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第114章

 洞窟の奥に見える明るい光を目指して、人魚のコスチュームの3人は脱出口へと到達すると水面に浮かび上がります。



 どうやら湖の底にあるこの洞窟の出口は海までつながっていたようです。




「みんな無事かい?よし、あの先に見える白い砂浜に泳ぎ着こう!」




 ハイジの声掛けで人魚たちは砂浜を目指して泳ぎ進めます。




 すると目の前に見覚えのある巨大帆船が近づいてくるではありませんか。 




「あれは……フランク伯爵の船だなぁ。ということは僕らは地下都市「スパイラルワールド」からの脱出に成功したということだね!」




 するとキャンがはしゃぐ。「えっと、ということは〜アタシ達あのVRアバターの魔の手から無事に逃れたという事キャピねッ!」




 すると元精神科医ナリミーが喜ぶ二人を遮る。




「おい、まだ油断するのは早そうだ。あの船の甲板にいる四人を見ろ。


 フランク伯爵とクレソン女史、仙人フォーと、幸恵ママ……ということはだ、此処はまだワールドの中なのかも知れないぞ!


 その証拠に、幸恵ママがここにいるのはおかしいじゃないか。


 やはりあの四人はVRアバターなのかもしれない……」





 3人はがっかりしながらも何とか砂浜に到達すると、何と白い砂浜の向こうから一匹の柴犬が飛び出してきた。




 砂浜の砂に取られがちな短い足を巧みに使いながら、こちらに一目散に駆け寄ってくる。




「あ、あ、あ〜ん、あれはもしかすると仙人ローダであるキャピか?」




 すると柴犬仙人ローダは、人魚たちに注意を促し、安全な場所へと導きます。



 しかしその時、帆船から降り立つ4人が追いかけてきます。



 フランク伯爵、クレソン女史、仙人フォー、そして幸恵ママが不穏な笑みを浮かべながら近づいてきます。




 彼らはまるで幽霊のように立ちふさがり、人魚たちを取り囲みます。




 すると、フランク伯爵が冷酷な声で言います。




「お前らどこへ逃げようとしているんだい?

 無駄なことはよしたまえ。だってこのワールドから逃れることなんてできないんだからね。

 そして我々は、実をいうとワールドの支配階級なんだ。」



 そんなVRアバター達にハイジは思いっきりの軽蔑を込めて言います。



「僕たちは絶対にあなたたちの支配下になどなりませんから悪しからず。」




  すると突然、柴犬仙人ローダが姿を変え、スピリチュアルパワーを発揮します。




 ローダは敵対する4人の前に立ちはだかり牽制し始めます。




「このワールドとは、生きとし生ける全ての命ある者にとって自由かつ平等な存在のもの。お前たちだけの支配など、許されはしないのじゃ!」




 そう言うや、スピリチュアルな仙人パワーを発する柴犬ローダの前に立ちはだかる4人の姿が次第に消滅してゆきましたーーーー





ーーー***ー


 やっとのことで柴犬仙人ローダと3人の人魚のコスチュームのドアーフが旧集落の跡地に辿り着くと、今夜は此処で一泊することになった。




 そして仙人ローダから帆船のあの四人はVRアバターに違いなく、ドアーフ達をこの島から隔離するためにつきまとっていることを突き止めたのでした。



ハイジ:「なんてことだ…帆船のあの四人は本人たちじゃなかったなんて!」




キャン:「え、そうだったんだッピ。でも、なんでこんなことが起こってるルル?」



ナリミー:「恐らく、彼らは我々をこの島から隔離しようとしているのでしょう。何か秘密が隠されているのかもしれませんね。」



柴犬仙人ローダ:「フム、そのようだ。この島には彼らが反応するような、何か重要なものが隠されているに違いなかろう。

 そして、彼らはそれを奪おうとしているのさ。」



ハイジ:「じゃあ、僕たちは一体どうすればいいんだい?」



キャン:「そうなんだ〜、じゃキャンはここが安全だから一晩泊まるつもりだけど、今夜はどうしュッペ?」




ナリミー:「彼らの行動パターンからの分析によりますと、どうやら私たちは今後も警戒を怠らないようにしなければなりませんね。彼らが再び現れる可能性は非常に高いですから。」



柴犬仙人ローダ:「その意見は正しかろう。今夜は交代で夜通し警戒を強化しなから、明日の朝にはこの島を探索することにしよう。VRアバターの隠された真実を解き明かす迄は抜かり無きように。」




