表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/154

第24話 啓示 -Revelation-

 

 トオルはラナリと二人で、そこに立っていた。

 二人は最初に、そこが完全な闇だと思った。

 けれど、闇の中に小さな光が無数にある事を知った。

 

「トオル、あの光はなに?」ラナリが小さな光を指さして問いかける。


 あれは、小さな星だろうか? 


「あの光は星だよ」多分あってると思う。


「地上から見るのとは違う感じがするね」ラナリが笑顔でトオルの手を引く。


 ラナリに手を引かれ宇宙を歩く。

 歩いて、歩いて、歩いた先に、青い星があった。


「あれは私達の星?」


 私達の星とは、ラナリが生まれた星の事だろうか? それとも、トオルの生まれた星の事だろうか。……なぜ、俺はどちらの星か迷ったのだろうか。


「ラナリが生まれた星……かな」自信は無いがそんな気がした。


 また、ラナリに手を引かれ宇宙を歩く。

 歩いて、歩いて、歩いた先に宇宙船があった。

 

 その宇宙船は、丸みを帯びていてとても美しい船だった。

 人類の無骨で角ばった宇宙船とは違う。

 

「あの大きい船はなに?」


「あれが宇宙船だよ。俺が生きてきた中で、あんな綺麗な船は見た事ないけど」


 だが、その宇宙船は光速で飛び去ってしまった。

 またまた、ラナリに手を引かれ宇宙を歩く。

 歩いて、歩いて、歩いた先には、さっき見た美しい宇宙船がいた。


 その宇宙船は、なにかと戦っているようだった。赤や青や黄色の閃光が無数に煌めく。


「あの船は戦っているの?」


「ああ、戦っている光だよ」


 宇宙船がまた高速で飛び去った。

 

 トオルが瞬きをすると、トオルとラナリは地上に立っていた。

 そこは、綺麗な花々が咲いている丘の上だった。


「トオル、見て!」トオルが振り返ると、ラナリが花束を手に持って笑っている。綺麗で可愛らしい花だ。


「綺麗な花だな」トオルは素直に感想を言うと、異変に気が付いた。


 遠くで煙が上がっているのが見える。山火事だろうか?

 煙は木よりも高く、いくつも上がっていた。


「トオル、あれって」ラナリが振り返り指をさす。


 巨大な水晶のような兵器が、なにかを攻撃していた。

 いや、兵器ではない……生き物か? 

 煙はその攻撃によるものだった。

 

「あれは、街を攻撃しているのか?」


 巨大な水晶のような生き物は、街を攻撃しているようだった。


 またトオルが瞬きをすると、今度は街にいた。とても綺麗な街だ。

 その街は、とても文明が進んでいる街だった。

 チューブの中を高速で走る乗り物や、空中では四角いVTOL機が飛んでいる。


 行き交う人々は皆、幸せそうだった。

 どの人々も、子どもと一緒に、恋人と一緒に、兄弟姉妹と一緒に、夫婦と一緒に笑いあっている。


「皆、幸せそうだね」


 綺麗な花束を持って、人々を見つめているラナリも、どこか幸せそうだった。


「ああ、そうだな」未来の天国ってのは、こんなところなのかもな。


「……空が真っ暗」ラナリが怯えた様子で空を見上げる。


 トオルも空を見上げた。空が暗い。晴れているのになぜ――


「トオル、皆が……!」トオルは視線を下に戻す。


 街が燃えていた。人々が燃えていた。逃げ惑う人々がいた。

 人々の軍隊がいた。機械の軍隊だ。だが、軍隊も燃えて、兵隊達が逃げ惑っている。

 

 攻撃をしているのは、巨大な水晶のような生き物だった。

 その六つ脚の生き物は、誘導する弾のような組織を背中から飛ばし、人々と軍隊を攻撃している。


 そして、大型犬ぐらいの甲虫が、人々を軍隊を食い殺している。

 水晶で出来た甲虫とも言えるそれは、津波の如く湧いていた。

 老若男女の区別なく人々は無力に死んでいく。


 ラナリは、その光景を見て、うずくまって泣いていた。

 トオルは、その光景をただ見ているだけだった。


「止めて!」突然、ラナリが叫ぶ。

 

 トオルは振り向きラナリを見る。ラナリの周りを、無数の宙に浮く花びらが舞っていた。

 ラナリが、六つ脚の生き物に向けて手をかざす。六つ脚の生き物が分解されていく。

 

 六つ脚の生き物は、無残にケミカルな体液を撒き散らしながら、バラバラと崩れ落ちていく――と目の前が暗転した。


 ――トオルとラナリを呼ぶ声が聞こえる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