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第27話 この惑星は―― その2

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 場面は宇宙へ替わる。


 一人の女性とアンドロイドが、一つの惑星を調査をしていた。この調査は、彼女がこれまで取り扱った中で、一番大きい案件だった。しかも、太陽系連合政府の直々の依頼であり、達成されれば、莫大な金が手に入る。依頼内容は、見えない惑星の映像を入手する事であった。


「政府の人はこの宙域って言ってたけど、本当にあるのかね?」


「さあ? 本当にあるのかは分かりませんね。ただ、この宙域を武装船が通ると、もれなく宇宙の塵になるとか。ナカジマも宇宙の塵になるのかもしれません」

 

 ナカジマと呼ばれた栗色癖毛でセミロングの女性は頭を抱えた。彼女は、大金に目がくらんでしまった己の軽薄さを恨めしく思う。だが、彼女はPMCを設立するという目標を持っており、どうしても大金が必要であった。PMCは本来、政府軍だけでは対応できない宙賊の対応や、カーゴシップの護衛で儲けを出す。


「セーズぅ。まだ観測できないの? このままじゃ婆さんになるよ、わたし」


 周辺の質量の分析やら、空間の解析やらをやっても惑星のわの字も無い。この依頼を受けてから既に地球時間で三か月も経っていた。ナカジマは現状に焦りを覚える。さらに、その惑星が本当にあるのかさえ分からないのも、ナカジマをモヤっとした気分にさせていた。


「ナカジマ、あなたは既にババアと呼ばれ始める年齢です。ですから、気にする必要はありませんよ。それと見えない惑星の新しい情報ですが、どうやら空間に出現する周期があるようですね」


 セーズと呼ばれた黒髪長髪のアンドロイドがデータをナカジマへ送る。


「見えない惑星って本当にあったのか……」


 セーズが政府から入手した古いデータは、どの記録も見えない惑星を観測した直後に途切れていた。彼女の言っていた宇宙の塵になるという事であった。


 一つ目の記録は今から五年と三か月前、惑星を観測した直後に途切れている。

 

 二つ目の記録は今から三年と一か月前、これも一つ目と同じ結果だ。

 

 三つ目の記録は今から一年と四か月前、これも結果は同じである。

 

 この記録から、何者かが惑星を何らかの方法で秘匿している事が分かる。そして、その者達が目撃者を消している事も。


「ナカジマ、解析の精度を高めるために撃沈されたと思われる記録の座標へ接近しますか?」


 撃沈された記録は、ナカジマの前任者達のものだった。前任者達を撃沈したのは宙賊の可能性もあるが、ナカジマはその可能性を否定した。なぜなら、宙賊が戦闘した痕は残っていない。例えば、宙賊がサルベージ出来なかった残骸の残りや破棄された被害者のカーゴなどである。よって、この宙域に未知の敵がいる可能性があった。


「近づくのはダメ。もし接近する必要があるなら、無人機にやらせるべきよ」


「なるほど。それが賢明な判断ですね。流石は、三十年近く生きてるだけはあります」


 セーズはこちらを一瞥もせず、コンソールを操作していた。

 

「でもさー、秘匿された見えない惑星なんて、観測出来ないんじゃないかな」

 

「惑星自体を、秘匿するというのは前代未聞です。ですが、記録はある以上この宙域に存在するというのは確かでしょう」


 惑星を秘匿するなんて政府にも出来ない事であり、それができる他種族なんてのも聞いた事が無かった。そのような技術が発表されれば、銀河規模の革新が起こるだろう。


 ナカジマは、モニターを注視する。そして、気になる物を見つけた。


 「何か点のようなものが、光速で回っているような? うーん? 彗星とか? いや彗星はもっとバーって光るよねえ……セーズ、ちょっとこの回ってる物体を映してくれない?」


「分かりました」セーズはパパッとタッチパネルを操作し、モニターにその物体をクローズアップした。


「これって、船?」


 その回ってる物体は船だった。何かを中心にグルグル回っているようだ。

 かなり加速しているようだが、こちらからハッキングすれば止められるだろう。


「……船ですね。深宇宙探査艦と呼ばれる艦種です。――名前は"宗谷丸"と船体に書かれてあります。この船のネームペイントは、かなり削れていますが」


 横長の船体に書かれた"宗谷丸"の横文字はデブリや塵でボロボロに剥げていた。

 

 艦内にはまだ、人が乗っている可能性がある。


 ナカジマは、延々と高速で回り続けるなんて、バターになりたい願望でもあるのだろうかと内心でこの船の持ち主を馬鹿にした。

 

「セーズ、あれに人が乗ってると思う?」


「どうでしょうか、自傷趣味を持った人が乗っているのかも」


「セーズ、"宗谷丸"をハッキングして遠隔操作で停船させて」


「"宗谷丸"に近づく必要があります」


「それなら、作業用ビークルに乗って接近しちゃって」


 セーズが、ナカジマの指示を聞き大きな溜息をついた。


「しょうがないですね。分かりました、それで行きましょう」


 セーズが、艦中央にある発艦デッキに移動し、手足の生えた頭の無い黄色い作業用ビークルに乗り込んだ。


~登場人物紹介~

ナカジマ

地球人の女性。セーズと共にトオル達が不時着した見えない惑星を探っているが……

年齢は26歳で身長は162cm 体重48kg 

栗色の癖毛のセミロング。やや豊満。濃いブルーの強化戦闘服を着用。

使用武器はVHSモチーフの架空銃と自動拳銃。

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