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第115章

「しかしオマエ柴犬のくせによう喋るのう。ところで国はどこじゃ?」



ウメ婆さんが柴犬仙人ローダに問いかける。



「おぅ、あっしは地下都市「スパイラルワールド」の出身ジャ。お前こそどこの馬の骨ジャ?」



「な、何じゃトゥ、このピチピチ人魚のコスチュームのババアを捕まえて馬の骨じゃトゥ?


まぁ良い。アタシャ遥か彼方のあちらの世界からVRツアーをしている最中にどうやら召喚されてしまったのじゃ。


しかしな、こちらの世界でピチピチ人魚に生まれ変わったから、中々快適なのじゃ。


元のババアに戻るくらいならこちらの世界のほうが楽しく暮らせるってものよのう。」




「へ、召喚でござるか?それはもしかして王家からで?」



「そうじゃ、仙人フォーがそう言っておるが、本当だかどうだか判らん。」



「それはそれは、であんたらドアーフ達もそのVRツアーで召喚されたのかい?」



「ああそうじゃ、もっともアタシャ魔法使い役じゃがの。」



「へ〜、そうなん。で、どんな魔法を使えるんじゃ?」



「それがのう、アタシの意に反して叶ったりするもんじゃから、本当にアタシの魔法だかどうだか判らんのじゃ。ヒッ!」



「何じゃそのヒッ、とは?」



「ババアの笑いじゃ、何か悪いか?」



「ビックリしたぁ、あっしに魔法でもかけられたかと思ったぞよ……」



「カッカッカッ!ソゲな事ありゃへんわ!」



「な、何なんだそのカッカッカッ!とは?」



「いちいちうるせぇ柴犬じゃ!これもババアの笑いじゃ。何か悪いか……」



「グッヒッヒッヒッ、そりゃたまげたの!」



「なんなんじゃ、そのグッヒッヒッ、とは?」



「いちいちうるせぇな。柴犬の笑いじゃ!」



 ウメ婆さんと柴犬仙人ローダは朝からくだらぬ井戸端会議で盛り上がると、そこへ元自衛官ソルジャーが現れる。



「やぁおはよー!今日も一日元気で行こう!」



「やれやれ、朝から脳天気な元気筋肉バカがやって来た。いつもどうりじゃの。」



「お祖母様、バカはないですよ。まったくぅ〜。」



「ん?バカじゃなきゃパカか?」



「へ、パカ?というと?」



「パカはパカじゃよ。そんな事も知らんのか?」「うん、判んない。」



「パカといえばパカじゃろう、のう、そこの柴犬。」



「だからあっしはローダじゃよ!パカなぞあっしも知らんわぁ。」



「何じゃ乗りの悪い奴らじゃのう。あれじゃよ、あれあれ。」



「な、なんですとぅ〜?」



「だから……忘れたわ。」



「お前さん、そんなにピチピチのクセして老化現象か?」



「違うよぅ、ウメ婆さんは脳軟化現象なだけなの、プッ!」



「同じことじゃろ、パカにしおって、このアルパカ野郎ども!」



「アルパカじゃあらへん、あっしは柴犬じゃっ!」



 3人集まっても何も建設的な会話は生まれそうにない、いつもの朝でした〜〜〜




ーーー***


 柴犬仙人ローダが過去に召喚された人々が王家へのルートを見つけられずにモンスター化していった噂を聞いたことがあると話し出しますーーーー




「その噂ジャが、確かに王家へのルートを見つけられずに絶望した者たちが、次第に暗黒の力に取り込まれ、モンスターと化してしまったという話じゃな。」



 ローダは深いため息をつきながら、その噂の真偽について語り始めた。



「彼らは最初は希望に満ち溢れ、王家に報われることを信じていた。しかし、道が見つからずに迷い始め、絶望の中で心が闇に染まっていった。


 彼らの姿は次第に人間のものではなくなり、その心もまた闇に飲み込まれた。」



  ウメ婆さんとソルジャーは興味津々の表情でローダの話に聞き入っている。



「そして、彼らは暗黒の森に住まう魔物と化し、王家に忠誠を誓っていたはずの心は忘れ去られ、ただ捕食と破壊のために生きる存在となってしまった。


 その様子を目にした者たちは、王家へのルートを求める者たちの失敗を恐れ、彼らを避けるようになったという。」



