ep.2 やり直し
だいぶまともになったわ
俺が家に帰ると、なにもなかった部屋に大きな椅子が置いてある。
これが咲人が言ってた機械か。にしても、でかすぎだぞ。
はあ、こんなに大きいなら断れば良かった。そんな弱腰が思わずでるくらいには大きい
「アバターは先に作れるとか言ってたっけか。」アバターくらいなら、自分の体をスキャンしてもらってそれをそのまま使った方がいろいろと都合がいいかな。あまりいじると動きに支障が出る可能性があるしな。
とりあえず、リリース時間までに色々終わらせとくか。
そのあと、俺は風呂やご飯。などしているといつの間にか21:30分だった。夏休みの課題は始まる前に終わらす方だから咲人がいうようにゲーム漬けになりそうで怖いな。と思いながら、ふとこのゲームの背景などなにも知らないことに気づき調べてみることにした。
「えっとなになに。」
要約すると
冒険者、生産者、聖職者。さまざまな職業になりきって無限の遊びをしましょうってかんじかな。いちおう魔王とか出てくるらしいけど、ストーリーの難易度が無駄に高いらしくてゲームとして遊ぶのがメインっぽいな。
「あ、もうこんな時間か。咲人との集合時間もあるしぼちぼち始めようかな」たまたま時計を見るとすでに22時をすぎていたようだ。俺は特に慌てることなくゲーム機に座ると、自動的に上から板のような物が出て、視界が様々な光に包まれた
不思議なことに。己の意思とは無関係に意識を失っていく感覚に陥り、最終的には完全に意識が落ちる
気が付くと俺は不思議な空間に立っていた。それをあえて言葉で表すならば真っ黒でありながら、真っ白な空間だろうか。他人にそういうとなにを言っているんだこいつと言われ、笑われる未来が想像できるが。本当にそうとしか言いようがない不思議な空間だ
(これが、咲人が言っていた。ゲームの世界、か。凄いな、本当に凄い。体は動かないが、感覚はしっかりある)
突如文字が現れ、それと共に頭に直接声が響いた
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〈ようこそInfinity job changeへ〉
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たしかNPC?ってやつか。昔、咲人から誘われてやったゲームは、固定語しか話さなかった。でもこのゲームは動きが滑らかで綺麗だな
時代の流れって凄い。俺は現代高校生だからな!! おじさんじゃないからそこだけは覚えておいてくれよ。普段ゲームをしない身としてすごいな〜 って思っただけだから。言ってて虚しくなってきたぜ。ゲームに集中するか
〈あなた様がこの世界を救ってくださる勇者様ですね。あなた様のお名前をお聞かせ下さい〉
名前か…そうだな俺の名前健斗だ。
「健斗だ」
あれ、漢字使えないのか。
考えて見ればそれもそうか。ファンタジー世界に漢字がある方がおかしいもんな。それならケントでいいかな。
あ、でも。咲人が本命はやめとけって言ってたような言ってなかったような。漢字ありだったら、本名でいくところだった。危ない危ない。それなら...
「ケインにしようかな」
……
〈勇者ケイン様、SPを振り分けて下さい。〉
SP?
「なんだそれは」
SPという聞き慣れない言葉と一緒に透明の板のようなものが目の前に現れた。
また何か出てきたな
――――――――――――――――――――――
各SPをお振りください
※割り振りによりスキルが変化します(最低1個〜 )
やり直し可能性
残り時間23:59
名前:ケイン
職業:未定
HP : 0
MP : 0
生命 : 0
筋力 : 0
防御 : 0
魔法攻撃 : 0
魔法防御 : 0
速さ : 0
運 : 0
〈スキル〉
〈称号〉
SP:100
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文字が浮かび上がり、やがて昔の誘われらゲームで見たことがある何かが写しだされた。米印にやり直しが可能と書いてあるので、物は試しだ。とりあえずてきとうに振るってみるか。
【生命力】はそのままの意味だよな。取り敢えず【生命力】に100SP を振ってみよう
――――――――――――――――――――――
本当によろしいですか?
yes/no
――――――――――――――――――――――
yesっと
――――――――――――――――――――――
それでは訓練所にご案内します
――――――――――――――――――――――
え、ちょ。やり直しは
あ、
その時には目の前の景色が変わっていた
「ようこそ、ここは訓練所だ。だだしここでも制限時間は取られるから、そこの所は理解しておけよ。」
「やり直しはできるんじゃないんかよおおお。あと、体が動かないが。いや、微妙にうごいてるのか。遅すぎてほぼ止まってるとしか言えないんだが」
まさかとは思うが、SPにある、速さが0だと何も出来ないとか…
なら、あの文字のやつも見れないのか?
