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皇帝と過激派団体

エリアス・ミュラー:神聖ローマ・キリスト教騎士団団長

 神聖ローマ帝国には、様々なキリスト教系の団体がある。神聖ローマ・キリスト教騎士団は、その中でも、過激な主張と行動で知られていた。この騎士団はプロテスタント系の団体で、聖書の教えを厳格に守ることを主張するキリスト教原理主義者の集まりである。彼らは、同性愛や中絶はもちろん、学校で生物進化論や地動説を教えることにすら反対している。進化論はまだしも、実際に宇宙への有人飛行も行われており、ローマ・カトリックも地動説を認めているこの時代に、地動説に反対するのは原理主義者の中でも彼らぐらいだ。そして、彼らは同性愛者・有色人種(特に最近では東アジア人に対する襲撃の中心となっている)・非キリスト教徒のリンチや中絶クリニックの襲撃、科学教科書出版社への嫌がらせなど、議論を呼ぶ過激な行為を数々行っている。また、彼らは、白人至上主義や神聖ローマ帝国の過激なナショナリズムとも結びついている。こんな様々な問題を抱え、明らかな違法行為も行っている騎士団だが、彼らが検挙されることは稀で、資金力もある。そのため、彼らの裏には権力も資金力もある有力者がついているともっぱらの噂だった。

 神聖ローマ・キリスト教騎士団の団長であるエリアス・ミュラーは、ブランデンブルク辺境伯時代のヴィルヘルムと親交があった。そして、ヴィルヘルムは、ブランデンブルクの法執行機関に内密に圧力をかけて騎士団への捜査を打ち切らせた疑いがあったが、ブランデンブルク政府の調査はヴィルヘルムの皇帝就任と辺境伯の辞任により打ち切られた。調査報告書も破棄されて、この事件は結局有耶無耶になった。また、皇帝一族の私的財産からは騎士団への寄付はあったが、騎士団は宗教団体として登録されており、宗教団体への寄付はいくら多額でも匿名が許されていたため、世間一般にも政府にも、この寄付は明かされていなかった。

 エリアスとヴィルヘルムは、皇帝就任後は直接面会したことは無かったが、私用の手紙でやりとりをしたことはあった。その手紙で、ヴィルヘルムは、「貴騎士団が行っているキリスト教擁護運動は素晴らしいものである。資金提供を増やすように資金管理者には伝えておいた。ブランデンブルクとプロイセンの法執行機関には親族の諸侯を通じて手を回してあるので、この2地方においては検挙される心配は無い。また、フランスとオスマン帝国内での活動も内密に支援する。ただし、私は皇帝としての身分故貴騎士団との関係を苦々しく思う者が存在するため、私との関係を公にはしないように。」と伝えた。

エリアスは、支援に感謝するとともに、神聖ローマ帝国の脅威となる国々へと活動を広げ、いざという時には行動を起こせるようにすると答えた。

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