  ソルジャーは物思いにふけりながら、深くうなずいた。



「王家への道は容易ではない。しかし、私たちは彼らの運命を繰り返すことはできない。


 私たちの旅は王家への道を切り開くものだ。彼らの望みと違い、私たちは決して絶望に打ち勝つことを忘れない。」



 ウメ婆さんとソルジャーは再び希望に満ちた表情でローダに向かってうなずいた。



 彼らは希望を失わないようにそれぞれ心に誓うと、新たなる冒険への準備を始めたのだった。





ーーー***ー


 するとイグアナ族の酋長グレーが妻の幸恵ママと起きてくると3人の井戸端会議に加わりますーーーー



「あぁ、グレー酋長、幸恵ママ、昨夜も遅くまでカラオケで盛り上がったのに、よく起きてくれたね。」



 ローダは優しい笑顔で彼らを迎え入れた。そしてグレー酋長から意外な話を聞くことになる。



「へぇ、イグアナ族も召喚された者たちなのか。しかし、皆希望を失っていないというのか。興味深いな。」



  ウメ婆さんとソルジャーも興味津々の様子でグレー酋長の話を聞き入っている。



 グレー酋長は落ち着いた口調で語り始めた。



「そうなんだよ、我々イグアナ族もかつて異世界から召喚された者たちなのだ。最初は驚きと混乱の中にあったが、次第にこの世界に馴染んでいった。」



幸恵ママも微笑みながら聞き続けている。



「我々は召喚されたことで新たなる可能性を見出し、今はこうしてこの島での生活を楽しんでいる。」




 グレー酋長は熱い眼差しで3人を見つめる。



「我々イグアナ族は、王家への道を求める者たちの希望の光となりたい。彼らの失敗や苦難を乗り越え、共に王家への道を切り開く覚悟がある。」



  ウメ婆さんとソルジャーは感動の表情で頷き合った。



「そうだな、希望を失わず、共に前進することが大切だ。我々はそれぞれの力を合わせて王家への道を見つけ出すんだ!」



 ローダの言葉に4人は一致団結し、新たなる冒険への準備を進めていった。



 彼らの心には、輝かしき希望と勇気が満ちているのでした。




ーーー***ー


「ところでグレー酋長、あんたらせっかく8つの魔石を持っておるのに、何故王家へのルートを辿らないのじゃ?」



 すると幸恵ママが切り出す。



「ソレがね、駄目なの。この魔石を操ることが出来るのは王家の血筋だけなので。だからアタシ達にはそもそも無理なのよ。但し、例外を除いては……」




「れ、例外でござるか?」




「ええ、魔法使いのお祖母様なら叶えられるそうなんですけど、そんな人今まで会った事も聞いたこともないし、困ったわね。」




「なぬっ!それはまことか?魔法使いのババアなら、ホレ此処におるぞ。」




 すると幸恵ママとイグアナ族の酋長グレーが驚きのあまり目を丸くする。




「あ、アンタが魔法使いだって?」




「ああそうじゃ、元はタダのババアじゃがのう、こっちの世界ではどうもそうらしい。」




「それじゃ、ワシラも王家へ連れてけ!」




「嫌じゃ!」



「そんなパカな!良いから連れてけ!」



「というか魔法が判らん。」



「またまたぁ、魔法使いのお祖母様がそんなこと言っちゃ駄目よ、ダメダメ!」



「じゃが、判らんものは判らん。年寄りをイジメるな!」



「だから~、いいから此処にある魔石に呪文かなんかフッかけりゃ良いだけの話じゃなかろうに、勿体ぶりおって、ホレホレ!」



  ウメ婆さんは不機嫌そうな表情で言葉を羅列し始めた。



「ふんッ、そういうことか。アンタらどうなっても知らんぞよ!じゃあ聞くがよい!


 サイケな花々よぅ、チョコヌガーの雨、フンワカなマシュマロちゃん、ダイナマイトボディ、闇夜のアルゴリズムよ、トゥワイライトなダルメシアン、ピッカピカスターダスト、そしてィ……あぁ、も一つが思いつかぬぅ。」




  ウメ婆さんの言葉に周囲は静まり返ったまま。



 しびれを切らした様子でその言葉を聞いていた幸恵ママが、どうしたというのでしょう、微笑みながらお祖母様から魔石を取り上げるや、同じようにヘンテコな言葉の羅列による呪文を唱え始めたのでしたーーーー