――――――――――――――――――――――
名前:ケイン
職業:未定
HP :1300
MP :0
生命 :130 (30)
筋力 :0
防御 :0
魔法攻撃 :0
魔法防御 :0
速さ :0
運 :0
〈スキル〉
生命上昇(大)
〈称号〉
SP:
――――――――――――――――――――――
それはでるんだ。えーとやり直す
「……」
まさかこのまま24時間続けるとか冗談じゃないぞ。それから一時間。俺は思いつくかぎりの方法で、やり直す方法を探した。わかったことは、ステータスを自分の意志で操作できること。そして視点の右端にタイムリミットが存在することだった。
ステータスとは、空気中に浮いている透明の板のことだ。正式名称がわからないのでそう呼ばせてもらうことにした。
今は22:52と表情されている。
これどうやってやめるのだろうか。そろそろ飽きてきた。
目の前のおっさんも俺がただ、立っているだけに見えるらしく物凄く暇そうだ。NPCでもあんなに感情表現が豊富なのも何気にすごいな。などと感心をしながらも、これが最後の案を試すことに
『やり直し』そう念じてみることにした
……
それをきっかけに俺は、不思議な空間に戻っていた。うそだろ今ので行けた。心が折れそう。それでも収穫はあった。同じ場所に全部のSPを振るのは駄目だと
多分全部降るなら、この生命力しか出来ないのじゃないかな
試しに振るってみるか
――――――――――――――――――――――
名前:ケイン
職業:未定
HP :0
MP :0
生命 :0
筋力 :100
防御 :0
魔法攻撃 :0
魔法防御 :0
速さ :0
運 :0
〈スキル〉
〈称号〉
SP:
――――――――――――――――――――――
本当によろしいですか?
yes/no
――――――――――――――――――――――
これもyesっと
――――――――――――――――――――――
それでは訓練所に案内します
――――――――――――――――――――――
ここまでは同じだな。
――――――――――――――――――――――
error
――――――――――――――――――――――
なんだこれは。エラーってどういうことだよ。そう思っていると俺の目の前におっさんが現れた。ふつうにでてこれたな
―――――――――――――――――――――
名前:ケイン
職業:未定
HP :0
生命 :0
筋力 :130(30)
防御 :0
魔法攻撃 :0
魔法防御 :0
速さ :0
運 :0
〈スキル〉
筋力上昇(大)
〈称号〉
SP:
――――――――――――――――――――――
「1時間も突っ立ってたと思ったら急に消えてまた性懲りにもなく現れたな。君は一体何がしたいんだ。君がいると私が休めないのだよ」
あれ、このおっさんNPCだよね。愚痴を吐くこともできるんだ。本物の人間と言われても見間違うレベルで流暢に話すことができるんだな。
まあ、無視でいいだろう。そんなことよりも。
「動く、動くぞ。体が動くことでこんなに感動する日が来るとは思わなかったよ」
ただ、HPが0というのも気になる。ゲーム的にこれは大丈夫なのだろうか。先ほどなにか出てたような気もするが、問題なくここに来れてるってことは大丈夫なんだろう。
些細なことは後回しにするのが俺の流儀だからな。それからと、俺は様々な割り振りを試していった
そして残り時間12:00を切った時だ。俺はあるミスを犯してしまった
――――――――――――――――――――――
名前:ケイン
職業:未定
HP :0
生命 :0
生命 :100
筋力 :0
防御 :0
魔法攻撃 :0
魔法防御 :0
速さ :0
運 :0
〈スキル〉
〈称号〉
SP:
――――――――――――――――――――――
本当によろしいですか?
