いけない遊び
七千字弱、全3話です。
読んで戴きましたら倖せです。
小学生の頃、ボクと悠君はとても自然にキスを交わすようになっていた。
どうしてそうなったのか、記憶が曖昧でよく憶えてないけれど多分興味本意だったのだと思う。
二人共両親が共働きで隣同士だったから学校が終わると悠君の家で毎日遊んだ。
時々、悠君のお父さんとお母さんが観ている映画のDVDを内緒で観たりして、映画でしているキスシーンがとても綺麗だったから、それを真似したのが始まりだったんじゃないかと思う。
いやらしいとか、そんな感覚は無くて、ボクは悠君がとても大好きだったし悠君もボクを大好きだったから、大好きの印みたいなものだった。
あの頃は、お互いの舌をキャンディーみたいに舐めあうのがとてもステキな事だと純粋に信じていた。
その日も学校が終わるとランドセルを玄関にぶん投げて悠君の家に直行した。
玄関に入ると靴をきちんと揃えて脱いで、リビング目掛けてバタバタと廊下を駆けて行った。
リビングの入り口で見回して悠君の姿を探すと、悠君はキッチンでおやつの用意をしていた。
悠君はボクに気付くとニッコリ笑って「今日のおやつゼリーだよ」と言った。
ボクと悠君はテーブルに着いて、今日学校であった事なんかを話しながらゼリーを食べた。
悠君はボクより一級上だったから、近々ある役員の選挙の話なんかをした。
「さあて、今日は何をしようか」
ゼリーを食べ終えた悠君はテーブルに手を付いて腕を伸ばし椅子を浮かせた。
ボクは慌ててゼリーを頬張って飲み込んだ。
「悠君は何かしたいこと無いの? 」
「そうだ! 」
悠君はガタンと音を立てて椅子を飛び降りて、テレビにあるDVDの棚からひとつを取り出して振り返って言った。
「これ観ない?
夕べ父さんと母さんが観てたんだけど、とってもキレイだったんだ」
「うん!
見る見る! 」
ボクはテレビの前のソファーに飛び乗って座った。
悠君もDVDをセットするとボクの隣に座った。
もう内容なんて憶えてなくて、ただ外国の女性と男性が裸で優しく触れ合ったり抱き合ったりしているのがとても綺麗で、ボクは悠君と同じことがしてみたいと思った。
そう思って悠君を見たら悠君もボクを見ていて、ボクと悠君は自然と口唇を重ねて舌を舐め合った。
そしてお互いの服を脱がしあって抱き合った。
悠君の温もりはとても温かくて心地好くて、ボクらはいつまでも抱き合っていたいと思った。
肌と肌が触れ合っている部分が特別な感触で倖せな気持ちを全身に広げて、ボクと悠君は裸のまま、ソファーで抱き合いながら、凄く倖せな気持ちで眠った。
とても悠君を傍に感じて、悠君を大好きな気持ちが、同じなのがとても嬉しかった。
「あなたたち、何をしているのっ!! 」
悠君のお母さんの金切り声で目が覚めた。
「いったい.........
いったいあなたたち何をしていたの!? 」
ボクは目をこすりながら起き上がって挨拶した。
「あ、おばさんこんにちは
お邪魔してます」
悠君のお母さんは床に散らばったボクの服をボクの胸に押し付けて凄く興奮して言った。
「もう、悠とは遊ばないで!
この事は奏朶君のご両親には黙っていてあげるから! 」
ボクは驚いて悠君を見た。
悠君も驚いた様子でボクを見ていた。
「そんな目で悠をみないでっ!! 」
悠君のお母さんは物凄い勢いでヒステリックに怒鳴った。
「早くここから出て行ってっ!! 」
ボクの身体はビクンと震えて、訳も解らず服を抱えて、慌ててリビングを出た。
そして、玄関の処で急いで服を着て悠君の家を出た。
ボクには悠君のお母さんが、どうしてあんなに怒っているのか解らなかった。
とぼとぼと自分の家に帰ると、まだ誰も帰っていなくてボクは自分の部屋のベッドに座った。
悠君のお母さんの金切り声や、「もう、悠と遊ばないで!」と言う言葉が頭の中で何度も繰り返して、急に凄く哀しくなって泣き出していた。
その日は、晩御飯も食べず部屋に閉じ籠った。
次の日学校に行って直ぐ悠君の教室に逢いに行くと、悠君のクラスメイトが話してくれた。
悠君がずっと遠くのおばあちゃんの家に預けられる事になって、急に転校したのだと。
ボクはもう悠君に逢えないと知って教室の前で大泣きした。
あんまり激しく泣いていたので、朝礼に来た悠君の担任の先生に、医務室に連れて行かれたほどだった。
あの後、一週間熱を出して学校を休むはめになった。
それから何年か後に、あれがいけない遊びなのだと知った.....。
さよならさえ言えなかった........。
でも.....................。
本当にあれはそんなにいけない事だったのだろうか。
この、悠君を大好きと云う気持ちもいけない事だったのだろうか。
それでもボクの中では後ろめたい気持ちは未だに無くて、ただ悠君との綺麗な想い出として心に残った。
悠君の中では、あれはなんだったんだろう。
悠君に逢いたい。
そして訊きたい。
あれはそんなにいけない事だったのか。
ボクは以前悠君が行きたいと言っていた高校を受験した。
ボクの中で悠君は大好きなままで、もしかしたら逢えるかもしれないと云う期待があった。
入学したのはいいけど、どうやって悠君を探すか途方に暮れた。
入学式では緊張して二年生の席の方をあまり見る事ができなかった。
やっぱり、二年生の教室をひとつひとつ見て回るしか
ないだろうか...........。
そんな事を考えながら帰る支度をしていると突然教室の戸が勢いよく開いた。
「どーーれっ!!
絶世の美少年はこのクラスか!
是非とも我が映画部に入部されたし!! 」
教室に居た全員の視線が戸口に集中した。
ボクは発作的に立ち上がっていた。
「悠君!? 」
「奏........朶...........? 」
悠君は全然変わっていなかった。
小学生の頃の悠君をそのまま大きくしたようだ。
ボクは嬉しくなって駆け寄り、悠君に抱き付いていた。
読んで戴き有り難うございます。
この手のエロい作品書いていると誤解されてしまうのですが。
私はエロを書く時エロティシズム、つまり芸術的観点からエロを美しいと思って書いているつもりなんですよ。
いやらしいものを書いていると言う概念は殆ど無いです。
なんで、こんな事を書くかと言いますと以前にそれでセクハラまがいの事されたんですね。
非常に不愉快でした。
エロ=愛の形、そんな風にご理解戴けると有難いです。
と、言いましても、これは書いてる側の勝手な言い分で、読まれる方々は自由に受け取る権利がありますよね。
いや、私もセクハラさえされなきゃどうだっていいんです。
だいたい、五十過ぎの白髪ばあさんにセクハラしてなにが楽しかったのやら。笑