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世界を救った勇者は、強くなるため旅に出る  作者: Flance_Pang
新たな冒険と戦いの始まり
3/46

冒険再開

翌日、レンは宿を出ようとすると、宿の主人から声をかけられた。

「あ、そうだ。英雄さん、あんたにも一応注意しとくけど、最近魔王レグルスの軍の残党の1人がトルネシア王国領にいて、道行く旅人たちに襲いかかってるらしいから、もし街道を歩くんだったら気をつけな」

レンはそれを聞いて、少し不思議に思った。

(レグルスの残党か……。普通の魔物だったら旅慣れた奴4人くらいでなんとかなりそうだけどな……)

そんな事を思いながらレンは宿の主人に言った。

「大丈夫だって。もし襲ってきても返り討ちにするから」

それを聞いて宿の主人はホッとした。

「良かった。それなら取り越し苦労だな。またいつでも来ておくれ」

「うん。じゃあまた来るよ」レンは宿を出た。

レンが、トルネシア王都を出ようとすると、後ろから声と足音がした。

「おーい!1人でどこ行こうってんだ?」

レンが振り向くと、そこにはレイとハルがいた。

「レイ、ハル。わざわざお見送りしに来たのか?」

「違うわ!どうせだったらお前の旅について行こうかと思ったんだよ!」

「オレはついて行こうとは思わなかったんだけどな……」

「なーに言ってんだよ!」

そう言いながら、レイはハルの背中を叩いた。

「お前だってネルケディラに行かなきゃならないんだろ?もしかしたら、こいつもいずれネルケディラに行くかもしれねぇんだから、丁度いいだろ!」

すると、レイはレンの方を向いた。

「それに、お前だってクリシスと再会してないんだろ?去年の終戦記念日にお前来なかったじゃんか」

「去年は色々あって来れなかったんだよ。でも、今年の終戦記念日には行くつもりだよ!」

「本当は?」

ハルはレンに聞いた。

「ごめん……。来ないかも」

「待てよ。"色々あって"って……、何があったんだよ?」

レイがそう聞くと、レンの表情が少し曇った。

「今は……、話せそうにないや」

「そっか。じゃあ俺も聞かねぇよ。何か話したくなさげだしな」

「そうしてくれると嬉しいや」

「でも、お前どこ行こうとか決めてあるのか?」

「まあ、トルネシアの北に行こうとは思ってるかな」

「北か……。ちょっとキツいかもしれねぇな……」

レイは顔を少し顰めながら、腕を組んだ。どうやらレイとハルも、宿の主人から同じ事を聞いたらしい。

「大丈夫だろ。こっちにはバケモンクラスの強い奴がいるんだから」

ハルがそう言うと、レイはハルと一緒にレンの方を向いた。

(バケモンって、僕のこと言ってんのかよ......)

「ま、それはそれとして。僕の旅について行くんだったら、途中で『やーめた』はなしだからな!」

「当たり前だろ?ハルはいいとして、俺はお前が旅の終着点に着くまでついて行くぜ!」

レイは自信に満ちた笑顔で、手を鳴らした。

「よっしゃあ!じゃあ、しゅっぱーつ!」

レンは握った右手を上に掲げながら歩き出した。 すると、そんなレンを止めるかのように後ろから若い女性の声がした。

「あの、待ってください!」

レンとレイは後ろを振り向くと、両手剣を抱え持った女の子が立っていた。

ハルは片手で目を覆い、天を仰ぎながらため息をついた。

そしてすぐ後に、ハルは女の子の元へ駆け寄った。

「もう……、何度言ったら分かるんだよ……。危ないからついてくるなって言ってるだろ?」

「でも!もしボクがついて行かなくて、お兄様が死んでしまったってなったら、どうするんですか!?」

「オレはそんなに柔くないから大丈夫だ、って何度も言ってるだろ?いくらお前が回復魔法を持ってるって言っても、万が一お前が真っ先に魔物に狙われて死んだら、オレは母さんになんて言えばいいんだよ!」

レンとレイは、その言い争いを後ろから見ていた。

「なあ、レイ。あの女の子誰?」

「え?あいつ、お前には言ってなかったか?妹がいるって」

「いや、聞いてはいたよ。聞いてはいたけどさ......。妹のわりにはハルと身長同じだし、年齢も見た感じ僕らと大差ないよな?」

「お前兄妹だと思ってたのか?妹は妹でも、双子の妹ってことだぞ?」

「双子!?え?双子なの?」

レンは驚きを隠せなかった。

(双子なの?のわりには全然似てないじゃん!髪の色違うし、目の色も違うし、何よりエーテルの流れが全然違うじゃん!もっと近くで見てみよ)

レンは言い争っているハルと女の子の所へ向かった。

「お、おい!バカヤロ!口喧嘩に割って入るなって!」

そんなレイの止める言葉を虚しく、レンはハルと女の子の前に立った。そして、近くでハルと女の子の顔を見比べた。

「な、何だよ……」

「こっちが兄で……」

レンは女の子の方を振り向いた。

「こっちが妹でしょ……?」

レンは険しい顔で女の子の顔を見た。途中でハルの方を向き、レンの顔はさらに険しくなった。

「双子で合ってるんだよね……?」

「あ、あの……。あんまり近くで見ないでください……」

しばらくして、レンはハルと女の子の前から下がった。レンはかなり複雑な表情をしていた。

「レイ。この2人ホントに双子なの……?」

「まあ、兄弟間で見た目が違うってよくあるけど、双子なのにあんまり似てないパターンはぶっちゃけ珍しいな」

「ふーん……」

「ま、俺も兄貴とは似てないからそういうとこはシンパシーを感じるかな」

「え?レイ、兄弟いたの?」

レンはまたまた驚きを隠せなかった。

(ハルに妹がいるのは分かっていたけど……、レイにも兄弟いたのか……。セトにも妹いたし、これじゃ僕、仲間はずれだな……)

「ああ。まあお前らに言ってなかっただけだけどな。兄貴は、俺より体力がねぇ代わりに頭がいいんだ」

「それ、言ってて悲しくならないの?」

「なるよ……。身長も160cmより下なの俺だけだし……」

レイは暗い表情になってしまった。

(あれ?もしかして僕、言っちゃダメなこと言っちゃった?)

レンは、少し気まずくなってしまった。

【ちょっぴり用語解説】

〈エーテル〉

生まれつき身体の中を駆け巡っていると言われているエネルギーの流れ。

まだ分からないことが多すぎる謎の概念だが、レンだけはエーテルの流れを見ることができる。


最後まで読んでくれてありがとうございます。

よければアドバイス(読みやすくなる工夫だったり)とかをくれると嬉しいです。

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