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信長はなぜ長島の一向一揆で虐殺を行ったのか

 信長の戦いで桶狭間・姉川・長篠・本能寺と同じくらい有名な戦いといえば伊勢長島の一向一揆との戦いだろう。


 虐殺者織田信長は、ここまで残酷だったなどという煽りの見出しとともに信長が一方的に一向一揆に参加したものに対して虐殺を行ったのように書かれることも多いこの戦いだが、信長はなぜ長島一向一揆に加わったものをほぼ皆殺しにしたのにもそれなりの理由がある。


 そもそも石山本願寺と信長が敵対するようになった理由だが、信長が上洛して幾内にも勢力が及ぶようになり織田信長が、永禄11年(1568年)に堺に2万貫、本願寺に5000貫など、摂津・和泉の両国で多額の矢銭を課したことに対しての不満があったろう。


 基本的に矢銭というのは支払った方の従属の証のようなものであり、信長は尼崎にも矢銭を要求したが尼崎がそれを拒否すると町を焼き払っているし、堺も当初は掘を掘り櫓を上げて三好三人衆の軍勢を堺に引き込んだりと徹底拒否の姿勢を見せた。


 それに対して織田信長は当初は堺に攻め込む構えを見せたが、一度兵を引いて将軍足利義昭に堺に代官を設置する許可を求め、合法的な支配の下地作りを行い、最終的に三好三人衆を畿内から追い出すと和平派の今井宗久が織田信長と交渉して矢銭の支払いや武装解除を条件に和睦しているが、本願寺も同様であったろう。


 そして元亀元年(1570年)に織田軍に畿内から追い出され阿波に逃げていたていた三好三人衆の軍勢が摂津に上陸し、野田城・福島城を拠点として織田軍との戦いが勃発するのだが、顕如はその最中に一向衆門徒に檄をとばし、自らも反織田の兵をあげた。


 これは野田城・福島城を攻撃するために敷いた信長の布陣が、ちょうど石山本願寺を包囲する形にもなっていたからで、信長が石山本願寺も攻めようとしていたかどうかは定かでないが、顕如は信長が攻めてきたと思っていたのは間違いなかったし三好三人衆を引き入れたのは顕如であったように思う。


 そしてそれ以前から信長と敵対して美濃から逃げ出した斎藤龍興は伊勢長島に逃げ込んでいたし、龍興は、長島一向一揆に長井道利と共に参加してもいる。


 この頃の寺や自治都市はアジールあるいはアサイラム、日本語でなら無縁や公界(くがい)と呼ばれる公的権力の及ばない場所であって、世俗的な権力とは切り離された場所であった。


 無論それは統治者の側から見た場合には支配力が及ばない好ましくない場所であったから、アジールを否定してそこを実質的に支配することに熱意をそそいだんだ。


 信長が龍興をかくまった長島や三好三人衆をかくまった堺やそれと同じ行動をとったと見た本願寺、浅井・朝倉などをかくまった延暦寺などに攻撃を加えたのはそういった自らの統治が及ばないアジールを破壊するためであったのだな。


 現代人にわかりやすくいうのならば匿名で攻撃してきて反撃できないと思ったものを、実名の場所に引きずり込んでコテンパンに叩きのめすようなものだ。


 実際、一揆勢は蟹江城を騙し討ちして蟹江の住民皆殺しにしたり、和平を結んで退却しようとした織田軍を2度も後ろから攻撃しているのだから三度目が皆殺しになるのも当然なのだ。


 織田信長の残虐性の前にその場所の特殊性を使って卑怯な事をした長島一向一揆が最後に降伏を許されず、追い詰められて殺されたのは自業自得であって、その後は同じようなことが起きていないことを考えれば、信長がやったことは無法と言えないであろう。


「まあ、実際は今すっげー暇なんだけどな」


 この世界では堺は信長に素直に従っていたりするし、三好・松永・細川・六角・浅井と言った連中はすでに倒れてるしで今の所やることがない。


「とりあえず全国の大名に上洛して挨拶を行うよう呼びかけましょう」


「うむ、当然だな」


 足利義輝はそういってご機嫌だが果たしてどれくらいの人数が来るやらなんだけどな。

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