不審の目
「何度も言いますが私はそんなことはしていません!」
「犯人達が君の指示だといっているんだ!いい加減に白状したらどうなんだ!」
フレアス様に連れてこられたセリスは当然容疑を否認。それに熱くなったフレアス様が更にセリスを弾圧するかのようにはなし続けています。
「落ち着いてください。後は私が聞きますから・・・」
いつまでも平行線を辿る2人に今まで黙っていた詰所の兵士がフレアス様に声をかけました。フレアス様も少し落ち着いたのかセリスへの詰問は兵士に任せ私のほうにやってきました。わたしは被害者なのでハンカチを目に当て泣いたふりを続けます。
「セリス!」
そこへ今回の諸々の元凶とも言えるニールがやってきました。詰所に入ってきたニールは息も荒くおそらく話を聞いて急いでここまでやってきたのでしょう。
「だから私はそんな依頼を出してなどいません」
「しかしですな・・・現行犯で捕まった犯人達が貴方から依頼を受けたと言っているのですよ」
「ここまで証言が出揃っているんだぞ!早く認めるんだセリス!これ以上私を失望させる気か!」
入ってきたニールには気にもせず詰問を続ける兵士に淡々と否定を続けるセリス。その様子に苛立ちを隠さず詰め寄るフレアス様。ニールはその状況を確認すると兵士に声をかけた。
「そのセリスに依頼されたという奴らに会わせてはくれませんか?俺はセリスがそんなことをしたとは思えない」
「えぇ・・・犯人は奥の牢に入れてありますが・・・」
「奥ですね、では少し話をしてきます」
犯人達が奥に居ると聞いたニールはフレアス様のことなど気にもせず奥の牢屋へ向かっていきました。
「なんなんだニールの奴!この私を無視するなんて!」
フレアス様は憤っていらっしゃいましたが私は嫌な予感がしました。そしてしばらくしてニールが戻ってくるとこういいました。
「あいつらが白状したぞ。本当はそこのアマンダに頼まれたってな」
そういって兵士を牢のところまで連れて行き、確認を取らせると私達のことなどどうでもいいとばかりにセリスを連れて出て行ってしまいました。
「アマンダ・・・?あの男達の言ってることはどういうことなんだ?何故君が自分を襲わせてセリスのせいにしろなんて・・・」
そして私はフレアス様に状況の説明を求められていました。男たちは私がセリスのせいにしろと言ったと今までとは一転して主張を変えたためその矛先が私に向けられたのです。
「フレアス様はあんな男達の言うことを信じるのですか・・・?私は彼らに酷い目に遭いそうになったのに・・・」
「あ・・・すまないアマンダ。今日は家に帰るといい・・・この話は落ち着いてからするとしよう」
フレアス様に涙を見せながら言えばフレアス様は私を気遣って帰るように促してくれました。今日はどうにかなりましたが何か言い訳を考えなければいけませんね・・・。