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世界を救った勇者は、強くなるため旅に出る  作者: Flance_Pang
第二の魔王と魔皇帝の降臨

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レンvsセト(前編)

【前回のあらすじ】

《セト》

ついに準決勝が始まった。相手はレンだ。

正直言って、勝てる気がしない。まあ、あの時レグルスをぶっ飛ばした力が使えれば話は別だけど。

その為にもまずはあいつ本気にさせなきゃな……。こりゃ命懸けだ。

試合はこれまでにない程、一進一退の攻防が繰り広げられていた。

その攻防はレンも予想していなかった。ベスティア戦争で常に前線で戦い続け、遂には魔王レグルスを討ち倒し、魔王軍の残党の1人でもあったノエル・ケンザキ・フリューグントとの激戦を経て、更に極まり続けていたレンの剣術に、セトは食らいつき続けていたのだ。

(本気でやってないとはいえ、まさか短期間でここまで腕を上げてたなんて……!いつ特訓なんてしてたんだよセトは!?)

そう思いながらも、レンはセトのナイフ捌きを受け止め続けていた。

しかし、セトも同じである。盗賊(シーフ)ギルドで盗賊(シーフ)特有の器用さと高速戦闘の技術を会得しただけの自分が、何故英雄と呼ばれる程のレンの剣捌きについて来られるのかが分かっていなかった。

(分かる…!何となくだけどこいつの動きが……!でも、なんでこんな事分かっちまうんだよ!?絶対に勝てない相手だって分かりきってる事なのに……!)

そう思いながらも、セトはレンの剣捌きの隙を突き続けた。

ーーーーーーーーーー

観客席は、レンとセトの戦いの観戦に集中しすぎるが余り、準決勝とは思えない程静かになっていた。レイとハルも、周りに合わせて小声で喋っていた。

「なぁ、なんでこんな静かなんだよ?準決勝ってこれっておかしくねぇか?」

「それだけ集中しているって事だろ。英雄とその親友の戦いで、明らかに勝敗が決まったかのような組み合わせなのに一進一退なんだ。もしかしたら、集中だけじゃなくて困惑だったりもあるかもな」

「うぅ……。大声で応援したら悪目立ちしそう……」

アレクシアも大声で応援したい気持ちをグッと堪えて試合を見ていた。

その頃、ノエルは入場口からレンとセトの試合をじっと見ていた。しかし、その冷たい目には焦りが見えていた。

「どういう事だ……?何故ただの人間とレン・フリューゲルが互角なんだ……?まさか、手を抜いているのか……!?ふざけた奴だ……。こんな戦いで手を抜くとは……」

ーーーーーーーーーー

しばらくレンとセトの戦いは横着していたが、

「ちょっとタンマ!」

ここで待ったがかかった。かけたのはセトだ。それを聞き、レンは少しセトから離れた。

「どうしたんだよ?急に待ったなんかかけて」

レンはセトに聞いたが、セトはレンを指さして、

「お前……、まさか手ぇ抜いてないだろうな!?」

ときっぱり言い放った。

「あっ!?」

レンも図星か、思わず声が出た。

「やっぱり!本気で戦ってたら、俺の身体は今頃痣だらけどころか、血塗れになってたからな!」

「いや……、その試合だからさ……?あんまりやり過ぎるのも駄目かな〜って思って……。それに、ハルもあんまりやり過ぎるなって言ってたし……」

「ハァ……。確かに俺に大怪我負わせたくないっていうお前の気持ちも分かるけどさ〜……。俺はこれでも本気でやってるんだぜ?ちょっとは俺の気持ちも汲み取ってくれてもいいと思うけどよ……。思いっきりやっていいって言ったのはどこのどいつだよ?」

