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恋の蛍  作者: 黄田 望
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第一話 【 起動 】


 時刻———午前6時を確認。

 システム起動。 五感機能のシステム確認をします。


 『ハロー。 私の声が聞こえますか?』

 「・・・はい。」


 聴覚機能の起動を確認。


 『私の顔が見える? 見えるのなら特徴的な事を行ってくれる?』

 「性別女性。 年齢判断22歳。 目が2つ。 口が1つ。 耳が2つ。 肩にかかるくらいの黒髪短髪。」

 

 視覚機能の起動を確認。


 『オッケーオッケー。 それじゃあ今から私が腕に触るからどんな感覚か伝えてくれる?』

 「腕を軽く触れられています。」

 

 触覚機能の起動を確認。


 『じゃあこれは?』

 「先ほど触れられていた腕をつねられ痛みを感じます。」


 痛覚機能の起動を確認。


 『よぉし! それじゃあ他に何か思い感じる事はあるかな?』

 「・・・匂いがします。」

 

 嗅覚機能の起動を確認。


 『何の匂いとか分かるかな?』

 「軽く焼かれた小麦粉と沸騰した水に豆を焙煎して粉末したものから抽出した―――」

 『わぁー! ごめんごめん! そんな細かい話じゃなくて匂いで何の料理があるのか分かる? あっ、勿論ここまで来て見てもいいよ!』


 身体機能の活動指示を確認。 身体からだの信号レベルを上昇させます。

 視覚による周囲反応を記録します。 

 現在木材で造られた椅子に座っている状況。 そこから立ち上がり五歩ほど歩いた場所にテーブルが1つ。 並べられた椅子が2つあります。

 そこから左側にはテレビと180ほどの身長の人が寝転がれるほどのソファが置かれている事を確認。

 その他に日用品などを確認。 

 ここから自己判断機能を起動させます。


 「・・・・パン?」

 『おっ! やっとネットワークが繋がったかな? それじゃこれは?』

 「・・・草?」 

 『ブッブッー! 残念! これはサラダでしたー!』

 「さ・・らだ?」

 『そうそう! ほら! 試しに1つ食べてみな!』


 味覚機能の起動を確認。

 以上を持って五感機能のシステム確認を終了いたします。

 

 何か不具合があれば修正が可能です。 修正されますか?


 【イエス?】 or 【ノー?】


 「・・・イエス。」


 了承致しました。 修正ポイントを確認。 ――聴覚レベルを上げて周囲の音をより判明する事ができました。 

 他に修正はされますか?


 「・・・ノー。」


 了承しました。 

 以上をもって診断機能プログラムを終了します。 良い1日を。


 ―――プツンッと何かが切れた音と同時に頭の中で流れていた音声は消えた。


 「どうしたの?」

 「・・いえ。 何でもありません。」

 

 先ほどまで音声の波が酷かった聴覚機能が改善されたおかげでようやく違和感なく声が聞こえるようになった。


 「・・・ジィ~・・」

 「あの、なにか?」

 「ふぇ! ううん! ううん! なんでもないなんでもない!!」

 「はぁ。」

 「ジィ~・・」

 「・・・」


 何やらしつこく顔を凝視してくる。

 

 ヘルプ機能を起動。

 [購入して頂いたあるじの呼び方に困った際、【主人】もしくは【ご主人様】と呼ぶ事。]


 「・・・ご主人様。」

 「ふぇ! はい! ・・ん? ご主人様?」

 「はい。 貴女はロボットを購入して頂いた主人です。 その事から呼び方をご主人様とさせて頂きました。 もしご不満があればすぐに修正致します。」

 「う、う~ん・・ご主人様かぁ~ それも悪くないなぁ~。」


 口角の上昇を確認。 頬の緩みを確認。 表情判断【喜び】を確認。


 「う~ん・・でもなぁ~。 こればっかりは前から決めてたことだしなぁ~・・・よし!!」


 ご主人様は先程までロボットの前で椅子に座りコーヒーを片手に持っていたが、コーヒーカップをテープルに置き、わざわざ立ち上がり私の横に来て床に膝をついた。


 ヘルプ機能を確認。 

 [私ロボットより目上、特に購入して頂いた主人を見下ろす事はあまり好ましい事ではない。]


 「!?」


 私はすぐに椅子から飛び降りヘルプ機能で表示された【正座】と【お辞儀】をした。


 「あ、あれ? いきなりどうした?」

 「申し訳ありません。 ロボットはまだ活動したばかりで世間体の常識にまだ追いついていない事をご報告致します。」

 「う、うん? まぁ、なんのことか知らんけどいいや! それよりも自己紹介しよっか!」


 ご主人様はニッコリと微笑みロボットの手を優しく握った。


 「初めまして! 私の名前は輝夜姫かぐや ひめ! ちょっとばかり有名な恋愛小説家です! どうぞよろしく!」


 ご主人様は少し頬を赤く染めながら自己紹介をした。


 「・・・」

 「? どうしたの? 私はあまり人に自己紹介するような人間ではないので普通に自己紹介しても恥ずかしくて死にそうなのに黙られるとさらに恥ずかしいですけど。 もしかしてもう反抗期? 早くない? お姉ちゃんは悲しいです!!」

 「い、いえ! 違います! ・・・ただ―――」


 ロボットには名前がない。 生産されていた工場では生産番号はあったがそれを伝えても自己紹介にならないような気がする。 ヘルプ機能も検索にヒットしない。


 「・・・あっそうか。 名前の登録まだだったわ。」


 ご主人様は思い出したように手をポンッと叩き笑った。


 「ごめんごめん! そりゃ自己紹介もできないよね! そういえば取り扱い説明書には最初に名前の登録しろって書いてあったわ! アッハッハッハ・・・今からでも登録ってできるのかな?」

 「ロボットに関するデータベースを検索。 ―――はい。 後付けによる名前の登録を可能です。 今ここでロボットにどのような名前をつけるのか言ってくだされば自動登録されます。」

 「ほんと! よかったぁ~! 実は君の名前はずっと前から決めてたの! 気に入ってくれるといいんだけど!」


 ご主人様は私と真っ直ぐに目を合わせて口を開いた。


 「君の名前は【ほたる】! 今日から君は【輝夜蛍かぐやほたる】ちゃんだ!!」


 ドクンッと胸部辺りで何かが激しく動いた気がした。 


 「名前の登録を確認。 登録完了いたしました。」

 「よしよし! それじゃあ改めて!!」


 ご主人様は立ち上がりほたるに右手を差し伸べた。

 ほたるが一体その手に何を意味しているのかヘルプ機能で調べているとご主人様は「握手だよ!」と言ってくださりすぐに検索にヒットして意味を知った。

 ほたるはご主人様の手を取り立ち上がる。


 「輝夜姫かぐや ひめです! 今日からよろしくね!」

 「輝夜蛍かぐやほたるです。 こちらこそどうぞよろしくお願い致します。」


 活動機能が働いて約8分37秒。 ほたるは名前を頂いた。

 

 

 最後までご視聴頂きありがとうございました!

 文章を作る事も色々と未熟者で小説情報やあらすじをこちらの都合で変更場合があると思いますが、そこはどうかご了承ください。

 それではどうぞ次回もよろしくお願い致します。


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