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ストレンジフィールド  作者: 大犬座
1章 おぞましき世界
13/80

1-12 見習い荷物持ち

ぐちゃぐちゃになってきたので一章が終了したら一度、キャラの口調や用語を全体的に整理しようと思っています。

「どーも、お疲れ様です。今回の業務を担当しますアマユです、今回の御用をお申し付けください」


カウンターに立つアマユが平坦なトーンで対応する。


「よ、アマユちゃんさっきぶりだな」


深慧莉の横に立つアフタレアが気さくに挨拶をする。


「全く、二人ともいきなり消えたからどこ行ったのかと思って探したぞ」


「お陰様で食べる時間無くなってキニャルくらいしか食堂で頼めなかったよ、まあここのキニャルは野菜たっぷりで嫌いじゃないけどね」


イサオとシャラムが呆れた様子でキニャルを食べている。


「すみません、ひとくち言っておけばよかったですね……」


「それより登録だ、分からないことは俺たちが教えるから申請してみろ」


「そうでしたね、ではよろしくお願いしまーす」


「はぁ〜……本当は向こうのステーションで勝手に登録してろって言いたいけど、何も分からずにダンジョンで死なれても困るし私も協力するわ」


そういうとアマユは気だるげにパネルを手元に表示すると、それを深慧莉の方に向けた。


「まずは誓約書のサインからよ、まあ全部自己責任ですって内容だからさっさと名前書き込んで」


雑な説明を聞きながら、深慧莉はスクロールした最後にある記入欄に名前を書く。


「よし、これで良いんだね?」


「んで、次に専門職(スペシャリティ)の申請よ、これは自分の性格や器質にあったものをちゃんと選びなさい、適当に選んじゃ駄目よ」


「思ったんですけど、この専門職(せんもんしょく)って何なんですか?たとえ職業が剣士でも魔法が使える人なら魔法を使ったり出来るじゃないですか、意味あります?」


深慧莉がある意味で当然の疑問を皆に投げかける。


「この専門職ってのは俺たちがいた世界と同じように身分の証明でもあるんだ、優秀な魔術師って評価で魔法の才能がある奴がふざけてガードナーに転職してトラブルも起きたしな」


「トラブル?どんなですか?」


「この世界じゃ専門職によって所持できるものが一部制限されるのよ、禁止されている物を持っていたらギルドや関所のゲートを通れなくなる。盾構える人が杖持ってたり、弓撃つ人が斧持ってたらおかしいでしょ?」


アマユがめんどくさそうに説明する。


「まあおかしいですけど、それの何が問題なんです?」


「まあ第一に密輸だな、俺も詳しくは知らんが昔あるパーティが銃器を皆で隠し持って商会を通さずにこの区域で売り捌いていた事があったらしい、この区域じゃ銃火器は希少だから高く売れるんだ」


「管理が難しいから中々入って来ないよねー、んで第二の問題が職業詐称だね、あるパーティがソードマンを入れたんだけど、そいつ実はウィザードでさ、そいつに魔法で不意打ちされて持ち物盗まれたんだって」


「この世界じゃ魔法は杖なんかの増幅器がないと十分な威力にならねえらしいからな、こういうのを無くすために制限を設けたんだろ」


「これで納得した?」


アマユが非常にダルそうに問いかける。


「まあ一応」


「はぁ〜疲れる……じゃあ専門職を選びなさい、さっきはあんなこと言ったけど一応転職は出来るわよ、結構お金掛かるけど」


深慧莉がパネルの中の専門職一覧をみる。

◇前衛推奨職

・ソードマン

・ウォリアー

・ランサー

剣聖(ソードダンサー)

・侍

・マジックナイト

・ガードナー

・ジェネラル

・プロレスラー

・ファイター

・功夫

◇魔法関連職

・ウィザード

・ヒーラー

・スペルマスター

・カースマスター

・エンチャンター

・カードプレイヤー

・ネクロマンサー

・ドルイド

◇斥候、使役職

・シーフ

・アーチャー

・スカウト

・レンジャー(森分け)

・オペレーター(サモナー&テイマー)