セトにそう言われて、レンも思わずため息をついた。

「分かったよ……。でも、僕が本気出したら、セト死んじゃうかもしれないんだよ?それでもいいの?」

レンの問いにセトは、

「構わねぇよ!それに、お前だって俺とぶっ倒れるまでやりたいんだろ?だったらとことん付き合ってやら!!」

と答えた。レンは少し微笑んで、すぐまた真剣な表情になって息を吐いた。

そしてその後すぐに、レンはセトに対し目にも止まらぬ速さで近づき、


「……がっ…!?」

レンは、セトが思わず吐血する程の強さで、剣をセトの腹部に叩きつけた。そして、

「じゃあ、ここからは手加減なしだからね……?」

と普段のレンでは絶対に聞くことがない程の声色でセトに言った。

セトは目の前にいるレンに向かって攻撃を仕掛けようとしたが、すぐにその場から消え、セトの斜め後ろから攻撃した。セトから離れるように素早く移動するレンを攻撃しようと、セトはよろめきながらレンに走って近づいた。すると、レンはその軌道からは既に離れており、今度はセトの斜め前から思いっきり右ストレートで殴りつけた。セトは大きく飛ばされたが、何とか立て直した。しかし、今までの攻撃が全て霞んで見えるほどにレンの攻撃は重く、セトはふらつきながら立っていた。

ーーーーーーーーーー

その様子を、実況役の兵士は思わず実況を忘れて見ていた。次の実況の言葉が出るのはクリシスに話しかけられてからだ。

「……っと!すみません!実況を忘れて見入ってました!レン・フリューゲル選手!セト・ヴァールクス選手の呼びかけに対し、本気で応じています!!」

その実況を他所に、レイ達はそれぞれセトを心配した。

「何やってんだよ、あのバッキャロー!よりによってあいつに本気を出させやがって!」

「いくらレンでもセトには本気を出さないだろうと思ってた矢先にこれか……!しかもセト自らの頼みなんて……!何を考えてるんだセトは!?」

「セ、セトさん……!死なないで……」

そして、時を同じくしてノエルも同じ光景を目にしていた。

「とうとう本気でやる気になったか、レン・フリューゲル。しかし、あの人間も馬鹿だ。自分の力量も知らずに、レンに本気を出せと命ずるとは……。もう勝敗は決まったな」

そう言い捨て、その場を後にした。

ーーーーーーーーーー

しばらくセトは、レンの重い攻撃を受け続けていたが、さすがに心配になったのか、レンはセトに聞いた。

「セ、セト……!大丈夫!?生きてる……?」

その問いに対し、セトはフッと鼻で笑い、

「大丈夫に……、決まってんだろ……?」

と言った。しかし、レンの重い攻撃の数々を食らい続け、セトの身体は血だらけになっていた。

「さぁ、来いよ……。今度は大電撃(ハイボルト)でもなんでも撃ってこい……!受け止めてやるよ……!」

セトの自殺とも取れる問いに対しレンは、

「セト!そのボロボロの身体で大電撃(ハイボルト)を受けたら……!」

と言いかけたが、

「分かってるよ!!だから言ってんだろうが!!受け止めてやるからさっさと撃てよ……!!」

と大声で言った。レンはしばらく戸惑っていたが、セトの目を見てセトの覚悟を感じたのか、

「……分かった」

と言い剣を収め、セトの前に右手をかざした。

次第にレンの手からは雷が纏い始める。しかし、レンの大電撃(ハイボルト)は、常人からすれば超電撃(メガボルト)以上の破壊力だ。それを前にして、セトは怯えもすくみもしなかった。

(これでいいんだ……!レンはどう思ってるかは知らないけど、こうでもしないとあいつは、俺を殺しにかかるような真似はしねぇ……!)

セトはそう思いながら、既に大電撃(ハイボルト)発動寸前に差しかかったレンを見ている。

(やっと本気であいつとやり合えるんだ……。このチャンスを逃しはしねぇ……!!それに……!)

レンが、

大電撃(ハイボルト)……!!」

と唱えると、レンの手から無数の稲妻がセトに襲いかかった。

セトは無数の稲妻を見ながら、

(本気のあいつに……、少しでも食らいついてやる!!)

と思い、守りの姿勢をとった。

そして、セトがいた所に、無数の雷が落ちた。

最後まで読んでくれてありがとうございます。

1エピで終わらせたくない。(真顔)

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