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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

桜草

作者: 松本和美

こんな気持ちわかってくれるかな?

私は大手製薬会社に勤めている薬剤師。

入社10年目、一生の仕事だと思って仕事にうち込む毎日。

性同一性障害。

来ている服はいつも男性物。。。髪型は週末、、ツーブロックにしてきてとても扱い易くて気に入っている。

自分の胸をみるのは悲しい気持ちでいっぱいになる。

生理が来ると死にたくなる。この思いは昔からでいまだにその気持ちが落ち着く事はなかった。。。

会社では、結構人気もそれなりにある。人付き合いは苦手ではなかった。時々白衣を着ていると同僚からは、エロい!エロすぎる‼と言って笑われている。

ある日昼食を取りに近くのカフェに向かう。

いつもはお弁当を必ず持参していたのだが、珍しくその日は寝坊をしたのだ、、、。

カフェへ向かう途中に会社で背の小さな可愛い女の子に出会った。

一目惚れだった。混んだエレベータの中で彼女と少し手が触れあう。

「すいません」

彼女は、そう言って私に微笑んだ。

彼女はまるで桜草みたいな女の子だった。

久しぶりかも、こんな気持ち。。。

少し嬉しい気持ちと共に昼食を済ませた。


その日の午後、何時ものように机に向かい書類の山に追われていた。。。

「あのぉ、すいません、、、。」


可愛らしい優しい声が聞こえてきた、、、。

聞き慣れない声で私はパソコンから目を離した。

エレベーターで出会った彼女が、立っていた。。。

気付けば周りには誰も居なかった。

「何かありましたか?」

彼女は困ったように、

「こちらの課長さんに、この書類を届けるように言われて。。。」

「私がお預かりしますよ」

笑顔で、そう言うと彼女はとても嬉しそうに笑った。


なんて、可愛らしい子なんだろう。。。


それから私は時々、時間を作っては彼女の部署に顔をだすようになった。

彼女は、ころころとよく笑う、笑顔の似合う女の子だった。


ゆっくり話してみたくなり、彼女をランチに誘ってみた。

彼女は、嬉しいと言って笑った。


彼女は、自分はうつ病で、障がい者枠で働いているのだと私に明るく語った。

私も似たようなものだった。

「なんか悩んでれば、聞くよ?」


そう言うと彼女は

「特に何もないかな。」そう言って少し寂しそうに笑った。


それから二人でランチをとることが普通になった。

いつもは、外だが最近は天気が良くて気持ちがいいので会社の屋上でコンビニで買って食べる事にした。


「いつも、買ってきたり外でランチするの?」

彼女は、笑いながら

「私、お料理できなくて。。。」

「得意料理ないの?」

「得意?うーん、納豆ごはん!!」

彼女は、元気よく答えた。。。

「彼氏これじゃ、大変だね!」

彼女が、一瞬凄く寂しい顔をした。。。

あれ?なんか傷つけちゃたかな?

彼女の、表情が心に残ったまま、午後の仕事に戻った。


週末、彼女とバラ園にバラを見に行く約束をしていた。

お互いにお花が大好きだった。

私は洗濯を済ませると、二人分のお弁当を作って約束をしている駅に向かった。


よく、晴れた少し暑い日だった。

待ち合わせに、来た彼女はいつもと雰囲気が違っていた。

可愛らしい白いパンダのTシャツに紺色のワイドパンツというとてもカジュアルな格好をしていた。

私がビックリした顔を、していると

「何?なんか変?」と心配そうに聞いてきた。

私はその、あまりの可愛さに、

笑いながら

「いつもと雰囲気がちがうから」

そう言って笑った。

「お休みだし、今日30度あるっていうから夏服着てきちゃた!」

彼女は、楽しそうに笑った。

駅からバラ園までは、少し距離があるので彼女とタクシーに乗り込んだ。


バラ園はちょうど見頃だった、広い公園を二人であるいた。。

こんなに、綺麗な場所で彼女と一緒に居れる事がとてもしあわせだった。

バラを見ながら私は彼女の、手にそっと触れた。


彼女はとても不思議そうに私を見つめると軽く笑った。

そのあと、彼女と手をつないだままバラ園をゆっくりお散歩した。

ベンチに座り、作ってきたお弁当を二人で食べた。

彼女は

「美味しい‼すごい、天才‼」

そう言って嬉しそうにお弁当を食べてくれた。

料理には、自信があったがこんなに可愛い顔をして食べてくれた事が嬉かった。

彼女に、聞いてみた。

「彼氏とかいないの?」

彼女は笑いながら

「ほら、私はうつ病だから」と言ってそのあと凄く寂しそうにした。

彼女には昔とても愛していた男性がいたこと、亡くなった事を話してくれた。

そのあと、彼女は

「私は彼を愛しているから、この先もひとりで居るってきめてるの!!」

そう言って微笑むと一粒の涙をこぼした。

病気は、それが原因らしかった。

私は胸のうちにある気持ちを抱きながら、今日も彼女とランチをとっている。

彼女がここに居てくれている限り私は彼女を守ると心に決めた。

私は彼女といる時間は、最大限に彼女を甘やかそう。。。


彼女に、ランチのデザートのティラミスを一口食べさせた。

彼女は、

目をまるくして

「美味しい‼」

と、とても嬉しそうに笑った。

主人公の恋が実るといいなー

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