・忍者

・トリックスター

◇特殊職

・バード

・トラッパー

・ドールマスター

・トレーダー

・クラフター

・ギャンブラー

・ポーター


一覧に書かれた専門職の想像を超える豊富過ぎるレパートリーに深慧莉の思考が一時停止する。


「ぷ、ぷろれすらー?」


「いきなり硬直してどうした?」


「…………なんですかこれ?」


「何か言いたいのか?」


「いや、色々言いたいですよ、ふざけてるでしょ?このお遊びメニュー表」


「失礼な言い方をするなぁ、れっきとした専門職一覧だよ」


「だとしたらおかしいでしょ!なんですかプロレスラーとかギャンブラーとか!」


「この世界では新しく専門職を作ることが出来るのよ、申請した専門職を確立させて実績を残し、後進が三人以上いれば身分の証明できる職業として認可されるの」


「で、その専門職を確立させた人をマスターというの、みんなすごい人たちばかりだよ」


「そ、そうですか……」


(ここでプロレスラーを始めようとした人がいるんだ……)


深慧莉が困惑しつつも、もう手慣れた「こういうものだ」という諦めに似た納得をする。


「じゃあ職業の説明してください……」


「いいわよ、どれが気になる?」


疲弊した深慧莉を見て、ちょっと機嫌を直したアマユが笑顔で答える。


「そもそもソードマンとウォリアーと剣聖ってどう違うんですか、剣聖に至ってはソードダンサーとかいうルビまで振ってあるし……良くわかりませんけど全部剣を使うんじゃないんですか?」


「ソードマンは文字通り剣を専門に使う専門職だ、剣なら大も小もなく使いこなせることが期待される」


「ウォリアーは剣以外の両手武器をメインで使う専門職だな、ぶっちゃけ腕力第一の世界だからお前には無理だぜ」


「剣聖は複数の武器で隙を与えない波状攻撃の技を扱う専門職って聞いたことある、私が見た剣聖たちはみんな両手に剣を持って戦ってたし、そういうことなんじゃない?」


「ウォリアーのアフタレアはともかく、ガードナーのあなたたちが全部説明しちゃうのね……まあそういうことよ、あなたじゃこれらの専門職はムリ」


アマユに言われるまでもなく深慧莉は攻撃職になるつもりはなかったようで、すぐに次の項目に目を泳がせていた。


「よく見たらプロレスラーの影に隠れてましたが、ジェネラルってなんですか?」


「あ、それは……」


「ジェネラルは最前線に立って攻撃を防ぎながら仲間の指揮をする専門職だぜ、タフな上にオツムが良くないとなれないから有り難がられている偉い連中だ」


アマユが喋ろうとした時、アフタレアが横から説明を始めた。


「基本的にジェネラルがいたらコイツを中心にパーティが出来上がる。アタシも何度かジェネラルのパーティに参加したけどすごい連中だったよ」


「なるほど〜プロレスラーとは全然違って頼もしいですね」


「勝手な事を言うな!プロレスラーの頼もしさはジェネラルに負けてなどいない!」


ずっと落ち着いていたイサオが突然、声を荒げる。


「な、なんだよ急に……実際よく分かんねぇ専門職だろ、戦場でパフォーマンスし始めるとかふざけてるってみんな言ってるぜ?」


「ふざけてなどいない!あの人の教えを皆守っているだけだ!」


イサオの迫真の言葉と表情にその場の皆が困惑する。

「よ、よくわからないけど落ち着いて、ほら今はミエリの専門職を決めなきゃいけないのよ?」


「ん、そうだったな、取り乱してすまん……とにかくだ、攻撃を受け続けるのはお前には無理だ」


「そ、そうですね……あ!このスペルマスターってなんですか?」


深慧莉が大きめの声で質問する、話題を変えようと気を使っているのが周囲にも伝わる。


「スペルマスターっていうのは魔法全般を扱う専門職よ、広く浅くになるから他の魔法の専門職に比べると魔法のポテンシャルを引き出せきれないっていうのが通説ね、万能だから需要はあるけど」


