第18話 甲賀くんッ! 危ないッ! 友はみじん切りになって死んだ!!!
手裏剣を眉間に喰らったシャーク・テロリストが吹っ飛んで壁に激突! 残されたサメ達のサブマシンガンの掃射! 既に日がすっかり落ちて暗くなった廊下に瞬くフラッシュ! しかしそこに忍者の姿は無い!
「どこだ!?」
「消えた!?」
慌てふためくサメ達!
「こっちだよ」
いきなり天井から忍者の声!
「何っ!?」
「殺せ!」
目線を上に向けるとそこに、天井に両足を着いてまるでコウモリのように逆さに張り付きながらテロリスト達を見下ろしている甲賀忍之介の姿あり!
「遅い!」
立て続けに手裏剣! 無慈悲な鉄の飛び道具が闇に紛れて視認困難な速度で飛翔! シャーク・テロリストが一瞬にして全滅!
天井を蹴って宙返りし華麗な着地を決める忍者。
「ふぅ……こういう一般兵ばかりだったら殲滅するのも楽なんだけど」
独り言を言う。いかな忍者といえどもさすがにここまで連戦が続けば疲労が蓄積してくる。下半身が重い。
「まぁ、この半日で10発くらい射精てるからなぁ」
ヤリ疲れ! 疲れている理由がとても酷い! こういうのを自業自得というのだ!
「でもじいちゃんが言ってたっけ。男の価値は一生のうちに抱いた女の数で決まるって」
じいちゃんは意外とプレイボーイ!
「にしても、さっきから嫌な感じがするんだよな。まとわりつくような、クセのある視線を感じる……」
そのゆるやかな殺気は、廊下を進むにつれてどんどんはっきりしてきていた。何者かに追跡されている。そいつは明らかな敵意をもって、忍之介の隙を窺っているようなのだ。
この廊下を進んだ先、職員室がある。シャーク・テロリスト達はそっちの方からやってきたので、あそこが敵の本拠地となっているのかもしれないと忍之介は思っていた。
「いよいよ、最後の戦いが近いかな」
気を引き締める忍者。手裏剣の残弾もほとんど無い。が、廊下の敵は全員倒した。このまますんなりと職員室まで進むことさえできれば……。
ガタッ。
その時、近くの教室から物音がした!
「そこに、隠れているのか」
静かに扉を開け、閑散とした教室へと足を踏み入れる忍之介。そこは現在使われていない教室であり、机にも椅子にも、また床にもうっすらと白く埃が積もっていた。
埃の上に、点々と靴跡。
「誰か、いるのかい?」
相手を警戒させぬよう、小さな声で尋ねてみる。この靴跡は学院の上履きのもの。つまり生き残りの生徒のものである可能性が高かった。
「そ、その声はもしや……甲賀くんかい?」
隅っこの方の掃除用具入れがギイイと錆びた音を立てて開く。
中から度の強そうなメガネの男子学生が出てきた。
「君は……天パ陰キャメガネ侍! 変態見本市太郎じゃないか!」
「阿武虎烈人だよぉ……そのあだ名はいじめっ子達につけられたやつでしょ」
そう、この烈人は忍之介と違うクラスのいじめられっ子だった!
少しストレスフルな解説になってしまうがご容赦頂きたい。
ある時は! クラスのかわいい女子の縦笛を放課後にこっそり舐めているところを発見され学級会議で吊し上げられ、「どうしてこんなことをしたの?」と問われた烈人答えて曰く、「そこに女子のリコーダーがあったから」と伝説的イギリス人登山家ジョージ・マロリー並みにポエットな発言をしてオーディエンスを沸かし!
ある時は! クラスのかわいい女子のカバンを漁って秘密裏にGPSを仕込んでいるところを発見され学級会議で吊し上げられ、「どうしてこんなことをしたの?」と問われた烈人答えて曰く、「夜道を一人で帰るのは危険が大きいので自分が守ってあげたい」と頼もしく器の大きい変態っぷりを遺憾なくアピールし!
更にこんな事も! 「PCR検査はお金がかかるので僕が個人的に無償で検査してあげます。唾液をこの容器に入れてください」とクラスのかわいい女子に言って回り学級会議で吊し上げられ、「退学にさせますよ」と脅された烈人答えて曰く、「女子の唾液に興味があって。ごめんなさい」と素直に謝り真面目さをアピールし!
「……どうして僕はいじめられるんだろう。やっぱりチリチリの天然パーマと、おどおどした性格が原因かなぁ」
このように忍之介に相談したのが、二人が交流を持つことになった切っ掛けだった。
ちなみに上記のように聞かれた忍之介答えて曰く、
「シンプルに気持ち悪いからだと思うよ」
忍者らしい鋭利な返答である!
「ところで変態性癖メガMAX盛り星人がどうしてこんなところに?」
「それが、いきなりテロリストが襲ってきたものだから学院中が混乱している隙に乗じて女子の私物を盗んで帰ろうとしてたら逃げ遅れちゃって!」
「なるほど」
「あとちょっとで学院一の美少女、巨乳系Y〇utuber兼地下アイドルの夢川ういろちゃんの替えの体操着をゲットできるところだったのに!」
「そうなんだ」
「テロリストは怖いけど下半身には逆らえないからね」
「わかる」
忍之介は強く頷いた。わかる。
「ていうか早くここから逃げようよ、甲賀くん」
「でも、テロリストと戦わないと」
「放っておきなよ。ほら、リコーダー、君も舐めるかい?」
そう言って女子のリコーダーを渡してくる烈人。さすがに困惑して断ろうとした忍之介。
その時! 突然彼の背後に強烈な殺気を伴った気配!
「ムッツリーニ! 危ない!」
忍之介は烈人を突き飛ばして自分も床に身を投げ出した! 彼の頭上スレスレを突風が通過!
ボッゴン!
教室の壁が粉々になって崩れ落ちる! その向こうに謎の黒い影!
「シャーク・テロリストか!」
「シャアアッ!」
鋭い呼気と共に襲撃者の腕がしなる! 忍者はその圧倒的な殺気に対し咄嗟に反応して横っ飛びする!
無数の斬撃が教室をめちゃくちゃに切り刻む!
「くっ! 何だコイツは!?」
それは両手が鎌のような奇妙な形状をしたシャーク・テロリストだった。
「あ……が……」
烈人が目を剥いて、忍之介の方を見た。
「変態くん!」
「甲賀……くん……僕の……体操着……」
その体の至る所から鮮血が噴き出した!
「いやだよ……死ぬ前にせめて美少女とセッ……アバーッ!!!」
烈人の肉体が弾け飛んだ! 謎のサメの斬撃は彼の体を容易くみじん切りにして殺したのだ!
「あ、あぶ……あぶ何とか君!!!」
忍之介は叫ぶ!
あまりにも残酷な友との別れ!
「そこの変態は俺の鎌で切り裂かれて死んだ。次はお前の番だ。ドン・ゲリラ様の崇高なる野望の邪魔になる存在は全て、このシャーク・マンティスが排除する」
シャーク・マンティス!
遂に四天王最後にして最強の存在が、甲賀忍之介の前に立ちはだかる!
「あぶ……僕の、僕の友達……いや、友達ってほどではないか。知り合いをよくも! 許さーん!!!」
ゴゴゴゴゴ……
激しく逆巻く二つの闘志!
死闘必至の次回へ続く!




