準決勝前の余興
【前回のあらすじ】
《セト》
準決勝前だというのに、落ち着かねぇ。そりゃあんな事があったんだからな。入場口をチラッと見たら兵士がたくさんいるし。
頼むから何事もなかったって事になってくれ……。
レンとセトは、入場口を出てリング上に上がった。凄まじい歓声が闘技場全体を包んでいる。2人が押し潰されそうになる程だ。
セトは観客席を見回しながらレンに聞いた。
「なんかすっごい盛り上がってるな……。お前も準決勝や決勝の時はこんくらいの歓声浴びてたのか?」
同じく、観客席を見回していたレンもこう答えた。
「流石にここまでの歓声を受けると……。ちょっと緊張するかな〜……」
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同じくして、観客席にいたレイ達もそれぞれ応援していた。
「レンー!!セトー!!ド派手にやっちまえーー!!」
「あんまりやりすぎるなよーー!!」
そう言ったハルを、レイは「お前マジか」と言わんばかりの顔で見た。
「お前…、応援で言う事がそれか……?」
「だって、あいつが全力出したらこの周辺が吹き飛ぶかもしれないだろ?それに……」
「考えすぎですよ、お兄様!こんな時に応援しないで、いつ2人の応援をするっていうんですか!?」
ハルの話を遮るかのようにアレクシアがハルに言った。その後、アレクシアはまたリングに向かって声援を送った。
(考えすぎ……なのか?まあ、確かにそれもあるかもな)
そんな事を思いながらハルは俯いた顔を上げ、リングを見つめた。
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ノエルも入場口の近くで、リングを見つめていたが、あまり興味はない様子だ。
(どんな奴かと思ったら……、ただの人間か。拍子抜けだ)
そう思いながら、ノエルの冷たい目はリングに向かっていた。
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レンとセトが開始を待つように準備運動をしていると、実況役の兵士の近くに、ネルケディラ騎士団の1人と思われる兵士がやって来て、
「少し、よろしいですか?」
と話しかけた。
「な、何だい……。今、開始しようかと思ったところなのに……」
「い、いえ……、少し大事な事なので……」
実況役の兵士の小言も聞かずに、ある紙を手渡した。その紙に書かれた内容を読んだ後、
「これ、ジャンにも同じ内容を?」
と聞いた。兵士は軽く頷いた。
「なるほどね。これは伝えておくか……」
そう呟いた後、実況役の兵士はリングの方を向き、
「ご来場の皆様、及び選手の皆様!たった今、ネルケディラ騎士団の方から、ネルケディラ武闘大全運営に向かってある事が提案され、なんやかんやで決まった!詳しくはこれから審判の口から語ってもらうぞ!」
と言ったと同時に、審判がリングに上がってきた。
「何が決まったの?」
とレンは質問したが、
「これより、ネルケディラ騎士団から、我々ネルケディラ武闘大全運営に向けて決まった提案を説明します!」
無視された。
(そりゃないよ……。まあ仕方ないとは思うけど)
「ネルケディラ騎士団長クリシス・フォン・グラヴィエッタ嬢によると、今大会の参加者はかなりの実力者揃いであり、最悪の場合、観客席に被害を及ぼす危険性があると仰いました!よって、我々ネルケディラ武闘大全運営は、この準決勝第1試合を以て、今大会限定の特別ルールを適用します!」
その発言に、観客席からはざわめきの声が起こった。
「つまり、僕ら用のルールって事?」
そうレンが聞くと、
「その通りです!」
と審判は答えた。
「そして、その特別ルールを今から説明致します!今大会にのみ適用される特別ルールとは、決して複雑な物ではなく、とても簡単な内容です!それは、『場外による敗北の廃止』です!!勝敗は、戦闘不能及び降参でのみ決定致します!!」
それを聞いてセトは、
「つまりぶっ倒れるまでやるか、参ったってどっちかが言うまで続くってことか?」
と聞いた。
「そうです!ですが、どうかご安心ください!この為、観客席には[ダイヤモンドランパート]を張っています!なので、今この場にいる選手のお二方!そして、第2試合で戦う選手のお二方は、より思う存分、より力の限りを振るって戦ってください!」
それを聞いて、レンは闘技場の壁をよじ登って思いっきり観客席のある場所を殴りつけた。確かに、[ダイヤモンドランパート]が張られている。レンのパンチを突如現れた六角形のバリアが受け止めていた。
「あの時の技……、こう使うか!」
レンはそう呟きながら下に降りた。
「どうだった?」
セトの問いに対し、レンはこう答えた。
「確かに張ってた。これなら思いっきり戦えるな!」
「あくまでぶっ倒れるまでやり合うかよ……。まあお前らしいか!」
セトは笑いながらそう言った。
「お待たせしました!それではこれより、準決勝第1試合を行いたいと思います!親友対決!果たして勝つのはレン・フリューゲル選手か!?それともセト・ヴァールクス選手か!?瞬き厳禁の試合を、ご覧あれ!!」
実況役の兵士がそう言うと、歓声が再びどっと湧きだした。
レンは、背中に背負った剣を抜き、
「さてと!思いっきりやっていいからね!!」
と言いながら剣を構えた。
同じくセトも、両腰に携えたナイフを抜き、
「それはこっちもおんなじだ!ぶっ倒れるまでやろうぜ!!」
と言いながらナイフを構えた。
「それでは、準決勝第1試合!初め!!」
審判の掛け声と共に、レンとセトは素早くお互いに近づき、レンの剣とセトのナイフがぶつかり合った。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
言い忘れてたけど、審判と実況役の兵士にも名前があるんです。実況役の名前がシャッツォで審判の名前がジャンです。