ハイジ:「ローダ、了解しました。僕たちは一緒にこの謎を解いてみせるぞ!」





ーーーー***



 どうやらVRアバター達は今夜は諦めて大型帆船に戻りました。



 今度は船のクルーとして乗っている、鼻の効くゾンビ軍団を使って捜索にあたらせました。




 すると、スピリチュアルな仙人ローダのテレパシーがこのことをキャッチします。




 ローダはイグアナ族の酋長にお願いして、旧集落に魔除けのニンニクをぶら下げて結界を張りました。




 なんともその効果は絶大で、ゾンビ達の目をごまかすことに無事に成功したのか、ゾンビ達はこの結界を眼の前に反発されたように遠ざかってゆきましたーーーー




ハイジ:「ニンニクの結界、結構効いてるようだぞ!」




キャン:「見てぇ、ゾンビたちが近づいてくるコワウィ〜ッわをッ!」




ナリミー:「キャン、もう大丈夫。ほら、結界の効果が現れているみたいだろ。これで一先ずは何とかなるでしょう。」




柴犬仙人ローダ:「結界は彼らを一時的に遠ざけるだけだ。

 そこで、遅くとも明日の朝には我々はこの場を離れる準備をしなければならない。」




ハイジ:「でも、どこに行けば安全なの?」




キャン:「そうだね、私たちにはどこに逃げるべきかわからないプピ……」




ナリミー:「待ってください、私の意見としましては、VRアバターたちがこの島を彷徨っている間に、乗ってきた船で逃げようと思うのですが。


 海に出ればゾンビたちも追ってはこれないはずですからね。」




柴犬仙人ローダ:「それでは明日の朝は急いで行動することにしよう。ニンニクの結界もその頃には効果が切れるだろうからな。」




ハイジ:「分かった。みんな、今夜は急いで眠りに就いて、明日の朝一番で船に乗ろう!」






ー*ーー**ー


 そんなこんなであくる朝早く、柴犬仙人ローダ率いる一行が4人から奪った大型帆船で、この島からの脱出を成功させる。




 帆船は大海原を超えてゆく。


 


 来る日も来る日も真夏の日差しとの格闘で、焦がされながら漂流してゆく。



 さらに数日後、どうやら心優しいイグアナ族の住む島が見えてきたようだ。




 そして一行はこの島に到着するとイグアナ族の酋長から魔石についての大事な情報を入手するのでしたーーーー





 柴犬仙人ローダ:「ようやく島に着いたようジャな。みんな、もう上陸の準備はできているか?」





ハイジ:「はいっ、準備は整っております。」




キャン:「でもゥ〜ッ、アタシどうやってイグアナ族と仲良くすればいいのかなッペ?なんかトカゲとか苦手ッチャ。」




ナリミー:「待って、あそこにイグアナ族の村が見えるわ。あの建物が酋長の館に違いない。」




柴犬仙人ローダ:「それでは、我が友のイグアナ族酋長のもとへ向かおう。 

 ひょっとすると、彼らから魔石に関する情報を得ることができるかもしれぬ。」





ーー***ーー


 ドアーフ一行はイグアナ族の村へと向かい、しばらくすると酋長の館に到着しました。




 酋長は優雅な装束を身にまとい、人一倍大きなイグアナの容姿をしており、一行を暖かく歓迎するのでした。




酋長:「ようこそ、旅人ドアーフたちよ。先日も君たちのお仲間と何かお探しですか?」




柴犬仙人ローダ:「我々は魔石についての情報を求めています。どうかお助けください。」




酋長:「魔石か…それは古代の力を秘めた石だ。しかし、その力を使う者が悪用すれば大きな災厄を招くことになる。」




ハイジ:「私たちはその魔石を探し出し、悪用されないようにするつもりです。どうか情報をください。」




酋長:「分かった。魔石に関する情報を与えよう。だがその探求はくれぐれも慎重に行うように。魔石の力は決して軽視すべきではないぞよ。」




 イグアナ族の知る魔石の在り処について柴犬仙人ローダは朝まで焚き火の前で語っていました。





ーー***ーー


 翌朝、早速酋長の先導で島の秘境の奥地の大きな滝のある所へ辿り着きます。



 するとそこには、なんと、例のVRアバターの4人が先回りして到着しているではありませんか!




 その一人フランク伯爵のアバターが呟きます。




「フフフ、君たちは一歩遅かったようだね。


 ほらこの通り、以前仙人フォーが海底に落としてしまった8つの魔石は、こうして私の手元にありますよ。


さぁ諸君、私から奪ってみなさい!」





 それを聞いていたハイジ達はフランク伯爵から奪おうとしたその瞬間、何と柴犬仙人ローダが慌てて止めま す。




「どうやらアイツラは実態のないVRアバターのようだ。


 だから仮想現実の彼らの言いなりになる必要など無い!


 さぁ酋長、これからの作戦を練ろうか。」




酋長:「イグアナ族の諸君よ、今こそ我らの力を結集し、この島を守り抜こう。アバターたちは我々の恐怖や不安に付け込もうとしている。


 しかし、我々は彼らの幻惑に惑わされることはない。」




 イグアナ族の住民:「酋長に従います!」




酋長:「では、我らはこの地に根付きし、祈りを捧げ、自然の力を呼び覚ますのだ!」




 イグアナ族の住民と共に酋長が祈祷を捧げると、島中に神秘的なエネルギーが満ち始める。




 滝のそばにいたアバターたちはその力に怯え、次第に姿を消していく。




柴犬仙人ローダ:「見ろ、アバターたちは消え去った。我々の信念と結集した力が彼らを打ち破ったのだ。」




ハイジ:「すごい…本当に助かったわ。」




キャン:「酋長どの、ありがとうございますルル。」




酋長:「我らイグアナ族はこの島の守護者として、常に島とその住人を守り抜くことを誓う。」




 一同は感謝の意を示しながら、新たな冒険へと向かう準備を始める。




 彼らはまだ知らない、次なる試練が待ち受けていることを…






ーー***ーー


 どうしたというのでしょう、突然柴犬仙人ローダが皆に言い放ちます。




「どうやら君たちのスピリチュアルミッションは無事にクリアできたようだな、おめでとう!

