら、自らも戦場に飛び込み、勇敢に立ち向かいました。
激しい戦いの中、イグアナ族は四人のVRアバターとの激闘を繰り広げます。
それぞれが持つ力や技を駆使しながら、命がけで戦います。
やがて長い戦いの末、イグアナ族が四人のVRアバターを撃破し彼らの正体が幻影だったことが明らかになりました。
「これで一段落だ。だが、本当の戦いはまだ始まったばかりだ。
この幸恵ママを探し出すミッションを無事にクリアしながら、彼女を取り戻すのだ〜っ!」
グレー酋長が力強く宣言すると、イグアナ族は再び決意を固めるのでした。ーーーー
ーー****ーー
その夜、イグアナ族一行は地下都市「スパイラルワールド」へと続く真っ暗闇の洞窟を進んでゆく。
一行が「スパイラルワールド」の入口辺りまで到着するや、早速、柴犬仙人ローダの話していた「スナック南国」とやらを目指すのだった。
VRアバターの人目を避けるようにと、夜なのにもかかわらず安いサングラスとダサい黒装束の出で立ちで変装したイグアナ族&ゾンビ軍団。
かえって自分たちが目立っている事など気にもせず、何ともレトロでダサい名前の「スナック南国」に到着するのだった……
まるで引き込まれるように中へと入るのであった……
すると……一体どうしたというのでしょう、グレーの妻幸恵そっくりなアバターが、ママとして迎えるではありませんかッ!
「あれま……幸恵ママそっくりなアバターだねッ!」
イグアナ族の一行が驚愕する中「スナック南国」に立つそのアバターは、ニッコリ微笑みながらもロボット調の、なんとなく違和感のある発声で歓迎するのでした。
「ようこそ、お客様。私こそが、幸恵ママでございまする。」
酋長グレーは戸惑いながらも、心の中で希望を抱きます。
「もしかしたら、彼女こそが本当の幸恵ママなのかもしれんと思ったんじゃが、違うな。」
しかしその瞬間、幸恵そっくりなアバターは突然、マイクを手に取り、カラオケバトルを挑んできました。
「な、なんぞやッ、ワシの大好きなカラオケバトルだとぅ……!」
酋長グレーは驚きながらも、一行の仲間たちと共に戦いに臨みます。
激しい音楽の響き渡る中、イグアナ族と幸恵ママそっくりなアバターは交互に歌い合います。
彼らの歌声は店の外にまで響き渡り、何故かそのおぞましい雄叫びは周囲の気配が凍りつくほどの緊張感が漂います〜〜〜〜
酋長グレー率いるイグアナ族は決して負けるつもりはありませんでした。
彼らの揺るぎない団結力と情熱は、幸恵ママそっくりなアバターに真っ向から立ち向かうのでした。
激しい歌合戦の末に、幸恵ママそっくりなアバターは敗北を認め、遂に仲間たちと笑顔で手を取り合います。
「さすが、イグアナ族……。あなたたちの団結力と情熱、それに負けました。
でもね、私はいつまでもあなたたちの味方ですわ。」
幸恵そっくりなアバターの言葉に、イグアナ族の一行は安堵の表情を浮かべますーーーー
ーー***ーー
しかし幸恵ママは実はアバターではなく、本物の幸恵ママがアバターを演じていることなど、とっくに鼻の良いゾンビたちには見抜れていたのです。
彼女はその事実を利用して、イグアナ族酋長グレー筆頭に一行を捕獲するミッションを秘密裏で進めることを決意しました。
「さ〜て、これけら私の本当の計画が始まるわね。」
幸恵ママは素敵な仕草で微笑みながら、ゾンビたちと共にイグアナ族の一行を追跡します。
彼らは洞窟をさらに抜けてゆき、地下都市「スパイラルワールド」の奥深くへと進んでいきます。
一方、イグアナ族の一行は幸せそうな幸恵ママの行方探索を続けていきますーーーー
彼らは幸恵ママが真の安全を求めている場所にはいるだろうと信じ続けまていました。
幸恵ママの真の目的とは、彼らイグアナ族を捕らえ、復讐することにた。ました。
彼女はゾンビたちと連携し、イグアナ族の一行を待ち受ける罠を仕掛けます。
「ここまでね、私の可愛いゾンビたちよ、捕獲せよ!さ〜て、時間だわ。」
幸恵ママの合図と共に、ゾンビたちは奇襲を仕掛け、イグアナ族の一行を包囲します。
「フフッ、これで終わりよ、イグアナ族ちゃん達、てか、ある意味パカよね……」
幸恵ママは冷酷な微笑を浮かべながら、一行を捕獲する準備を整えます。
彼女のVRアバターに扮した裏切り行為にも気付くでもないイグアナ族の一行。
これから巻き怒る地獄ミッションで絶望の淵に立たされようなど、微塵にも気づく様子などありませんでしたーーーー
///to be continued!!!☆☆☆




