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第1章

VRツアーに参加したとある精神科医があちらの世界でドアーフってどういうこと?! 第1章  作: 大丈生夫 (ダイジョウイクオ)



そんなぁ、僕はただVRツアーに参加しただけなのに・・・

こうして僕はこちらの異世界で、とあるドアーフとなってしまった。

それに同意した私の選択は果たして正しかったのであろうか。

誤っていたとして、この先誰によって僕の未来が牛耳られようとしているのか。

孤独な生活から希望を持ってVRツアーに参加した精神科医と普通の青年に降りかかった未来とは。

さぁ、君も未来の行方に乗り遅れないように、しっかりと着いて来てねっ!



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


Scene.01


僕はどうやらうつ病になってしまったようだ。

会社で人間関係に悩んだ挙句、このままこんな生活を続けてゆく意味さえも見つからないまま、気が付けば精神科に通っている日々となっていた。



「先生、僕は生きる術を失ってしまいました。どうしたらいいのでしょうか?」


「生きる意味なんて、誰も判っている人間なぞ居ないものだよ。」


「ですが、同年代の輩は皆何かしらの目的を持って・・・」


「おお、そうかね、それはそれは。で?」


「もしかして、先生は僕をバカにしていますね?」


「そんなことないよ、勘ぐるなよ!」


宗谷は精神科医の成宮の語調に不機嫌となった。

そして、ここのところ起こしがちな癇癪を奏で始める。



「そういえば、先生って未だに独身だとお聞きしましたが。何かご結婚できない理由でも?」


「君ね、それって失礼だよ!」


「先生、例えば女嫌いとか?」


「別にそのような・・・」


「ならば何かしらの身体的な機能不全とか?」


「おいおい、君こそ僕をからかってはいないかい?少なくとも僕は医者だよ。」


「はいはい、失礼いたしました。」


「しかし、何でそんな質問をするんだね、宗谷君?」


「えへへ、ただの気まぐれです。」


「そうかなぁ、ほら、さっき君が言っていた、「生きる術」とやらと関係が無いかなと。」


「ああ、そうかも知れませんね。」


「君は時々へんな想像をすることが多くないかい?」


「と、申しますと?」



正直、宗谷のその問いかけに成宮はギクリとした。

というのも、妄想癖の可能性を疑ったのであったから。

精神科医の質疑は往々にしてこのように展開される。

そして相手から何かしらの解決策を導き出そうとするため。

ある意味成宮にとってはこの職業はゲーム的に遂行されていた。

最も私がこの職業に興味を持ったのも、このゲーム攻略にも似たやりとりに好奇心が掻き立てられたからといっても偽りは無い。


そう、成宮が独身であることもそのことにのめり込んでいることが要因でもある。

人生にとって、人の精神状態を揶揄することが出来る立場に喜びを覚える。

ある意味変人である事は自負している。


しかし・・・そんな成宮もここのところ、長期に及んで精神に破綻を生じている人間達を相手にしていることで、もしかすると自分の中においても正常な精神状態が歪んできてはいないかといくらか気がかりに思っていた。


それというのも、インターンの頃、同期であった優秀だった友人の自殺が糸を引いていた。

大学院時代、共に志し高く学業に臨んでいた。彼は将来を標榜されていた。

何不自由の無い将来が保証される筈だったのに・・・

ハナシによると、彼は一人の精神疾患の女と出来ていたそうだ。

親しい間柄になってから彼の本来の性格は日に日に変わって言った。

そして魔物にでも取り付かれてしまったように豹変したのだ。

確かにこの業界において、精神科医が患者に騙される話は何例もある。

その事については立場的に皆シュミレーションを行っている。

しかし、永年この職業に携わっていると、つい魔物の餌食になってしまう。

そう、彼は間が挿したのであろう・・・・



「先生、どうかされましたか?」


宗谷のその言葉に我に帰る。



「あ、いや。」


そういうと成宮は窓越しに外をみつめながら思案に暮れる。

もしかすると、この宗谷は私を騙そうとしてはいないか?

