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エルンスト首相の改革

 エルンスト首相は、自身の持つ政治的目標を達成しようと、就任当初から改革に取り込もうとした。

 彼の目標とは、突き詰めれば、キリスト教精神の復活と強い神聖ローマ帝国の復活である。

 まず、彼は、中絶の規制と軍拡へ乗り出そうとした。

 「中絶数の増加により、神聖ローマ帝国の出生率は低下し、我が国は人口減少の危機にある。」エルンスト首相の演説では、キリスト教精神に加えて、出生率の低下に触れて中絶規制への支持が訴えられた。事実として、中絶が女性の意志によって可能になった時期と神聖ローマ帝国の出生率が急減し始めた時期は重なっていた。もちろん、中絶の合法化のみが出生率の急減の原因では無かったが、合計特殊出生率が世界で初めて2を切り、1.5に迫ろうとしていた神聖ローマ帝国において、出生率を増加させるために必要な手段は何でも採るべきだと彼は訴えたのである。中絶の完全な非合法化は、野党の自由民主党だけでは無く与党のキリスト教民主党にも反対派が多い為断念されたが、母体に危険を及ぼしかねない場合・胎児が重大な先天性疾患を抱えている場合・レイプによる妊娠の場合にのみ制限された。女性の権利活動家達はこの決定を批判したものの、婚前交渉による妊娠は中絶の対象になるという法解釈が政府によってなされた(これは、婚前交渉を罪とするキリスト教的価値観を反映している)ことで、従来の中絶の大半を占めていた未婚での妊娠では、これからも中絶は妨げられないだろうとはした。

 軍拡では、陸上兵力の拡充のみならず、大陸間長距離飛翔弾や核戦力の拡充に多額の資金が振り分けられた予算案が、エルンスト内閣から出された。近隣のフランスやオスマン帝国に対峙する上では、長距離飛翔弾は必要がないものだった。これに予算が支出されたということは、遠く離れた敵地への攻撃ー東アジアへの攻撃能力を整えるためだと解釈される。与党のキリスト教民主党は党を挙げて軍拡を支持しているため、軍拡予算案は議会を通過するのはほぼ確実であった。ただし、野党からは、近隣諸国のみならず、遠く離れた東アジア諸国とも緊張を高めると反対する声も挙がった。

 なにはともあれ、就任後すぐに、2つの改革を成し遂げたエルンスト首相の求心力は高まったのだ。

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