第104章
「ねぇナリミー、下に見えますアレは、もしかして仙人フォーじゃない?」
上空から海上を滑空するドラゴンちゃんパトラッシュにまたがるドアーフ一行の一人、CAリンリンが指差す方角には、一隻の筏を漕ぐ金魚のコスチュームの老人が真っ黒に日焼けした顔をこちらに向けて眺めている。
「まさかァ、あんなに粗末なイカダに乗ってるわけ無いじゃん……エッ、ア!」
ナリミーは思わず言葉を失う。それは真っ黒に日焼けしているものの、間違いなく仙人フォーであったから……
ハイジは早速パトラッシュを下降させてイカダに接近すると、その御老体は何だか慌ただしく漕ぎ始めたではないか!
それはまるで我々から逃げようとでもしているように必死な形相で。
ハイジが御老体に問いかける。
「あのぅ、アナタ様はもしかして仙人フォーではありませんか?」
すると御老体はキッとこちらをにらむや、文句を言う。
「ワシャそんなもん知らぬ!今忙しいんじゃから放っといてくれ!」
しかしドアーフ一行がどう見ても、その人魚のコスチュームの御老体は仙人フォーに違いなかった。
今度はCAリンリンが色っぽい声で御老体に言う。
「ねぇねぇ、そこの日焼けした仙人フォーさん、意地張らなくていいから、そんな汚いイカダ捨てちゃって、パトラッシュに一緒に乗ってかな〜い?」
すると御老体は日焼けした顔の口元をポッカリと開けたまま、何故かヨダレを垂らしている。
しかしその余りにも不信な様子から、元自宅警備員ハイジは恐怖を覚えると、パトラッシュにムチを入れて逃げ出そうとするではないかっ!
しかしケントがそれを制止してそのヨダレ老人は無事に救出されることとなった。
ーー☆☆ーー
真夏の大海原で彷徨っていた仙人フォーは、どうやら熱射病になってしまったのか、パトラッシュの背中でとうとう気を失ってしまいました。
そこで元精神科医ナリミーが、近くの島で応急処置をする事になりました。
元自宅警備員ハイジがパトラッシュを安全な場所に着陸させると、仙人フォーの意識を取り戻すためにすぐさま行動します。
彼は近くの島の木陰に仙人フォーを運び込むと、ナリミーは直ぐ様水を飲ませると応急処置を施します。
同時に仙人フォーの皮膚に湿布を貼り、熱中症の進行を防ぎます。
その間、仙人フォーの周りにはドアーフ一行が集まり、心配そうに見守ります。
ハイジとCAリンリンは、島の周りにある草や木から仙人フォーのために薬草を集めると、彼の回復を手助けします。
時間が経つにつれ、仙人フォーの症状は徐々に改善していきました。
やがて彼の意識が戻り、周囲の優しい手当てに感謝しました。
ドアーフ一行と仙人フォーは一緒に旅を続ける決意を新たにし、フォーの体調が完全に戻るまで、王家へのルートツアーの出発の日を待ちました。
ーーー☆☆☆ー
しかし回復していた仙人フォーが何と、ドアーフ一行が探していた魔石No.8他、全ての魔石8つを持っていた事、そしてそれを全てイカダに置き忘れてきた事を皆に伝えると、一行はずる賢い仙人フォーが逃げようとした本当の理由を理解したのでした……
早速パトラッシュでイカダの場所に取りに向かいますが、イカダごと何者かによってか、既に魔石は略奪されていたのでしたーーーー
仙人フォーが皆に告げると、ドアーフ一行は驚きと落胆の表情を浮かべます。
「誰がこんなことをしたんだ?」
ハイジが怒りを露わにすると、ナリミーは深く考え込みます。
「おそらく、これは我々の旅を邪魔しようとする敵の仕業だろう。
しかし我々は彼らに負けるわけにはいかない。魔石を取り戻すために、我々の冒険は更に困難なものとなるだろうが、諦めるわけにはいかない。」
CAリンリンはいつもとは違う、まるで決意に満ちたような表情で言いました。
「そうよ、私たちは団結してこの試練に立ち向かうのよ。一緒に力を合わせれば、きっと魔石を取り戻せるわ。」
ドアーフ一行は再びパトラッシュに乗り込み、新たな冒険の旅に出発する決意を固めます。
彼らは未知の挑戦に立ち向かう準備を整え、失った魔石を取り戻すために新たな旅路に踏み出します。
ーー☆☆☆☆ーー
しかし魔石はイカダを発見したイグアナ族によって確保されていたのでしたーーーー
そこへたまたま島に立ち寄った宗谷たち一行がその事を知るや、何とか自分たちのものにしようと考えるのでした。
宗谷たち一行が魔石をイグアナ族に確保されていることを知ったとき、彼らは興奮し、すぐに計画を立て始めます。
「これは一体……8つとも魔石があるなんて奇跡、というかチャンスだ!」
宗谷が言います。「イグアナ族は手厳しいかもしれないけど、交渉次第では魔石が我々の手に入る可能性は十分ある!」
「そうね、でも彼らとの交渉は慎重に行わないといけないわねキャピッ!」
とキャンは警告します。
「イグアナ族って見た感じ頑固で強力そうなんだからね。」
「わかってるよ。では、交渉の準備をしようか。」
すると宗谷は決意を示し、皆でイグアナ族の拠点に向かい、魔石の返還を求めるための交渉を開始します。
最初はイグアナ族は全く譲歩せず、当然のごとく交渉は難航します。
宗谷たちの説得と交渉が夜半まで続くと、疲れも手伝って徐々に効果を上げていきます。
「我々は魔石を守る責任があるのだ。しかし君たちの誠実さと力量も認めよう。