アマユがすかさず口を開く、今度はちゃんと説明でき、満足そうに微かに頷いた。


「ていうかさ、ミエリってイサオと同じ魔法の無い世界から来たんでしょ?魔法扱う専門職は難しいんじゃない?」


「うっ……やっぱり素質がないとダメなんですね……ところでこのオペレーターって何ですか?なんか横に書いてありますけど」


「それだろー……なんか何かを使役したり操作する専門職らしいがマスターが凄すぎてたのかあまりにも覚える技術が多義に渡りすぎてできる奴が少なすぎるんだ、だから分割するって話になってて今調整中なんだとさ」


「説明すると自身も戦闘や作業を行いつつ使役も行うっていうハードな専門職よ、まああなたじゃ絶対ムリ」


「まあ……そうだね、じゃあこのバードっていうのは……」


「バードは歌や踊りをする連中だ、ちなみに俺たちの世界のアイドルなんかもバードを名乗って活動しているぞ、お前にはこれが向いてるんじゃないか?」


「わたし、歌ヘタです」


「あんなフリフリな格好してたのに?」


「別にいいじゃないですか、シャラムさんの世界じゃどうなのか知りませんけど、わたしがいた世界じゃ当たり前だったんです」


「いや、当たり前では無かったぞ……」


「どうでもいいじゃないですか、どっちしろ歌も踊りもヘタなので無理です。それよりもこのトレーダーって言うのは?」


「トレーダーっていうのは商売をする人たちよ、元々は物々交換で財産を築いた人がギルドと組んで物流を始めたのが始まりの職業で、現在もそのマスターが商会を束ねているわね」


「商売の知識なんてないからパスで」


「じゃあなんなら出来るんだよ、ポーターは運び屋だけどウォリアー並みに体力勝負だからお前には難しいぜ?」


「やっぱり芸のない一般人は解明者なんてやるべきじゃないよ、今は私たちがいるけどこれから先どうすんのさ」


皆の言うことは当然だと深慧莉も理解していた。しかし、それでも諦めたくない深慧莉はなんとか自分に出来そうな職業を探す。


「ミエリ、俺は元々反対だったがお前の熱意で解明者になることを認めたんだ。だが、何も出来ないというのなら諦めるべきだ」


「それか、別の区域に行くという方法もあるわ、ここじゃ環境のせいで就けない専門職もあるから他の区域ならあなたに合った専門職があるかもね」


その言葉を聞いた深慧莉は夢の内容を思い出す、あの声の元にたどり着くには頭に入ってきたこのコロニーの近くにあるという病院の景色の謎を解く必要がある。そして何より……


「いえ、わたしはここから始めたいんです。親切な皆さんに出会って、自分が生きる意味を見つけたこの場所……せっかくならこの場所から解明者になりたいんです!」


深慧莉が皆に宣言するように声に出す。


「それなら……わたしはポーターから始めます、最初はポーター以下の荷物持ちで……そこからみんなの役に立てるよう頑張ります!」


深慧莉は一際大きくそういうと、ポーターを選択し、パネルの決定を押した。


「はい、じゃあ再度確認してもう一度決定を押してね」


「あ、はい……」


「はい、これで全部完了よ、今から身分証を更新してくるから待ってなさい」


「せっかくキメたのに締まらないなぁ」


「でもその下っ端からでも始めようという覚悟はアタシ嫌いじゃないぜ、バンバン荷物持たせてやるからな」


「ふっ仕方ない、ヒヨコどころか卵なお前のお守りを俺たちがしてやる」


「皆さん、ありがとうございます!」


「敬語はやめてよ、これからは仕事仲間なんだからもうタメ口じゃないと喋ってあげないよ?」


シャラムがどこか嬉しそうに深慧莉に注文する。


「分かったよ、これからよろしくね!シャラム!」


「よし!よく出来ました!」


「はい、身分証の更新が完了しました。これから解明者としての活動に幸多きことを願っております」


更新を終えた身分証を手にアマユがカウンターに戻ってくる。先程までの気怠さは無くなりギルド職員としての顔になっている彼女は形式的な祝いの言葉と共に身分証を深慧莉に手渡した。


名前 ハスハマ ミエリ

年齢 26歳

種族 ヒューマン 

専門職 ポーター


そんな事が書かれている身分証を見て、自分が解明者ミエリになった事実に感動していた。

こんな感じですがあと1話だけ1章が続きます。

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