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ストレンジフィールド  作者: 大犬座
4章 『本能の洞窟』へ
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4-7 侵食する触手生物

一方、ミエリ達が消えた道を塞ぐ落石の隙間から、一匹の触手が顔を出す。それはそのまま抜け出すと、急速に再生して軟体生物の様な姿となった。


体表に泡のように発生した不規則な目玉は、見る者によっては一目で卒倒する悍ましさがあり、触手生物も自覚があるのか急いで外殻を生成して陶器人形の少女を形作った。


「ふぅ、イサオさんが拳斗さんと同じ様な力をお持ちだったとは、正直ものすごくビビりました」


ビルセティが再生した体を確かめながら、正直な感想を呟く。表情こそ無のままだが、内心では恐怖していた事を誰に言うでもなく吐露する。


「問題ない様ですね。では、急がないと」


そう言って触手を出すと、手頃な氷柱石に巻きつけてそのまま自身を引っ張り、その勢いで長い距離を跳躍し、着地する前にまた手頃な氷柱石に触手を巻きつけて自身を引っ張る、そんな地に足着けない移動方法は狭い空間での迅速な移動を可能にした。


「これならすぐミエリに追いつけるはず……あ、何かありますね」


そんな移動方法で数十秒程飛んでいると、壁から何か飛び出していることにビルセティが気づく。


「これはなんでしょうか?随分と項垂れてますね」


それは、岩壁からはみ出して垂れ下がった"何か"であり、そのブヨブヨとした肉の端には細かい牙が並んで生えている。


「どういう生き物かは分かりませんが、ミエリがここを通ったなら痕跡があるかもしれませんし、とりあえず中を見てみましょう」


そう言うと、ビルセティは肉を持ち上げて中の穴に触手を突っ込む。


「中は……消化液で満たされてますね。さっきの再生で消耗も激しいですし、吸収させてもらいましょう」


その言葉と共に触手からじゅう〜!!という音が響く、肉ひだの形も相まって、まるで自分が花から蜜を吸う昆虫になった気分だと、ビルセティは思った。


「ふぅ、おや?やりすぎてしまいましたね。申し訳ございません」


見れば肉の花弁は乾燥してカラカラになってしまっており、ビルセティが全てを吸い取ってしまった様だった。


「しかしこの生物、どうやら人を捕らえて消化してしまう様ですね。一人吸収されているようですし、もしかしたらミエリかもしれません」


吸収を行った触手を見つめ、この中に知的生命体の気配を感じたビルセティは、ミエリの可能性を感じてすぐに抽出を始めた。すると……


「おや?人違いでしたか」


現れたのは白い髪を腰まで伸ばし、神聖な装いでありながら、袖が服と分けられて腋の露出したノースリーブの服に、ニーソックスを吊り上げているガーターベルトと下着が見え放題なミニスカートという、聖職者が身につけるには破廉恥すぎる服装の少女が出てきた。背中には何やら黒い板の様なものを背負っている。


「何者でしょうか、人違いですしここに置いておいて……いえ、沼地でのことがありますし、二度も不自然な死体を放置するのは無駄な混乱を招きます。持って行きましょう」


ビルセティは少女の死体を背中から出した触手で自身に固定すると、またミエリを探しに移動を開始する。


「あ、道が分かれてますね。どちらに行くべきか……」


そうしてビルセティの前に二つの道が現れる、この洞窟は迷路のようになってる事はメンバーの会話から把握していたビルセティだったが、実際に目の前に出された彼女は迷いを感じていた。


「こういう時は自分の直感を信じましょう、拳斗さんも言ってました。……よし、こっちですね」


考えても仕方ないと判断し、自身の勘で左を選択する。


すぐにそちらの道を素早く移動するビルセティ、すると彼女の目の前に何か懐かしい気配が出現し、思わず着地してそれと対峙する。


「…………今度は誘拐事件への加担ですか。こんな所まで侵入して貴方達は余計な事ばかりしてますね」


ビルセティの目の前に現れたのは、彼女と同じ陶器人形の青年、同族のシルクレンビスだった。

今更ですが、ビルセティは消化された当時の状態を復元して抽出するため服も再生されます。

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