第16話 絶望に沈み行く町!!!
シャーク・テロリストの襲撃から既に6時間が経過していた。
ドン・ゲリラの指示により快適市全体へと散らばったシャーク・テロリスト達は様々な場所で破壊活動を開始。快適市に混乱が広がっていった。
散発的に繰り返される爆発。道行く人々は次々と銃弾を浴びて死亡。警察は早期に壊滅させられ、治安の維持を行う者は最早いない!
快適市は既に地上の地獄と成り果てていた!
続々と市外へ逃げ出してゆく市民!
しかし、この地を離れられない事情がある人々は、じっと息を潜めてサメ達に見つぬよう過ごしていた!
「良子さんや~、晩飯はまだかいな~?」
「あらあら、お義父さんったら、もう夕食は食べたでしょ」
足腰が悪く、認知症の症状もかなり亢進している義父の介護をする女性! 旦那はいつも帰りが遅い。今日も恐らく同僚と一杯引っ掛けてから帰ってくるつもりなのだろう。こんな非常事態にも関わらず、家にいない。
「あれ、そうじゃったかな? ワシは何を食べたんじゃ? T-ボーンステーキ?」
「宅配ピザでしょ」
「ペパロニがたくさん入ったやつ?」
「パイナップルが乗ってるやつですよ」
家の電気を全て消し、義父とともにじっと嵐が過ぎ去るのを待つ女性の名は、崇徳院良子。実はご近所のマッチョなジムトレーナーと絶賛不倫中!
「お義父さん、静かにしてください。外ではテロリストが暴れまわっているんですからね」
「てろりすと? なんじゃそれは? ツイフェミのことか?」
「お義父さん、余計な言葉ばかり覚えないでください。危ない人達が武器を持ってうろついているんですよ。私達が家にいることを知られたら殺されますよ」
「おお! なんと! 鬼畜米兵じゃな?」
このお義父さん、戦争経験者である。
「良子さんや、防空頭巾を被るんじゃ。B-29が焼夷弾を落としてくるぞ」
「それは昔の話でしょう。空爆はありませんよ、安心してください」
そう、実はこの快適市は第二次世界大戦末期、東京大空襲に巻き込まれた地域であったのだ。アメリカ軍による無差別爆撃の余波はこの町にも及び、大量に投下された焼夷弾が町を炎で包み込んだ。
そして現在でも時折、工事の際などにこの時に投下された焼夷弾が掘り起こされることがある。戦争の爪痕は未だに残されているのである!
ピンポーン!
その時、インタホンが鳴った!
「え、誰なの? こんな戒厳令下に!」
俄かに良子に緊張感走る!
まさかシャーク・テロリスト!?
足音を殺し、玄関まで歩いてゆく良子。そしてドアに張り付き、覗き穴から外の様子を窺う。
「鬼畜米兵か!? 鬼畜米兵が来たんじゃな!? 殺せ!」
お義父さんがわめく! だいぶ認知症が進んでいるため、戦時下と勘違いし始めている!
「しっ! お義父さん、静かにしてください!」
そう言いながら、良子の胸は高鳴っていた!
ドアの外に立っていたのは不倫相手のマッチョ!
「私を、助けに来てくれたんだわ!」
良子は感動に打ち震えた!
「鬼畜米兵か!? 鬼畜米兵じゃな!?」
お義父さんがわめく!
「あぁ、ゴリ助さん♡」
鍵とチェーンロックを外し、不倫相手の剛力ゴリ助を招き入れようとする良子!
「奥さん! 良かった! ご無事で! 卑猥な筋トレをしましょう!」
真っ白い歯を見せて爽やかに笑うマッチョ! タンクトップも白い!
「はい♡します♡」
「まずはリンパの方をほぐしていきますね! よろしくお願いしマッスル!」
ゴリ助はポージングを決め、玄関に足を踏み入れようとした。が!
「ヒャッハー! 人間だぁーーーー!!!」
野蛮な叫び声をあげてシャーク・テロリスト達がサブマシンガンを構えて突撃してくる!
「鬼畜米兵じゃ! 鬼畜米兵が来たぞーーーー!!!」
お義父さんが叫ぶ!
「嫌ぁ! 助けてぇ!」
良子の上に覆いかぶさるサメ!
「良子さあぁぁん!!!」
ゴリ助はサメ達に捕まり、至近距離から銃弾の雨あられ!!!
「コラーッ! 不倫するなー!!!」
そこへ酔っ払った旦那が帰宅! 嫁が謎のコスプレ集団とお楽しみ中と誤解! 怒りながらカバンでサメを殴り飛ばす!
夜のとばりが下りようとする町に、サイレンは鳴りやまない。
あちこちから火の手が上がり、悲鳴が聞こえてくる。
快適市は、シャーク・テロリスト達によって瞬く間に制圧されてゆく。
そんな中、甲賀忍之介は必死に学院内のテロリスト達と戦っていた。
しかし間に合うのだろうか。未だ学院に陣取り指揮を執るドン・ゲリラを打ち倒し、この快適市全体に広がってしまったシャーク・テロリスト達を根絶やしにすることが、可能なのであろうか。
夜が、すぐそこまで来ている。
人類滅亡のカウントダウンは刻々と進む。
忍者よ、この絶望的な状況を何とか出来るのは君だけなんだ!
頑張れ! 負けるな!
次回へ続く!




