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重なる予定外

 

 帰りの馬車の中、フレアス様の送ると言う申し出を断ってその帰り道、私は大きくため息をついた。

 結局婚約破棄の話は出来たけれどニールのせいでセリスの恨みを買えたかはわからない。何であいつだけは思い通りに動かないのかしら?まったくイライラするわ。


 ニールに靡きかけたセリスを責めてはみたけれどそれもニールが邪魔するし・・・なんであの女はあんなに恵まれているのよ。納得がいかないわ。

 そんなことを考えながら窓の外を見ていると柄の悪そうな男が目に入った。そういえば本来なら破棄された後のセリスは激情のままああいう男に依頼を出して私を襲わせるんだっけ・・・それなら逆にこれを利用すればいいんじゃないの?


 私は馬車を止めさせると先ほどの男に声をかけた。


「ねぇそこの貴方。少々よろしいかしら?」


「あぁ?なんだ嬢ちゃん。俺はあんたみてぇな小奇麗な嬢ちゃんが関わるべき相手じゃねぇぞ」


 自分でそんなことを言うなんて・・・思ったよりもまともなのかしら?


「貴方みたいな人にお願いしたいことがあるのよ。報酬は払うし話だけでも聞いてくれないかしら?」






 夕方もう一度町にやってきた私は少し薄暗い裏路地に入って歩いていた。すると男が3人現れて私の行く道を塞ぐ。


「おう嬢ちゃん。お望みどおり連れてきたぜ」


 最初に声をかけてきたのは昼に私が話しかけた男だった。


「えぇ、じゃあ予定通りお願いね」


 その言葉に頷いた男たちは私の服を力任せに引っ張った。大の男が力を込めたのだから当然私の服は破けてしまった。


「うん、これくらいでいいわ。・・・ちょっと!もう止めなさい!」


 もともとの計画では私を襲わせたことにして、それをセリスからの依頼と押し付けるつもりだったのだけど男たちは私の服を破くのを止めない。


「おい!やめろって!こんなことしたら報酬も無しになっちまうぞ!」


 最初に声をかけた男が残りの2人を止めようとするが殴られて気絶してしまった。2人の男は目が血走っている。


「襲うふりをしろだなんてよっぽど不細工なんだろうと思えば美人じゃねぇか!こんな女をふりで済ませるなんてもったいねぇ!本当に犯してそのまま身代金でも要求すりゃあいいじゃねぇか!」


 連れてきた男たちは下種だったようで私を本当に犯すつもりらしい。必死に抵抗をするけれど力が適うわけもなく、私このまま本当に汚されてしまうのかしら・・・


「貴様ら!何をしている!」


 そこに現れたのはフレアス様だった。いつも私に向けてくれる優しい瞳ではなく、男達を見るその瞳には明らかな怒りが見えている。当然フレアス様は一人でなく護衛の兵士達を連れていて彼らが男達を捕らえる間にフレアス様は私を抱きしめてくれた。


「アマンダ!大丈夫か!君が表通りを外れたところに入っていったと聞いてね。急いで探しに来たんだ」


 そういっていつもの笑顔で話しかけてくれるフレアス様。私はセリスを絶望させるためだけに彼に近づいたのにこんなに優しくされたら本当に好きになってしまいそう・・・


「だから!セリスって嬢ちゃんに頼まれたんだよ!」


 私がフレアス様と見詰め合っていると後ろからそんな声が聞こえてきた。


「なに!?セリスだと!?その話詳しく聞かせてもらおうか?」


 セリスの名前を出されたフレアス様は男達を問いただしに行ってしまいました。


 そして次の日、フレアス様は朝学園にやってきたセリスのことを詰所につれてきたのでした。

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