第4話 新たなる脅威!ライノ・シャークの突進が忍者の命を狙う!!!
ボッゴォ!!!
突如、教室の壁をブチ破って忍者とサメ人間が転がり込んできた!
唐突に激しい戦いの真っ最中である!
忍者の方は言うまでもなく我らが主役、甲賀忍之介!
彼を吹っ飛ばしながら出現したのはシャーク・テロリストの一人。だが、少し様子が違う。
ゴロゴロと床を転がって衝撃を殺し、即座立ち上がる忍之介。
「危ないなぁ……いきなりタックルなんて」
一般サメ人間を順調に始末していたところに突然、隣の教室の壁を破壊してコイツが突撃を仕掛けてきたのだった。
「ザコどもを何人か殺しただけでつけあがるなよ、小僧……」
瓦礫を跳ね除け、のそりと起き上がるサメ人間の頭部。その鼻の先端が大きく隆起し逞しい一本角が生えていた。
「他のサメ人間とは放っている圧力が違うな」
忍之介は忍者としての経験と勘により敵の力量を即座に把握。一般テロリストではないと判断。恐らくはより上級の戦闘員であろうと予測する!
「何者なんだ」
「冥土の土産に教えてやろう。俺様はシャーク・テロリスト四天王の一人、ライノ・シャーク! 宇宙線によって遺伝子が変異した俺達シャーク・テロリストは、その不安定な遺伝子ゆえに他の動物の遺伝子を無理やり体内に取り込むことが可能! この性質を利用し地球上の多種多様な生物の特徴を後天的に獲得することに成功した上位存在がこの俺様、というわけだ」
「なるほど、だったらお前は半分サメ、半分サイという事か!」
「その通り。サメの狂暴さにサイの突進力、ツノ、硬い表皮が加わりもはや俺様は地上最強の生物となったのだ!」
サイ。よく目立つ立派なツノ、そして野生動物の中でも屈指の皮膚の硬度を誇る巨大な哺乳類である。その突進力は時速50キロ。これは算数の問題的に言えばA君が家を出てから時速50キロで歩いた時、一時間後に到達する距離に等しい。かなりの速度だ。侮れない。
「四天王ということは……お前みたいなのが他に何人かいるということか」
「察しがいいな。その通りだ。だがそんな余計な事を心配している場合ではないぞ小僧! お前はここでこのライノ・シャーク様に吹っ飛ばされて、無残な死に様を晒すことになるのだからな!」
そう言いながらライノ・シャークは体勢を低くした! これはまさしくクラウチングスタートの構え! 突進の合図!
「クソ! せめて四天王があと何人いるのかだけでも聞きだしておけたなら!」
悔しがる忍之介! 意外と算数が苦手!
「いいのか、そんなにのんびりと構えていて。俺様が一度動き出せば、大質量の突進力によってお前は呆気なく吹っ飛び、死ぬぞ?」
闘牛のように足で地面を蹴るライノ・シャーク!
彼の表皮はきめの細かい格子状のコラーゲンによって分厚く保護されている!
「仕方がない。やるしかないか」
忍之介の両手が消失!?
否! それは超高速の手裏剣投擲! 常人には残像すら見えない!
跳!跳!跳!
「無駄だと言うのがまだわからんのか!? そんなひ弱な武器でこの俺様の超硬度の皮膚に傷をつけることは不可能!」
全ての手裏剣が簡単に弾き返されてしまう! 恐るべし、ライノ・シャーク!
「やっぱり手裏剣はダメか。じゃあ、接近戦で決めるしかないか」
忍之介は大きくため息をついて、おもむろに歩き出した。不用意!?
「バカめ! 逃げることさえ諦めて自暴自棄の特攻か!? お望みとあらば……喰らえぇぇい!!!」
ひときわ強く、ライノ・シャークが床を蹴って飛び出した! プロのアスリート並みの美しいフォーム! トップスピードに乗るまでの時間はわずか0.02秒!
「確か、じいちゃんが言ってたっけ。真正面から突っ込んでくる敵は……」
忍之介は両の拳を浅く握って高く構えた!
そして背筋を伸ばし、重心は後ろに残した右足に!
打撃系ファイターの典型的な構えだ! 忍者らしくない!
「散れぇぇ!!!」
サメ特有の大顎を開き、巨大なツノで突進してくるライノ・シャーク!
忍者よ、避けないのか!?
一体どうなるっ!?
次回へ続く!