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掌編小説集5 (201話~250話)

成仏したくば

作者: 蹴沢缶九郎

自殺の名所や廃病院といった場所で写真を撮ると、確かにその時は居なかった人物が希に写っている事がある。俗に言う心霊写真というやつである。では何故彼らは写るのか…。

これはあまり知られていない事だが、答えは簡単、成仏する為だ。写真に写り込み、自身の存在を第三者に認めさせる事で、彼らは成仏し、あの世へと旅立つ事が出来る。


さて、とある飛び降り自殺の名所として有名な崖にやってきた一組のカップル。彼氏は彼女を崖に立たせ、その姿をスマートフォンで撮った。「どう、うまく撮れた?」と彼女は尋ねるが、画像を確認した彼氏の顔は青ざめている。それもそのはず、今しがた撮った画像には身体の透けた彼女以外の女が写っていたのだ。二人は悲鳴を上げて、その場から逃げ出し、画像に写った身体の透けた女は成仏し、あの世に旅立っていった。


それからほどなくして、今度は一人の青年が、崖からの風景を撮ろうとやってきた。青年はカメラをあちこちに向けて写真を何枚か撮ると、満足した様子で帰っていった。


青年が撮った写真にも霊体は写っていたのだが、インスタントカメラのフィルム現像をすっかり忘れていた青年が写真を見る事はなく、よって写り込んだ霊体が成仏する事もなかった。昨今の成仏事情は、どうやら運も必要のようである。

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