おじい様の遺言
「シュタッツ家さえ居なければ・・・」
おじい様はいつもそういっていました。
私の名前はアマンダ・タード。タード家の娘として生まれた私に父と母はあまり関心が無い様で私は祖父と一緒に居ることが多く、その祖父はシュタッツ家を目の敵にしていました。
「ワシを出し抜いたシュタッツ家にも同じ年頃の娘が居るらしい。アマンダよ。セリスという娘には負けてはならんぞ」
そういわれて育った私はセリス・シュタッツに負けないように完璧な淑女になるべく勉強をしてきました。
「セリスの婚約者が第2王子のフレアス様だと!?」
私が10歳になったとき、シュタッツ家のセリスはこのグリヘルム王国の第2王子、フレアス・グリヘルム様との婚約を発表しました。これを聞いたおじい様は大激怒。怒りすぎて倒れてしまい、ベッドで寝たきりの生活を送るようになってしまいました。
そしてそれから2年後の冬。
「アマンダ・・・ワシの可愛い孫娘よ・・・セリスに負けてはならんぞ・・・」
最後までシュタッツ家への恨みを言いながらおじい様はお亡くなりになりました。
おじい様の亡くなった夜。私は不思議な夢を見ました。それは今の生活とは全く異なる世界で生きている夢でした。その夢の中の私が謎の光る箱に向けてやっていた絵と文章の流れる不思議な本(?)を読み進めているのですがその中に出てくるヒロインの名前がアマンダ・タードなのです。他にもフレアス様やセリスも出てきていてまるでこの世界の未来を物語にしたような不思議な本でした。
その本の中で私は15歳。本の記憶と共に私ではない誰かの記憶や意識も入ってこようとしたのですが、私はその本の内容を知ることで可能性が生まれたシュタッツ家の没落。おじい様の悲願の為に動くことを決め、その他の意識は無理やり弾き出しました。
祖父が亡くなった次の日。今まで私の面倒を見てくれていたおじい様の代わりにをどうするかとお父様とお母様は話をの席を設けました。
「アマンダ?話を聞いているのか?」
私は入ってきた記憶の整理をすべく必死に頭を回転させていたので正直お父様とお母様が何を話していたのかはあまり覚えていません。ただ物語どおりに話を進めるべく私はお父様とお母様に希望を伝えました。
「私ももう10歳です。流石に何でもはできませんがそんなに手のかかることをしてきたわけでもありませんわ。だからあまり気にしなくて大丈夫ですよ。ただ一つだけお願いがあります」
「お願い・・・?」
「はい。私を貴族学院に通わせていただけませんか?」
男爵家の家計では貴族学院に通うのはかなり出費があり、半分ほどは正式な世継ぎである長男以外は通わせないところも多いといいます。だから私はお父様とお母様に貴族学院に通わせていただけるようにお願いしました。
2人は最初渋っていたものの入学できる15歳まで何も問題をおこさなければ通ってもいいと許可を頂くことができました。
待っていなさいセリス・シュタッツ・・・貴方を幸せになんてさせないのだから・・・