第2王子を落とすには
15になった春。私は貴族学院に入学しました。おじい様が亡くなって早5年、おじい様から受け継いだシュタッツ家への憎しみは未だ色褪せる事無く私の中に燻っています。
私の中の記憶が正しければ入学が終わってすぐのこの時間、フレアス様はセリスから離れ、庭の方へいらっしゃるはず。私は一緒に入学してきた子達に話しかけられる前に庭へ急いで向かいました。
フレアス様を攻略する際に一番重要なのが最初の出会いです。彼を第2王子と知らないふりをして近づかなければ肩書きに釣られてやって来たと思われてしまいます。
フレアス様は社交の場にはあまり出てこないので学院に通う子達はフレアス様の外見を知らない者も多いのですから知られる前に行動しなければいけません。
「あ、あの!」
私は不安げな表情を作りながら花壇の前に佇むフレアス様に声をかけました。フレアス様は疲れたような顔をしてこちらを振り向いたのですが、知った顔ではないことに気がつくと貼り付けた愛想のような顔を浮かべて話しかけてきました。
「きみは・・・新しく入ってきた子かな?どうしたんだい?」
フレアス様は跡目争いに無理やり巻き込まれ周囲の人を信じられなくなっています。そう私の記憶にはあったのでフレアス様が疑問を抱かぬようにさも偶然であるかのように取り繕いながら私は現状を伝えます。
「実は迷ってしまいまして・・・」
「この学院は広いからね・・・新入生の校舎はこっちだったかな・・・」
そういって私を案内してくれるフレアス様。親切な方です。しかし私はセリスを陥れるためにも彼を利用しなくてはなりません。
「ここをまっすぐ行けば校舎に出るはずだよ」
「ありがとうございます。もしよろしければお名前をおうかがいしても?」
「あ、あぁ・・・私の名前はフレアス・グリヘルムだよ」
「まぁ!第2王子様!?これは申し訳ありませんでした!フレアス様とは知らずに」
「私は所詮第2王子だからね・・・きにしなくていいよ」
やはり第1王子のサリウス様に対して苦手意識が強いようですわね・・・。
「そうですか・・・第2王子様だなんて・・・残念です・・・」
「え?」
「私は男爵家の娘ですもの・・・フレアス様のような素敵な殿方と結婚できればと思いましたが身分が違いすぎますものね・・・」
フレアス様個人に惹かれたというのをアピールします。第1とか第2ではなく王子であることが残念だと・・・
「それは・・・たとえば私が同じ男爵階級だったらということかい?」
「そうで・・・はっ!申し訳ありません!不敬ですよね。それではありがとうございました!」
アピールが終わったらこれ以上はどうなるかわかりませんし、急いでフレアス様から逃げるようにこの場を離れます。知識が間違っていなければ近いうちにフレアス様は私を探しに着てくれるでしょう。
フレアス様が来て下さいますように・・・私は打算とは別にそんなことも考えていたのでした。