よって今回は一旦、魔石を君たちに渡すことにしよう。」
イグアナ族の族長が最終的に言います。 宗谷たち一行は喜びに満ちた笑顔で魔石を受け取ると、感謝の意を示します。
「本当にありがとうございます。これで私たちの冒険は一歩前進しましたっ!」
宗谷がついつい喜びの声を上げます。
魔石を手に入れた宗谷たち一行は再び旅路に戻り、新たな冒険が待ち受けている世界へと向かってゆくのでしたーーーー
ーーー☆☆☆ー
しかしイグアナ族も別に彼らにタダで魔石を渡したわけではありませんでした。
すると族長が「我々も王家へのツアーに参加させてくれ」と宗谷に相談します。
だが、宗谷が人数定員オーバーだからダメだと断ると、イグアナ族は、
「ならば魔石を返せ!」
と彼らから魔石をアッサリ取り上げてしまいましたーーーー
イグアナ族が再びツアーへの参加を要求すると、宗谷は困惑した表情を浮かべます。
「申し訳ありませんが、現在、人数の定員オーバーで追加の参加者を受け入れることができません、と、王家の受付が言っておりました。」
イグアナ族のリーダーは静かにドアーフ一行に告げる。
「ならば魔石は貸さないもん。」
その場に一瞬の沈黙が流れた後、緊張がさらに高まります。
宗谷は何とか冷静に対応しようと試みます。
「我々は魔石をどうしても必要としている。これは遊びに来ているわけではありません。
君たちの手に渡した魔石は我々のツアーには不可欠な物なんだ。
だから何とか解決策を見つけなければならないのです。」
宗谷に詰め寄られたイグアナの族長は悩んだ表情を浮かべると、最終的な決断をします。
「わかったよ。魔石を返す代わりに、私も同行させてくれ。ツアーに参加しながら、我々の文化と生活を理解してもらいたいからね。」
族長はそう提案しました。
宗谷は暫く考え込みますが、彼らの要求を受け入れることにします。
「了解しました。イグアナ族のアナタを同行させることにします。イグアナの文化を理解することは、私たちの冒険にとっても貴重な経験になるでしょうから…」
宗谷がそう言い終わると、リーダーは何とも安堵した表情を浮かべて、魔石を彼らに返還します。
「よし、これで魔石は貴方たちのものだ。私は準備を整えて同行するとしよう。」
これで魔石奪還は一件落着し、宗谷たち一行はイグアナ族長と共に王家へのツアーに向かうのでした〜〜〜〜〜
☆☆☆ーーーー
その頃仙人フォーはドアーフ一行から、何故魔石を全部持っていたのかと問い詰められます。
仙人フォーがその問い詰めに、彼は珍しく深いため息をつきます。
「実は、私はフランク伯爵から7つの魔石を預かっていたんだ。
彼は親友である私に信頼を寄せてくれた。
でも、魔石No.8に関しては…」
仙人フォーが言葉を切ると、ドアーフ一行の驚きの表情が広がります。ハイジが尋ねます。
「まさか、クレソン女史のハンドバッグから盗んだというのではないですよね?」
仙人フォーは顔をしかめながら、吐き出すように言う。
「はいそうですよぅ、申し訳ありません。
私はその時、何故か突然衝動に駆られて、考えもせずにそんな行動をとってしまったんです……
クレソン女史には本当に申し訳ないと思っています。」
ドアーフ一行は仙人フォーの告白に驚きながらも、彼の誠実さを認めます。ナリミーが語ります。
「仙人フォー、君の誠実な告白に感謝する。これからはもう二度とそんなことをすることはないように、約束してくれるか?」
仙人フォーは深く頭を下げると、
「はい、絶対に二度と繰り返しません。皆さんの信頼を裏切ったことを心からお詫びしますーーーー」
と、想定外にもキチンと謝罪しました。
ドアーフ一行は仙人フォーの謝罪を受け入れ、彼と共に未来の冒険に向けて進んでいくのでした。
ーーー☆☆☆ー
その頃、ドラゴンちゃんヒロトの背中で夜間飛行していた宗谷とドアーフ一行は、ウメ婆さんの懐にいるヒナドラゴンちゃんマツコがなにやら騒ぎ始めたことを察知する。
すると、よりにもよって彼方からドラゴンちゃんパトラッシュが飛んでくるではありませんか!
そしてそれは何と仙人フォー御一行様達であり、ミルミルこちらに近付いて来ます!
そこで宗谷は魔石を取られないためにも、仙人フォー達を交わす手段に出ます。
「魔石を取られないようにしないと!」
宗谷が叫びます。ウメ婆さんは冷静に魔石とヒナドラゴンちゃんマツコを懐に隠します。
「仙人フォー達を交わす必要がある。彼らに魔石を譲るわけにはいかない!」
この提案にウメ婆さんは宗谷にうなずくと、
「了解。ではアタシャ交渉を試みようかね。」
と言います。そして仙人フォー達が近づいてくると、ウメ婆さんは彼らとの対話を試みます。
「仙人フォー達、こんばんは。何かお困りのことでも?」
ウメ婆さんがとぼけた様子で尋ねます。
仙人フォーは微笑みながら答えます。
「おウメさん、こりゃまたお久しぶりじやな!
実はなぁ、我々は魔石を返してもらうために、此処にやってきたんだ。
フランク伯爵からの折り入っての依頼なのだよ。」
ウメ婆さんは一瞬たじろぎますが、同時にとぼけた表情を浮かべます。
「おおそうかい、ならば了解じゃ。ではワシらには魔石を譲り渡すことは不可能じゃが、代わりに何かお手伝いできることはないかな?」
///to be continued!!☆☆☆




