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第26話 ドン・ゲリラの正体見たり! 東京ドーム600個分の衝撃!!!

「やったか!?」


 おお、冒頭からそんな危険なセリフをもう一回言うのか忍之介よ! これは典型的なやってないフラグ!


 プラスチック爆弾によって周りにいた一般兵もろともバラバラに爆散したドン・ゲリラ。呆気ない幕切れだが、これも忍者の深謀の成せる業だ。


「……後は町に散ったテロリストの残党を狩っていくだけ、かな」


 忍者が呟いた時、案の定というべきかお約束というべきか、彼の背後からいきなり


 ボゴン!


 地面を突き破って複数の触手めいたものが出現!


「って、やっぱりそう簡単にはいかないか」


 溜め息をつき、忍者は後ろを振り返る。


 それは一見すれば植物の根のようにも見えた。表面は濡れてしっとりとしており、ゆらゆらと蠢く様はタコのような軟体生物の腕のようでもあった。


 ボゴン! ボゴン!


 三か所から出現した触手の束はそれぞれ、解けた糸が元に戻るかのように絡まり合ってやがて一つの形へと収束してゆく。

 非常に複雑かつ精巧に作られたフェルト人形の如く、触手達は形を成した。それぞれが全く同一の、ドン・ゲリラの姿を!


「……これは!?」


「フッフッフ……驚いたかね? 忍者の少年よ」


 C-4の巻き起こした土煙の向こうから、悠然と歩いてくるのは四体目のドン・ゲリラ!


 忍之介の背後に三体、前方に一体、姿形が全く同じシャーク・テロリストの王が出現していた!


「どうなってるんだ? 忍者の変わり身の術とも違う……何らかの生物の遺伝子を取り込んだ、のか?」


 四天王と同じようにドン・ゲリラも、サメと別種とのハイブリッドなのであろうか?

 しかし、一体どういう生物ならこんな芸当が可能なのか?


「君のその胆力、土壇場での素晴らしい閃き……消してしまうには惜しい逸材だ。まさか四天王を全て倒し、この学院に残っていた一般兵をも殲滅させられるとは」


「四天王って、四人だったのか……」


「……? フフッ、しかし懐柔できないとなればもう、この私の真の力で殺すしかない。シャーク・テロリストが打ち建てる世界帝国、その始まりの日にふさわしい盛大なセレモニーを、これから執り行うとしようではないか! 特別に見せてやろう、この私の、ドン・ゲリラの……真なる姿を!!!」


 ボゴン! ボゴン! ボゴン! ボゴン! × n!


 無数の触手が、校庭から出現!

 いや、校庭だけではない! 校舎をも貫き、容易く破壊しながら天高く触手達が伸び始めた!


「何をするつもりだ、ドン・ゲリラ!」


「フフフッ……クイズだ! この世界で最も巨大な生物とは何か、わかるか!?」


「最も巨大? ……アフリカゾウ!」


「ブッブー! 残念、ハズレだ!」


「クソッ! じゃあ……えーっと、シャチ……いや、違うな、そうか! シロナガスクジラ!」


「ブッブッブーッ! バカめ! 低脳!」


「クッ、忍者を侮るなよ! クラーケン! リヴァイアサン! わかったぞ! ヨルムンガルド! これでファイナルアンサーだ!!!」


「架空の生物はダメに決まっているだろう! はい、時間切れー!」


「負けた……クイズは比較的得意な方なのに……」


 ショックを受けてがっくりと項垂れる忍之介!

 さて読者諸氏にはお分かりであろうか、この問題の答えが!


 それはあまりにも意外な生物である!!!


 ゴゴゴゴゴゴ……


 学院敷地内だけではない!

 今や快適市全域の地下から無数の触手が出現し、町そのものを覆い尽くし始める!

 大地が蠢動(しゅんどう)している!

 まるでこの世の終わりのような光景に人々はただただ恐怖し、絶望した!


「教えてやろう世界最大の生物、そしてこのドン・ゲリラが一体どんな遺伝子をこの身に取り込んだのかをっ!」


「早く教えろ! 今度じいちゃんに出題するから!」


「オニナラタケ、だ!」


「ナラタケ? ……キノコかっ!」


「そう、キノコだ! 1992年、アメリカはオレゴン州にて実に2200エーカーにも及ぶ同じDNAを持つオニナラタケの菌糸束(きんしそく)が発見されている! 日本人にはお馴染みの東京ドーム換算ならなんと! 600個分の広大さ! 8.9平方キロメートルの巨大な“体”を持つこのキノコのDNAを組み込み、私は圧倒的な巨体を獲得するに至った! そしてお前が先ほどC-4で吹っ飛ばした“私”はたった一つの子実体(キノコ)に過ぎず、本体の大きさからすれば表皮を薄く削られた程度のダメージでしかないのだ! 仮初の肉体など無限に生成が可能! “本体”は地下! 故に人間達にはまともな攻撃手段など皆無! 本気でこの私を倒すつもりならこの町に核爆弾でも落とすしかない!!!」


「何だって!? 説明セリフが長すぎてよく分からなかったが……何という恐ろしくラスボスにふさわしい規格外の性能を持った強敵! キノコ・シャーク!!!」


 忍之介は二行以上に渡る説明セリフは読み飛ばすタイプ! 小説なら会話しか読まない悪い読者だ! 忍者は忙しいのだ!