 それではそろそろ私は自分の居場所に帰るとしようか。」





 そう言うや仙人ローダは森の中に消えていった。するとイグアナ族の酋長が言う。




「私はローダとは旧知の仲であってな、どうやらVRアバター達の憑依から君たちを脱却させるというミッションが課せられていたのだろう。


 そして今、それを叶えたのだ。さぁ、それでは君たちに魔石の在り処を案内しよう!」





ーーー***ー


 イグアナ族の酋長が皆を滝の奥にあるかつての宝石掘削洞窟を案内し、8つの魔石を手渡します。




酋長:「さあ、私の友よ。魔石の在り処へ案内しよう。」




 一行は酋長に従い、滝の奥にあるかつての宝石掘削洞窟へと向かう。




 その洞窟にはかつての活気がなく、静寂が漂っていた。




酋長:「ここが魔石が眠る場所だ。」




 酋長は手元にある8つの魔石を一つずつ取り出し、それぞれを一行に手渡す。



酋長:「これらの魔石は古代の力を秘めており、その使い方は慎重に行わなければならない。


 しかし君たちの使命が果たされた今、私はこれらを君たちに託そう。」




ハイジ:「ありがとうございます、酋長。」



キャン:「これで私たちは次の冒険に備えることができますね。」




ナリミー:「魔石の力を用いて、より良い未来を築くために努力しましょう。」



 一同は魔石を受け取り、その重みを感じながら新たな冒険へと進む準備を整えます。





ーーー***ー


 王家へのルートへと案内してくれる8つの魔石をナリミーが受け取った瞬間、目の前に先程消えたはずのVRアバターの四人であるフランク伯爵、クレソン女史、仙人フォー、そして幸恵が現れたことに皆が腰を抜かす。




 どうやら皆は今度こそ本物で、クレソン女史の潜水艇に乗ってこの島にたどり着いたとのことでした。




 しかし幸恵ママはといえば、実はイグアナ族の酋長の奥さんであり、フランク伯爵一行をこの場所へとツアーガイドしてきたとのことでした。




ハイジ:「えっ、本当に皆さん本物だったんですか?」




フランク伯爵:「はい、申し訳ありません。私たちはイグアナ族の酋長の奥さんとともに、この島を訪れていました。」




クレソン女史:「そうです。私たちは魔石の伝説を追い求めて、潜水艇で島に到着しました。」




仙人フォー:「しかし、あの魔石の力については本当に危険なものです。」




幸恵ママ:「そうです。私たちは皆さんに警告したいと思い、この方法で会うことになりました。」




柴犬仙人ローダ:「なるほど…しかし、魔石の力を使うことによるリスクは十分理解しているか?」




クレソン女史:「はい、私たちはその危険性を承知しています。

しかしこの魔石がもたらす可能性には興味があります。」




ハイジ:「では、一緒にその力を探求するのですね。」




 一同は魔石の力について深く議論し、そのリスクと可能性を理解しながら、一行はイグアナ族の居留地まで引き返します。





ーーー***ー


 するとなんということでしょう、一行がイグアナ族の居留地に到着すると、そこには既にウメ婆さんと仲間たちが待っていました。




 彼らは笑顔で一行を迎え、キャンプファイヤーの準備をしていた。




ウメ婆さん:「ようこそ、みんな!久しぶりだね。」




宗谷:「おばあちゃん、おかえりなさい!」



ソルジャー:「皆、元気そうだな。今夜は宴だぞ!」



リンリン:「みんなで楽しもうね!」



ケント:「さて、カラオケバトルを始めようか。」



 一同はキャンプファイヤーの周りに集まり、カラオケバトルが始まる。誰もが懐かしい曲を歌い、笑い声がキャンプサイトに響く。



 そして仙人フォーの音程の外れた十八番が登場すると、一同は笑いながらも彼の熱意に久々に感動します。




ハイジ:「仙人フォー、あなたの歌声は特別だね!」




キャン:「そうだよ、心からの歌声って最高だ!」




ナリミー:「仙人フォーのパフォーマンスを楽しむのも良いね。」




柴犬仙人ローダ:「みんなの笑顔が見られるのは幸せなことだ。」




 一晩中、彼らは笑いと歌声で楽しい時間を過ごし、再会の喜びを分かち合う。



 そして新たなる冒険への準備を整えながら、友情と絆を深めていくのだった。






///to be continued!!!☆☆☆



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