告白
騎士服にネクタイあるの、違和感!
と思いつつ、ネクタイつかむ女の子のビジュアルイメージ逆らえず
そういう服飾の世界観! とごり押しです。
ここから騎士団長視点で進みます。
「好きなんです」
「は?」
「だめですか?」
「え? いや、その……だめとか、そういうんじゃなくて、なにも、カレン、そんな早まらなくても……」
「私は、あなたが良いんです。あなたがダメだと言うのなら、仕方ありません……実力行使です」
そう言ってカレンは僕のネクタイを鷲づかみにした。
「ちょっと! 待って! とりあえず落ち着こう」
「私は落ち着いてます」
「この……状況、全然! 落ち着かない」
「いい歳して、これ位でビビらないでください」
彼女の顔が間近に迫る。
「あのさ、君は気にしなくても、明日から、どんな顔して仕事したらいいか、困る。こんなのは、無理だよ」
「私はあなたが欲しいんです。仕事の替えは利くけれど、あなたの替えはこの世にいませんから。もちろんあなたの下で仕事を続けるのが理想ですけど」
「なんだよ、その殺し文句」
「そりゃ、あなたは騎士団歴も長いですし、骨をうずめるつもりで仕事しているから、トラブルなんて起こしたくないのは、よくよく分かります」
「そんな肝の小さい男みたいに言ってくれるなよ」
「だ・か・ら! 気まずくなったら、私が辞めてさしてあげますって言ってるんですよ」
「は?」
「気まずくなる、心配をしているという理由だけで、一歩を踏み出さないってのは、ナシです」
「おっとこまえだなー」
「欲しいものを手に入れるために、これそれくらいの代償は痛くありません……それに……そういう固くて、真面目で、融通が利かないところも好きなんで、それを崩すためのエクスキューズなら、いくらでもご用意しますよ」
「敵わないな」
「じゃあ……」
彼女の目に期待の色が宿る。
「……きっと、期待外れで、あっさり捨てられて、君が辞めてしまう、という展開にしかならない、そんなの耐えられない」
その色が一瞬にして暗くなり、微笑が消えた。
「そこまで想像するのに、私とイイ関係になる想像には目もくれないんですか、そうですか、そんなに私、魅力ないですか」
高潮した頬を、もう少し眺めて居たかった、と惜しい気持ちになりながら。言い訳がましい言葉を綴る。
「臆病だと笑ってくれていい。君がそこまで言ってくれているのに、自分の保身しか考えない様な小さい男だって」
「思ってもいないことで笑えません、どうしてそこまで、自分を卑下するのですか?」
「君は若くて美しくて無敵だ。家柄的に近衛にだって入隊可能だろう。対して僕は、君を自分の恋人にするなんて、大それた事が一時的に叶っても、結果的に部下としての君を失うのも痛い」
「それ、嬉しいです。でも、私が振る前提なのは気に入りません」
口元に少しだけ笑みが戻る。
「僕の人生で、こんな美味しい話がある訳ない。浮かれて飛び乗ったら、絶対に痛い目を見る」
「あなたの眼に映る私はそんなに信用ならないですか?」
瞳は悲しそうに揺れる。
「いや……でも君みたいな子が、こうやってが積極的に迫れば落ちない男なんてそうそう居ないだろう? それなのに君には恋人が居ない。それはつまり……」
君が、僕に飽きたら、お別れという事だろう?
「こんなことしたの初めてですから!」
「へ?」
「自分から好きになったのも、こんな無理強いして、迫っているのも初めてなんで、そこのところ、誤解のないように。あと、私、家庭方針で、婚約者を無理強いされる事もなく自由にしてきましたけれど、下級ではありますが貴族の娘なので、気軽に恋人を作って、恋仲になるというのはちょっと抵抗あるんですよ」
意味不明、理解不能だ。ならば、何故に。
「なんで僕なんだ」
「私だってわかりませんよ。けど、好きなんです」
「私生活がおっそろしく期待外れだったり、性癖が特殊だったりしたらどうする」
「そんな酷いんですか? 私生活や性癖」
「いや、まあ普通だと思うけど」
「慎重過ぎですね。石橋を叩いたあげく渡らないタイプ」
「ああ、いや叩いて、叩いて壊れるまで叩く」
「ドメスティックバイオレンスは嫌ですけどね」
「それはない」
「じゃ問題なしですね? そちらは?」
「は?」
「何か質問、疑問があればお答えしますよ」
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