第24話 啓示 -Revelation-
トオルはラナリと二人で、そこに立っていた。
二人は最初に、そこが完全な闇だと思った。
けれど、闇の中に小さな光が無数にある事を知った。
「トオル、あの光はなに?」ラナリが小さな光を指さして問いかける。
あれは、小さな星だろうか?
「あの光は星だよ」多分あってると思う。
「地上から見るのとは違う感じがするね」ラナリが笑顔でトオルの手を引く。
ラナリに手を引かれ宇宙を歩く。
歩いて、歩いて、歩いた先に、青い星があった。
「あれは私達の星?」
私達の星とは、ラナリが生まれた星の事だろうか? それとも、トオルの生まれた星の事だろうか。……なぜ、俺はどちらの星か迷ったのだろうか。
「ラナリが生まれた星……かな」自信は無いがそんな気がした。
また、ラナリに手を引かれ宇宙を歩く。
歩いて、歩いて、歩いた先に宇宙船があった。
その宇宙船は、丸みを帯びていてとても美しい船だった。
人類の無骨で角ばった宇宙船とは違う。
「あの大きい船はなに?」
「あれが宇宙船だよ。俺が生きてきた中で、あんな綺麗な船は見た事ないけど」
だが、その宇宙船は光速で飛び去ってしまった。
またまた、ラナリに手を引かれ宇宙を歩く。
歩いて、歩いて、歩いた先には、さっき見た美しい宇宙船がいた。
その宇宙船は、なにかと戦っているようだった。赤や青や黄色の閃光が無数に煌めく。
「あの船は戦っているの?」
「ああ、戦っている光だよ」
宇宙船がまた高速で飛び去った。
トオルが瞬きをすると、トオルとラナリは地上に立っていた。
そこは、綺麗な花々が咲いている丘の上だった。
「トオル、見て!」トオルが振り返ると、ラナリが花束を手に持って笑っている。綺麗で可愛らしい花だ。
「綺麗な花だな」トオルは素直に感想を言うと、異変に気が付いた。
遠くで煙が上がっているのが見える。山火事だろうか?
煙は木よりも高く、いくつも上がっていた。
「トオル、あれって」ラナリが振り返り指をさす。
巨大な水晶のような兵器が、なにかを攻撃していた。
いや、兵器ではない……生き物か?
煙はその攻撃によるものだった。
「あれは、街を攻撃しているのか?」
巨大な水晶のような生き物は、街を攻撃しているようだった。
またトオルが瞬きをすると、今度は街にいた。とても綺麗な街だ。
その街は、とても文明が進んでいる街だった。
チューブの中を高速で走る乗り物や、空中では四角いVTOL機が飛んでいる。
行き交う人々は皆、幸せそうだった。
どの人々も、子どもと一緒に、恋人と一緒に、兄弟姉妹と一緒に、夫婦と一緒に笑いあっている。
「皆、幸せそうだね」
綺麗な花束を持って、人々を見つめているラナリも、どこか幸せそうだった。
「ああ、そうだな」未来の天国ってのは、こんなところなのかもな。
「……空が真っ暗」ラナリが怯えた様子で空を見上げる。
トオルも空を見上げた。空が暗い。晴れているのになぜ――
「トオル、皆が……!」トオルは視線を下に戻す。
街が燃えていた。人々が燃えていた。逃げ惑う人々がいた。
人々の軍隊がいた。機械の軍隊だ。だが、軍隊も燃えて、兵隊達が逃げ惑っている。
攻撃をしているのは、巨大な水晶のような生き物だった。
その六つ脚の生き物は、誘導する弾のような組織を背中から飛ばし、人々と軍隊を攻撃している。
そして、大型犬ぐらいの甲虫が、人々を軍隊を食い殺している。
水晶で出来た甲虫とも言えるそれは、津波の如く湧いていた。
老若男女の区別なく人々は無力に死んでいく。
ラナリは、その光景を見て、うずくまって泣いていた。
トオルは、その光景をただ見ているだけだった。
「止めて!」突然、ラナリが叫ぶ。
トオルは振り向きラナリを見る。ラナリの周りを、無数の宙に浮く花びらが舞っていた。
ラナリが、六つ脚の生き物に向けて手をかざす。六つ脚の生き物が分解されていく。
六つ脚の生き物は、無残にケミカルな体液を撒き散らしながら、バラバラと崩れ落ちていく――と目の前が暗転した。
――トオルとラナリを呼ぶ声が聞こえる。