そして宗谷に向き直ると、質問を再開する。



「ところで、君は僕が独身なのをどうして気にかけるのだね?」



「それは・・・気になったから。


「え、何が?」


「先生の「生きる術」って何かなと。」


「私は・・・此処にやってくるみんなを治療することだよ。」


「へぇ、そうなんですね。ですが、本当にそれが「生きる術」に成りうるのでしょうか?」



再び成宮は躓きを憶える。

確かに、彼の言っている事は理解できる。

もしかして私は彼が言うように「生きる術」なぞ持ち合わせていないのやも知れない・・・

再び宗谷が呟き始める。


「先生、あなたもやっと私の気持ちが解ってくれたようですね。そうです、僕も貴方もこの「生きる術」という大きな命題の解を持ち合わせてはいないのです!」



確かにごもっともな意見ではある。

だが、果たしてその解を持ち合わせている人間なぞ、この地球上で何%存在しているのだろうか。

おおよそ人々は目前の事象に追われて日々を過ごしている。

それは生きるためでもあり、生活に追われて忙しくしている。

「生きる術」なんて考えることすらしないまま。

ある意味そんな贅沢なことを考える余裕すらない。

往々にして現実離れした考え方なのかもしれない。

そこまで考えずとも、ある程度の目的はあろう。

その大小の目的を達成するために人々は寸暇を惜しんで尽力し続けている。

そう、目的のために・・・・



「先生、今日は何だか変ですよ。遠い眼をしちゃって。僕が変な事言ったからでしょうね。」



その言葉に成宮はまんまとしてやられた様な気がした。

さてはこ奴、オレをおちょくっているのだな!


成宮はこの瞬間から精神化医としての誠実さを欠いていくこととなったのだった・・・





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


Scene.02


「で、君はどんな仕事をしているんだっけ?」



やけに唐突な成宮の質問に意表を突かれたような宗谷。

なんでそんなことを聞くんだ。

僕が会社の人間関係に悩んだ挙句に此処に来ているのを知っていて。



「あ、以前言いませんでしたっけ?大手旅行会社でツアーコンダクターやっているって。最近はめっぽう仕事は減りましたがね。」


吐き捨てるように言う宗谷の不機嫌な表情に生唾を飲む成宮。



「ほう、じゃあ君の「生きる術」というのも危ういということだね。」


「いいえ。そもそも生きがいとも思っていませんし。」



きっぱりと言い切る宗谷。

その不機嫌さを募らせていく様子に、成宮は自分のゾーンに気持ちを引き入れたことを実感する。

半ば心の中でガッツポーズ。

先ほどの私に対しての愚問の仕返しとしては丁度良かったかな。


「宗谷君、そうなると君は職選びに失敗したんじゃないのかな?」



この言葉は宗谷の心にナイフを刺すようなもの。

宗谷が動揺するのには持って来いだと成宮はほくそ笑む。



「先生、職業ってそんなに重要でしょうか?そもそも私は好き好んでこの仕事をしている訳ではありません!」



おっと、これはこれは憤慨の極みか?

大分語調が強くなってきたな、よしよし。

私を嬲るとこういう目に会うのだよ、解ったか、宗谷君よ!



「それより、先生も此処のところ大分お疲れのようですが。先生こそご職業の選択を間違われたのではありませんか?丁度良かった、実はウチでは今度この企画を推奨していまして。ご興味があるようでしたら私に連絡して下さい。何だか今日は気分が悪いので失礼します。」



そう言うと宗谷は鞄から一通のパンフッレットを成宮のデスクの上に置くやそそくさと退散していった。

ドアを「バタンッ」と閉めたことで不機嫌な様子が見て取れる。

成宮は置かれたパンフレットの封筒を開く。




~貴方の夢を、今こそ叶えませんか? VRツアーのお誘い!~



パンフレットにはこう書かれている。

VRツアー?ああ、今流行のバーチャルで旅行をさせるって企画だな?

それでと・・・成宮は読み進める~~~



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


・目的地: 未定

・日程; ご都合次第

・料金: まずは無料体験ツアーとなります。

・開催場所: 追って連絡


※ 詳細は担当者にご確認下さい。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



それはなんとも要領を得ない文面であった。

そもそも目的地が未定?一体何処へ連れて行こうというのか?

日程もご都合次第・・・他の客と日程調整するのだろうか?

料金も最初は無料のようだが・・・


これって、何も決まっていないも同じことではないかな?

まぁ、今のご時勢、参加者が集まりにくいからある程度の集客が見込まれたところで開催しようという魂胆なのであろう・・・・

そして詳細は担当者に確認か。


まぁ、考えてみてもいいかな。

どうせウチも此処のところ暇だし。








////////// To Be Continued ☆☆☆☆☆























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