「我が本体はこの町の地下10平方キロメートルに広がる巨大な菌糸束! お前達、下等な人間どもとはサイズが違い過ぎるのだ!」


「そんなっ!? じゃあどうやって倒せばいいんだ!」


「不可能だな。私はもはやこの町の一部と化している。忍者がどれほど優れた技を有していようとも、この質量差をひっくり返すことなど出来はしまい。しかしただ簡単に君を殺してしまっては面白くない。ここまでの小さく無為な努力に敬意を表し、決して超えられぬ力量の差を存分に見せつけ、絶望に歪むその顔を堪能しながら最後の一滴まで体液を搾り取ってじわじわと嬲り殺しにしてくれよう!!!」


 触手が地面を突き破って次々と出現! それらはドン・ゲリラを取り囲むようにドーム状に展開!


子実体(キノコ)などではなく、我が菌糸束(本体)で相手をしてやる!!!」


 ドン・ゲリラは、無数に絡まりあう触手を全て取り込んで巨大化してゆく!


 忍之介の背後にあった三体の子実体はいつの間にかバラバラに解けて消滅していた。


「的がデカくなったら、狙いをつけやすいだけだ!」


「強がるな小僧! 矮小なる存在よ! 見よ、この果てしなく巨大で、高貴な姿をおぉぉぉ!!!!!」


 それは、もう生物と呼べる大きさではなかった。

 目の前に突然、山が隆起したかのような……田舎にあるどデカいイ〇ンモールを目の当たりにしたかのような……アリがゾウと対峙するような……とにかくとんでもない巨大さだった!


 おそらく地表に出ている部分だけで100メートルは優に超えていよう。太い触手が無限に絡み合って一つの、桁外れの子実体(ドン・ゲリラ)を形作っているのだ!


 シャーク・テロリストの顔だけが、極太の世界樹の幹の上に乗っかっているような、奇妙な姿だった。


「おぉ……感じるぞ、大地の息吹を! 私はこの地球そのものと一体化し、地球からエネルギーをもらって生かされているのだ! フフフ……こういうのを全能感というのだな! 今なら、この私に不可能など何も無い!!!」


 振り回された10メートル級の菌糸が校舎を押し潰して破壊!

 更に幾多の菌糸が暴れまわり、建物を跡形もなく無残な瓦礫の山へと変えてゆく!


「こんな奴……一体どうすれば!?」


 忍之介は足元から次々と飛び出してくる菌糸を避けながら考える! この規格外の相手に対する有効打とは!?


 先ほどドン・ゲリラが撃ってきたロケットランチャーはどうか?

 いや、恐らくあの程度の爆発ではこの巨体は焼き切れまい!


 もっと広範囲を、高火力でまとめて焼き払うような武器があればあるいは……。


「核爆弾、か」


 呟いてみるも、そんなもの持っているはずもなし。仮にあったとしてもこんな市街地で使用したらどんな悲惨な結末が待っているか。


 視界に移るのは、巨大な菌糸によって壊されてゆく町並み。至るところで火事が起こっている。夜空へ吸い込まれるかのように立ち上がる火の粉。空襲みたいだな、と忍之介は思った。

 いつか、歴史の授業で聞いたことがあった。快適市は第二次世界大戦の際、東京大空襲に巻き込まれた地域だと。きっとその時の町はこんな風に燃え上がっていたのだろう。


 だがこれから起こるのは戦争どころの騒ぎではない。世界規模の大量虐殺(ジェノサイド)だ。火の手が上がるのは快適市だけではないのだ。この国がシャーク・テロリストに降伏すれば次は大陸のどこかの国がまた襲撃されるのだろう。


「こんな悲劇を……こんな悪夢を!」


 迫り来る菌糸を叩き落し、忍之介は巨大な影と正対する!


「これ以上、広めるわけにはいかない!」


「カスめ! まだわからんのか! 人間はこのドン・ゲリラ様には勝てないんだよ! さっさと私の菌糸に喰われてしまえ! ウハハハハッ!!!」


 哄笑するドン・ゲリラ!


「クックック! そういえば……もう“ゲリラ”などと名乗る必要もなさそうだな! この神にも等しき威容! 新世界の王にふさわしい名が必要であろう! ならば我は破壊の王……“アバドン”と呼称する!!!」


「アバドンだって!? 大袈裟な! くそっ、負けてたまるかっ! きっと倒す手立てはある! 考えろ……考えるんだ! 僕は忍者!!!」


 そう、冷静になって考えれば打開策は必ず発見できるはずだ!

 読者諸氏! ここだけの話であるが筆者は既に! ドン・ゲリラ(自称:アバドン)を倒す為の方法について重要な伏線を事前に作中で開示している! つまりこれまで読んできた中に、この強大なラスボスを倒す方法がもう書き記されているのだ!!!


 考えろ、考えるんだ読者!!!

 そして辿り着いたその答えを胸に秘め、次回を待とう!!!

 ドン・ゲリラ(自称:アバドン)と我らが甲賀忍之介の決着をしかと、その眼に焼き付けよ!!!


 次回へ続く!!!!!!

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