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世界を救った勇者は、強くなるため旅に出る  作者: Flance_Pang
第二の魔王と魔皇帝の降臨

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ノエルvsオルフェウス

【前回のあらすじ】

《ノエル》

セトと言ったか。まさか、ただの人間がレン・フリューゲルと対等に戦えるとは……。

だが、それを抜きにしてもあのレン・フリューゲルの碧い光は何なんだ……!?

神竜覚醒(ドラゴンバースト)だと……?だから何だ。俺はそんなものすらも超える(すべ)がある。

まずは、オルフェウスとかいう奴との戦いを終わらせなければ。まあ、俺の勝ちは決まっているが。

「それでは!続いて準決勝第2試合を開始致します!!先ほどの戦いで、今回の準決勝は一味違うと言う事を第1試合で証明してくれました!第2試合も必見だぞー!?」

実況役の兵士の声に合わせて、ノエルとオルフェウスがそれぞれ入場口から出てきた。ノエルとオルフェウスはリング上に上がり、お互いに黙ってお互いを見ていた。

しばらくして、先に口を開いたのはノエルだ。

「貴様には悪いが、手早く決勝に上がらせてもらう」

「そう簡単に決勝には上がらせはせん。俺にも決勝がかかっているんだ。だから負ける訳には行かない」

オルフェウスはそう言いながら、背中に背負っていた両手剣を構えた。それに対するように、ノエルも刀を抜いた。

「さぁ、準決勝第2試合!ノエル・フリューグント選手対オルフェウス選手!果たして勝つのはどちらか!?」

「それでは、準決勝第2試合!始め!」

開始の合図と共に、ノエルはオルフェウスに向かって走り出し、刀による連続攻撃を仕掛けた。オルフェウスは両手剣で軽く捌いていた。

「この太刀筋……、剣崎(ケンザキ)流か!」

「それがどうした!流派を見抜いた所で同じ事だ!」

「それはどうだろうな?」

そう言うと、オルフェウスはノエルから離れ、構えを変えた。先ほどとは違い、守りを重視した構えだ。

(守りに転じたか?だが、関係ない。攻めの姿勢を緩めなければ敵わない敵ではない!)

そう思いながらノエルは連続攻撃を続けていた。次第に攻撃は激しくなり、目にも止まらぬ速さでノエルは攻撃を続けた。しかし、オルフェウスの守りはそう簡単には砕けなかった。

(何故だ…?何故これほどまでの攻撃を受けてもなお、奴の守りは砕けない……!?)

(剣崎流殺陣術は強固な防御姿勢をとられると不利になる……。彼女がそれを教えなかったのか……。はたまた教える前に死したか……。どちらにせよ、その事に気付かない限りは俺の勝利は確定だな)

そう思いながら、それぞれ攻めと守りを固めた。

そして、ノエルがオルフェウスの後ろへと回り込み、攻撃しようとした時、オルフェウスがノエルを目で追っていた。ノエルの動きは、全て見切られていたのだ。ノエルが振りかざした刀をオルフェウスは、回りながら回避し、そのまま剣の柄でノエルを突き飛ばした。ノエルは飛ばされ、闘技場の壁に激突した。既にリング外にいるが、特別ルールにより場外負けは無くなっていたので、まだ試合は終わっていない。

「うぐっ……、くっ……」

ノエルは痛そうに立ち上がり、リングへと戻った。

「降参するか?」

オルフェウスは剣を地面に突き立て、ノエルに言った。ノエルは俯いたまま静かにその場に立っていた。

「……誰がするか……」

ノエルは小声でそう言うとオルフェウスは、

「む?もう一度言ってくれないだろうか?」

と言った。すると今度は大声で、

「誰がするか!!」

と叫んだ。そして、ノエルは俯いた顔を上げた。その目は殺意ともとれるような気迫で満ちていた。

「こうなれば……、『アレ』を使うまでだ……!!」

そう言うと、ノエルは入場口でじっと試合を見ているレンを見て、

「レン・フリューゲル!!」

と大声で言いながらレンに指を指した。

「貴様は神竜覚醒(ドラゴンバースト)とやらを手に入れてパワーアップしたと思い上がっているが、俺は既にそれに匹敵する力を手に入れている!!」

そうノエルは大声で言うと、観客席のレイ達は驚いた。

「おいおい、嘘だろ……?あいつもまだ上があったのかよ!?どんな冗談だよ!?」

「でも、もしそれが本当なら、ノエルはレンに対して使っていなかった事になる……。まさか使う必要がないと思われていたのか?」

そう呟くハルを他所に、レイとアレクシアはじっとリングを見つめていた。

ノエルは、改めてオルフェウスの方を向き、刀の刃が手のひらに来るように刀の向きを変え、刃を握った。

「見せてやる……!」

ノエルはそう言うと、刃を握っている左手から血が滴る程に強く握った。そして、

「これが、[妖刀抜剣]だ!!」

ノエルはそのまま刀を引き抜いた。ノエルの左手は血だらけで深い傷跡がつき、刀には血が付いていた。

「ノ、ノエル!?自分の手を斬るって……!」

レンが入場口でそう呟くと、

「何のつもりだ?失血死したいのか……?」

オルフェウスもノエルの行動に疑問を感じた。

すると、ノエルの左手から黒と紫のオーラが血のかわりに溢れ出し、次第にノエルの身体に纏わりついた。同時に、刀の刀身も身体と同じオーラを纏った。それを見た時、オルフェウスは息を呑んだ。

(……!!まさか、あの光……、いや、闇は……!)

すると、ノエルはオルフェウスの考えを読んでいたかのように、

「そうだ……。[妖刀抜剣]だ。剣崎流殺陣術を知っているんだ。貴様はこれも分かるだろう?」

と、ノエルは元々不思議な色をしていた目をオルフェウスから離さずに聞いた。オルフェウスはしばらく黙っていたが、頭を抱えてため息をつき、顔を上げて、

「あぁ……。知っている」

と言うと、オルフェウスは顔をしかめてこう言った。

「それは、使った者の命を糧に、自分にあらゆる能力の強化をする。アマツク列島ツクヨノ地方に伝わる禁忌の技……!」

「ああ。完全にモノにするのに6年もかかったぞ……」

そうノエルが言うと、オルフェウスはそれを遮るかのように、

「だが、それはここで使うべき技ではないだろう!これは試合なのだ!殺し合いではないのだぞ!」

とノエルに聞いた。しかし、

「黙れ!!試合であれ殺し合いであれ……、俺にとって敗北は死と同じだ!!」

とノエルは強く言った。

「敗北は死、か……」

オルフェウスは何か物覚えがあるかのように呟いた。

「さぁ、来い……!!貴様を恐怖と敗北に陥れてやる!!」

ノエルは刀を構え、オルフェウスに言った。

オルフェウスはため息をつき、

「少し気を引き締めるか……」

と言いながら、羽織っていたフードを脱ぎ、両手剣をまた違う構え方で構えた。

【ちょっぴり用語解説】

《[妖刀抜剣]》

自らの命と引き換えに、自身に驚異的な力を与える技。

自らの体力をごっそりと持って行く過剰強化(オーバーブースト)とは違い、魔力による強化ではない。


最後まで読んでくれてありがとうございます。

サボってたせいで語彙力が終わっている……。

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