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第87話 パラセッツの街3

お昼になりご飯を準備しながら午前中の成果を考える。


だいたい予想通りに低級ポーションが売れているし、他の症状用のポーションも若干では有るが売れている。


一応言っておくとここらの普通の一般人の平均日収は5000E程であろう。


一家4人位が1日生活するのなら、2〜3000Eだと考えると結構ギリギリな気もするが、それでもこれは働いている家の話であり働くことが出来ない人々を考えると、ちょっとなんとも言えない感じになる。


その中で俺が午前中に稼いだ金額は1万Eを超えるし、材料費を引いても5000Eは超える。


初日と考えれば十分な収入だし、技術に対する対価と考えれば当然の結果だろう。


まぁ午後もこの調子でゆったり稼いでいこうと思うのだが、取り敢えずはご飯にしようと思う。


両隣から穀物と野菜を適当に購入してササッと雑炊を作るのだが、ここでも周囲の目が気になってしまう。


今回はあんまり目立つのは避けて調味料や香辛料は使っていないのだが、塩だけでは味気ないので干し肉やら干し魚なんかを刻んで入れているから、匂いで美味しそうなのがバレてしまっているようだ。


とは言えここで周りに配ったりはしない。


前世のこういった話でうっかり餌付けしたことで騒ぎになる話はよくあるし、俺はここで料理を売る気はないから見えないことにして、一人だけさっさと食べてしまうに限る。


明日からはパンという名の固形物になにか挟んで持ってこよう。




昼過ぎになると夕食の買い物客がやってくるが、それは俺のメインターゲットではないから、あんまりこっちに来ないのだが、それでもぼちぼち売れているのだから、この街のポーション事情は余程悪かったようだ。


とは言え、買っていくのは庶民なので大量に買う人はいないから、まさに売上はぼちぼちだ。


昼過ぎのお客さんが引いた頃周りは店じまいを始めたが、俺は市場の閉まるギリギリまで残る気なので、帰る準備をしながらゆったりと待っていると、


「おう。ここだここだ。お前らこの姉ちゃんの店で買っていけ」


虎のおっちゃんが仲間を連れてきてくれたらしく、沢山の獣人を引き連れやって来た。


朝の説明を繰り返しながらポーションを売って行くのだが、結構な量が売れることになった。


その場でコップにポーションを入れて売った分も合わせて、今日の売上は3万Eを超えることになった。


なかなかの売上だったがこれからはビンの回収も有るから、もっと手際よく売る方法を考えないとダメかな?


まぁそれはおいおい考えるとして、初日はこうして終わったのだった。




後片付けをして宿舎に帰るとメイさんが待っていた。


「ティさんお疲れさまです。初日はどうでしたか?」


宿舎の前で立ち話も何なのでメイさんを連れて俺の部屋で話すことにした。

別にやましい気持ちがあったわけではないと言っておこう。


「特に宣伝してはいないですけど、街の人は結構買いに来ましたね。それと獣人の方が朝買ってくれたのですが、その方が夕方に知り合いを、連れてきてくれました。なのでそれなりの売上になりましたね」

「あー獣人の方ですか。恐らくそれはギルドで呼んでいる、クランの方でしょうね」


話をよく聞いてみるとダンジョンの間引きのために、わざわざお金を払って来てもらっているらしく、街の近くにあるダンジョンは素材で儲けることは出来ないものの、ギルドから貰うお金と合わせて稼げているそうだ。


なんでわざわざお金を払って来てもらうかと言うと、前世のダンジョン物でよく聞いたように、この世界のダンジョンもスタンピートが発生するのだ。

この街の近くにあるダンジョンは、儲からないダンジョンとなってしまったため、最近はダンジョン内の魔物が増えるばかりになっていて、それを減らすために呼ばれているわけだ。


それならわざわざ呼ばなくても素材で稼げるようになれば、自然と人は集まってきそうなものだけど、それがこの街の問題の一つになっている。


簡単に言ってしまうと総合ギルドの権益に絡みたかった商人連合は、ダンジョンから回収した資源の街への持ち込みを規制した。

門を通る時に安値で全て回収して、それを商人連合が総合ギルドに卸す形にしたのだ。


ダンジョンに潜っていた人達からすれば、単純に売値が安くなっただけで何のメリットもない。


おまけに今まで総合ギルドで資源の加工を生業にしていた人達は、今は商人連合の元で安く働かされているという。

元々この街の住人の殆どは、交易に関わるかダンジョンに関わるかだったのが、その両方を商人連合が押さえているために、住民も総合ギルドも打つ手がない感じになっているそうだ。


うん?だったら商人連合を通さなければよいのでは?


そう思った俺は早速メイさんに相談して、各所に手を打ったのだった。


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