表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルデル  作者: からくれ
5/7

プロローグ・5

悪魔デルの物語です。

 気づいたときには、もう両親はいなかった。

 両親について覚えていることもほとんどなく、生きているのかどうかさえもわからない。


「僕の親って本当にいるのかな?」


 作業中につい独り言が出てしまった。

 周りを見回してみるとみんな作業中のようで僕の独り言に気づいた人はいなそうだった。

 とりあえず、気を取り直して作業に戻ることにしたがここ最近作業に力が入らなかった。


「はあ~~~」

「どうしたの?そんな溜息なんかついて。」

「工場長!!いえ、なんでもありません。」

「そう?でも最近デル君なんか作業に集中していない感じなんだよね。」

「とんでもないです!!もう、作業が楽しくてしょうがないですよ!!」

「本当?」

「ええ!!本当ですとも!!」

「ならいいんだけど。これからも頑張ってね。」

「はい!!」


 よし、上手く誤魔化せた。

 最近作業に飽きてきたなんて言えないからね。


ピンポンパンポン


「今日の作業はこれでおしまいです。後片付けをして気をつけてお帰りください。」


 もう終わりか。

 ご飯買いに行かないと。


「デル君。今日の帰りご飯でも食べにいかないかい?」

「折角のお誘いですが、今日は遠慮しておきます。」

「そうかい。じゃあまた今度ご飯食べに行こうね。」

「機会がありましたら。」


 また、ご飯に誘われたよ。

 大人の人たちと一緒にご飯食べてもつまらないから行きたくないんだよね。


「ただいま。」


 まあ、僕一人しかいないから誰も返事しないんだけどね。

 もう流石に慣れたけどね。

 でもいつお父さんとお母さんが帰ってくるかわからないからね。


「お腹すいたし、買ってきたご飯食べないとね。」


 レンジで温めるだけでご飯作れるなんて子どもの僕にはありがたいご飯だよね。

 味はイマイチだけど。


チン


「いただきます。」


 うん。美味しくない。

 決してまずくはないけど絶対に美味しくはないよね。

 いつか天使たちのエンゲルランディスに行って美味しいご飯食べてみたいな。


「大人の人たちはよくこんなご飯を食べに行くよな。自分で作っても同じなのに。」


 そういえば、僕はお母さんのご飯を食べたことあるんだろうか。

 子どもの僕が言うのも変だけど、物心ついた時には両親ともいなかったからな。

 そんな僕を雇ってくれた工場長って実はすごいいい人なのかな。

 でもたしか子どもだからって大人の人たちよりも給料少なかった気がするからそうでもないのかな?


「まあ、どっちでもいいか。今は特にお金が欲しいってわけでもないし。」


 明日も作業があるから、早く寝るかな。


「おやすみなさい。」


 

デルのプロローグももう少し続きます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