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パチ○カスの日常  作者: しの
2/2

初めてスロットを打った日

「いよいよまちに待った大学生!」


「今まで行ったことない東京のど真ん中を乗り継いで登校する、それだけで胸が躍る!」


「高校では出来なかった彼女も作っちゃったり、お酒飲めちゃったり、夜遅くまで1人で遊んじゃったり、何しても許されちゃう解放感!もうウキウキが止まらねぇ!!!」


と、1ヶ月前の俺は思っていたなぁ。


期待し過ぎたものもあるけど、サークルに入らない限り、男女の関わりなんて持てないし、選択言語を英語ではなく調子乗ってスペイン語をとったせいで、同じ学科の人と密に関わる機会を失ったし。。。


電車での通学も、朝の山手線の満員電車でもう懲りた。。。足が宙に浮いてるのにギュウギュウすぎて逆に安定するってどういうことやねん。。。


授業もあんまり面白くないし、初日のオリエンテーションは乗り換えが難しすぎたせいで遅れて、周りの人と話せる機会を失ったせいで、まともに話せる友達はかろうじて2人だけだし。


なんだこの状況。。。


しかも、スペ語は土曜に授業あるなんて聞いてねぇぞ。。。


最初の2回くらいは「俺は土曜も学校に行っている、みんなと違う」というモチベで通ってたが、もうそんなものはない。


結局何も変わらないのかぁ


口を少しへの字にしたままイヤホンを耳にしベッドに横たわる。

まだ若干乾ききっていない髪を触り、

「寝癖がひどくならないように」

と手櫛で少し整えたところで、ストンと眠りに落ちた。





ーーーその日はとても心地のいい陽気だった。


いつも通り、土曜の2限目に間に合うように準備し家を出ていつもの時間の電車に乗った。


が、その日はお腹の調子が悪く、電気の中、ひっそり便意と格闘していた。


その戦いに負け、途中下車をしたことにより授業に間に合わなくなる事案が発生。


まだ、大学の授業を休むどころか遅刻したことがなかった。初めての遅刻だった。


渋谷まで辿り着き、ここから地下鉄に乗り換えるためにホームを出たところで、ふと魔が指す。


「遅れて教室入って目立つのも嫌だし、今日は休も。腹も痛いし」


人生において、ターニングポイント、分岐点なるものは多くあるけれど、おそらく自分にとってはここが大きなターニングポイントであった。ここで甘えという舵を切ったがために、ここまで人生が拗れるとはあの時の俺にはわからなかったと思う。できることなら、あの時の自分に喝を入れ、世界線を変えてしまいたい。


地下鉄のホームに行くことを諦め、駅周辺を散策することにした。相変わらずゲームセンターが好きだったので、東京のゲームセンターがいかがなものかお手並み拝見といこうではないか。とそんな感じだった。


当時はメダルゲームから音ゲーにシフトしていて、好きな音ゲーの筐体が置いてある店とその場所を把握し、またどの出口からだと近いのかなどの下調べをしていた。


感想としては、

「正直、最寄りの隣駅のゲーセンの方が綺麗だし人もいないしいいな。メダルゲームは当時の俺がハマるだろう競馬のゲームが数種類あるなぁ、でも今はそんな興味ないしなぁ、残念」

と、あまり良くなかった。


ゲーセンから出てふと

「パチンコ屋さんってどんな感じなんだろ、試しに入ってみようかな」

と思い、近くのパチンコ屋に入った。


騒音や臭いはゲーセンとそこまで大差なかったのでギャップはなかったが、スロット台が1台1台綺麗で、内装も相まって、光の反射でキラキラと輝いていたのがとても印象的だった。スロット専門店というのもあり、照明が暗かった(体感スロ専に多い)ので、なんかこうオシャレに映っていた。


ゲーセンで打っていた台も設置してあったが、手持ちが10000円しかなく、10000円で貸し出させるメダルの数では当たる確率は低いとゲーセンだけで得た知識で推測し、打つことは考えず、地下含め4階のフロアを周り、イルミネーションを見にきたと言い聞かせて店を後にしようとしたその時だった。


見つけてしまったのだ。


ゲーセンでよく打っていた台の2期にあたるアニメの台を。


しかもAタイプ。


Aタイプ(ノーマル)とは、ボーナスだけで出玉を獲得する台のため、他の機種とは違い、いつでも打てていつでも辞めることができる。


台の液晶がリール全体を覆っていて、とてもダイナミックに映るその映像は、照明も相まってとても興味をそそられた。


お金を入れるところもわかりやすく、なんとなく遊戯する流れがわかったのでせっかくならと、10000円を全部使うつもりでサンド(お金を入れるところ)に入れ、貸し出しボタンを押して、パラパラと流れ出てくるメダルを手に取り投入した。


その台の投入音は、今まで打ってきた台とは大きく違い、ボンボンボンと奥で響くようなの少し低めの立体的な音だった。液晶とかの音でもう半分惹かれてしまっていた。アニメの版権も高校生の頃にハマって夜通し見ていたものだったし、振り返るとほんと悪戯だなぁと思う。


数回回すと、少し派手目の演出。

この台はボーナスを獲得するためのレアな役をまずは引く必要がある。


この役を内部的に引いた時は台が騒がしくなったり派手になったりする。(打ち手の射倖心を煽るため)


にしてもそれを引くたびになんだこの鮮やかな色に液晶の見せ方、音の激しさは。


もっと引いてもっと色々なものを見たい!

(射倖心にまんまと乗っ取られた哀れな図)


そこから2時間弱打った結果は+600枚


流して換金する流れも本来は迷うはずなのだが、なぜかタイミングが良く(?)前の人の後をついていったら問題なくできてしまい、初めてにしては何もかも上出来すぎる形で店を後にした。


約10000円勝ったことの嬉しさより、台の演出やサウンドのインパクトが強烈だった。次の日まで頭の中はそればかりだった。


負けがこんでないとこんなにも純粋に楽しむことができるんだなと文字に起こしてしみじみ思う。


そこからは早かった。


・欲が出てくる

・BIGで喜びREGで悲しむ

・隣の台が気になり、隣の挙動に一喜一憂

・目押しをしてレア役を成立させないと損をするとしり必死に色で判断して押す


そんなこんなで気づいたら授業終わりに毎日欠かさず打ちに行っていた。


2週間通い詰めた結果、収支は枚数にしておよそ-1200枚くらい負けてしまった。


「もっとお金がないと満足に当たらない、心細い。」

感じ軍資金を得るためを理由にバイトに応募。


気づけば、

大学生活を楽しむこと=スロットを打つこと

となってしまっていた。

数少ない友人との関わりも少しずつ薄なっていった。

この頃は遊びの誘いをたくさんくれていたので、本当に恵まれていたと思う。


こうして、大学1年の春のわずか2週間でゴリゴリの養分パチ○カス(この場合だとスロカス)に成り下がってしまった。



全国でも一桁ぐらいのスピード、偏差値は77くらいだろうか。縁起がいい、誇らしく思う(不名誉)。




〜次回予告


Twitterでスロットのことを時々投稿していたのだが、ある日高校の友人から

「俺も打ってみたいから今度一緒に行こうよ」

とリプがきて一緒に行くことになった。


高校の友達と夜な夜なパチンコって

なんかあがるぅ!!


そういえば、あいつゲームのガチャの引きとかえげつなく良かったんだよな。


パチンコでも存分に発揮しそーー。



『次回、強者と弱者』



どん底のパチ○カス生活はまさにここから幕が上がる。





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