「エメラルドの輝きよッ、パープル夜空よッ、マホロバの風よッ、聖なる泉のナマズよッ、ダイヤモンドダストの煌めきよッ、そして〜〜〜、イヤんッパカんッ、ちょっと待っててねッ!」




  するとどうしたというのでしょう、突如として上空に魔法陣が現れ、さも見事な大きな竜巻が発生したのです。




 ドアーフ一行は竜巻に巻き込まれ、吹き飛ばされていってしまいましたっ。



「な、何なのぅ〜何が起こったのじゃ!」



「グレー酋長、幸恵ママ、無事か?」



「へ、平気でござるよ。幸恵ママ、アンタの呪文は何じゃったんじゃ?」




「それがね、ただウメ婆さんの言葉を真似てみただけなのよ。」




 魔法使いの筈のウメ婆さんは魔法が使えなかったからか、その時は不機嫌そうな表情でグレー酋長と幸恵ママを睨みつけたが、やがて笑顔に変わっていった。




「まぁ、面白い結果になったね。次はもう少しちゃんと考えてみようねッ。」




  一同は笑いながら新たなる王家への旅の準備を進めるのでした。





ーーー***ー


 実は幸恵ママが本当の魔法使いだとわかった仙人ローダは、どうしたというのでしょう、彼女と密約を取り交わそうと躍起になり始めました。




 柴犬仙人ローダはというと、幸恵ママが魔法使いであることを知って驚きながらも、抜け駆けすべく彼女との密約を交渉することを決めました。




「幸恵ママ、貴女も魔法使いだという事のようじゃな。ならば我々は共に王家へのルートを見つけることができるかもしれんぞよ。いっちょ試しに下見しに行くか?」





  幸恵ママは微笑みながら、深く頷いた。




「そうね、仙人ローダさん。私たちは魔法を使って王家への道を切り開くことができるかもしれません。しかしね、そのためには我々は欲のない純真な心で力を合わせなければならないわね。」




 仙人ローダも頷きながら、彼女の言葉に同意した。




「そうじゃな、幸恵ママ。純真な力を合わせて、王家へのルートを見つけ出そう。


 そしてこの世界に希望と平和をもたらそうではないか!」




 二人は互いに手を取り合い、共に冒険の旅に出る準備を整えた。彼らの絆は、新たなる未来を切り開く力となるだろう。





ーーー****ー


 あくる朝早く、幸恵ママが森の中で8つの魔石を持ち寄り、再びこの前の呪文を唱え始めますーーーー




 すると周囲に強力な竜巻が発生し、魔法陣が現れるのでした。




 その魔法陣に二人は飲み込まれ、突然空間が歪みだしたのです。




  次に気づいたときには、彼らは天に向かって伸びる真っ白な階段に立っていました。




 その階段にはレッドカーペットで飾られ、王家へのルートを示すものとして輝いていました。




「幸恵ママ……こ、これが王家への道なのか……」




 仙人ローダは驚きと興奮を隠せない表情を浮かべながら、階段を見上げた。




 幸恵ママも微笑みながら、手を取り合って階段を登り始める。




 階段の脇には古代の壁画や彫刻が飾られ、王家の歴史と栄光が描かれていた。



  彼らは王家へのルートを進みながら、新たなる冒険の幕開けに胸を膨らませていた。



 このまま彼らの旅は未知の世界への探求と、希望の光を追い求める旅となるだろう。






ー***ーーー


  ドアーフ一行とイグアナ族の一行は今朝の竜巻に驚いた後、それは王家へのルートが開かれたことだと気付く。




 魔法陣の真下に到着するや吸い込まれる一行。




 そして辿り着いた天に向かって伸びる階段を一気に登り始めた。




  魔法陣の中で突然空間が歪む様子を目撃した彼らは、驚きと興奮を抱えながらも、幸恵ママと仙人ローダがたどる未知の道に追いつこうとしていた。




 階段を登りながらもドアーフたちは互いに声を掛け合いながら、新たなる冒険の展開に期待を膨らませていた。




 一方イグアナ族の一行も同様に、酋長グレーを先頭にして階段を登っていた。




 彼らも王家へのルートを発見した喜びと興奮で胸を躍らせながら、先行していた幸恵ママと仙人ローダに会うことを心待ちにしていた。




  二つの一行が共に天に向かって進む中、彼らの冒険は新たなる展開を迎えつつあったーーーー




 果たして彼らを待ち受ける王家の秘密とは一体何なのだろうかッ!







///to be continued!!!☆☆☆


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