yes/no
――――――――――――――――――――――
あ、間違えた…
12時間同じ事を繰り返すあまり、yesを選んでしまった
俺の視点が既に見慣れたおっさんが現れ、そのおっさんはというと寝ていた。うん、ほんとにすごいAIを詰んでるね。
いままでおっさんを無視していたからな。しょうがないと言えばしょうがないのかな。さてそろそろやり直すか
――――――――――――――――――――――
名前:ケイン
職業:未定
HP :1300
生命 :0
生命 :130(30)
筋力 :0
防御 :0
魔法攻撃 :0
魔法防御 :0
速さ :0
運 :0
〈スキル〉
生命上昇(大)
〈ユニーク〉
ステータス書き替え
〈称号〉
ユニークスキル保有者
SP:
――――――――――――――――――――――
ユニークスキルってなんぞ。そもそも最初にやったときはユニークスキル何てなかったような
「確率的なあれかな」
そうか確率
せっかくなんかすごそうなものが出てきたしこれで終わりにしよう。ただ本当にそれでいいのだろうか。このユニークスキルとやらは一種類だけなんだろうか。スキルだってそうだ、ステータスを振り分けを試している時に気付いたことだが、なんとこのSPは単に数字を増やすだけでなく、スキルを直接追加することができたのだ。
例えば今ある
生命上昇(大)
と書いてあるスキルがある。これをSPから直接取ろうとおもったら50で取れてしまった。これが多いのか少ないのかわからないが、つまりユニークスキルも取れたりしないんだろうかってことだ。もちろんユニークというくらいだから、必要なSPは100などでは済まないだろう。けど、先ほどの仮定が正しければ、どの振り分けでやろうと、確率でユニークスキルがもらえるってことだ。
そう考えると、このステータス書き換えというものはなんとも弱そうに見えてならない。もっと強そうなものもきっとあるはずだ。
ならばやることは一つしかない。“ユニークスキル”は一種類なのか、それとも複数あるのか。何回に一回でもらえるのか。
試してみたくなったではないか。考えるだけで楽しい。これがゲームの楽しさなのだろうか。咲人がお勧めするわけだ
(※ステータス割り振り。ゲームは始まりといえるのか)
よし、あの振り分けで、ユニークスキル出るか実験だ
…………
残り時間05:23
出ない、これも違う。次だ。また出ない
残り時間4:19
出ない、もう諦めようか。あれからもう。8時間をやっている
時間で考えたら、あのときの“ユニークスキル”【ステータス書き換え】の方が長かった。
だが今回は、より効率化して繰り返している。
やり直している回数だけなら。絶対に今のほうが多いはずなのに
止めたいが、いま辞めればなんのためにこんなめんどくさいことをやってるのかわからなくなってこのゲームをやめてしまうのではないだろうか。そんなことをすれば、このゲームを誘ってくれた咲人に申し訳ないからな。
残り時間01:58
出ない。全然出ない
俺はユニークスキルを手に入れないと。あれ、何でユニークスキルを手に入れないといけないんだ。そこでふと気付いてしまった。ユニークスキルはあくまでモチベーションを維持するために欲しいのであって、絶対にないとだめというわけではないということだ。冷静に考えれば、俺はなぜこんなに必死にやっているのだろうか。
うん。やめよう。ここまできたんだ最後まで諦めずに頑張ろう。めざせ、なんか強そうなユニークスキル
切り替え大事。よし
残り時間00:29
もはや無意識でやり直しを出来るようになっていた
とはいえ、そろそろめんどくさくなってきた。はあ、あと30分がんばるか
残り時間00:10
もう、あと十分しかない。このまま終われるものか。
それは嫌だな。
残り時間00:2
ずっと、やり直してきたからか。意識がもうろうとしてきた
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名前:ケイン
職業:未定
HP :0
生命 :0
生命 :0
筋力 :0
防御 :0
魔法攻撃 :0
魔法防御 :0
速さ :0
運 :0
〈スキル〉
剣術, 好感, 幸運
〈称号〉
SP:
――――――――――――――――――――――
本当によろしいですか?
yes/no
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うーん。何度見てもこれHP0でいけちゃうのすごいよな。どうせやるなら面白そうなやり方が一番いいからこんな感じにしたけど。明らかにおかしい。まあ、それでも辞める気は毛頭ありません
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それでは訓練上にご案内します
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それから、俺の目の前におっさんが現れ、ていなかった。そういえば12時間前に見たきりいなかったな。どこかに出かけているのだろうか俺には関係ないか。あのおっさんがいなくても大した問題はないでしょ。
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全ての条件が満たされました。
ユニークスキル【レベル0】を獲得しました。
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え、ユニークスキル…や、やった!
か、かかか確認しないと
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制限時間00:00
ステータス振り分け、時間終了します
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あ、終わっちゃった。ま、まあでもいいや。ユニークスキルは手に入ったし。それに後から確認すればいいだけのことだなにか弱そうだったのは気のせいだろう。うん
しばらくして俺は知ることになる。このスキルの重要性を、今にして思えば出来すぎていた。ステータスのこと。スキルのこと
そして
ユニークスキルのこと
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〈ありがとう。それでは、勇者ケインどうか世界をお救いください〉
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そして、気が付くと俺は、だだっ広い平原の上にいた
次回の投稿は
6/5です。
今のステータスです。
名前:ケイン レベル0
職業:error
HP :0
生命 :0
生命 :0
筋力 :0
防御 :0
魔法攻撃 :0
魔法防御 :0
速さ :0
運 :0
〈スキル〉
剣術, 好感, 幸運, 熟練度
〈ユニークスキル〉
英雄, レベル0
〈称号〉
ユニークスキル保有者
英雄の道
SP: